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日野チームスガワラ、ラリーモンゴリア2013に参戦 ~改良された2号車を実戦でテスト~【日野自動車】
2013年7月16日
日野チームスガワラは、8月にモンゴルで開催される「ラリーモンゴリア2013」に、次回のダカールラリー2014に向けて改良を施した日野レンジャーで参戦します。
「ラリーモンゴリア」はモンゴルのウランバートルを発着地とし、約3,000kmを走破する大会で、2013年大会は8月11日~18日の8日間をかけて争われます。ゴビ砂漠の砂丘ステージでは、ダカールラリー期間中と同様に日中の気温が約40度近くまで上昇することから、例年日野チームスガワラは、ダカールラリーに向けた実戦的な走行テストの場と位置づけています。
今回参戦する日野レンジャーは、ダカールラリー2013に1号車・菅原義正号として参戦した新型レーシングトラックに、様々な改良を施しました。次回のダカールラリー2014では2号車・菅原照仁号として参戦し、トラック部門排気量10リッター未満クラスで5連覇をねらうため、「ラリーモンゴリア2013」でも、菅原照仁氏がドライバー、杉浦博之氏がナビゲーターをつとめます。なお、チーム代表兼1号車ドライバーの菅原義正氏は、スズキのジムニーでプライベート参戦予定です。
レーシングトラックの改良にあたって、日野自動車の開発陣はダカールラリー2013の走行データを検証し、主に空力性能の向上、冷却性能の改善、操縦安定性かつ衝撃吸収性の向上の3つに取り組みました。
空力性能の向上のため、走行時の空気抵抗シミュレーション(CAE計算)を綿密に分析し、レーシングトラックの10分の1のスケールモデルを製作して風洞実験を行いました。その結果、キャブ(運転席)前端にサンバイザーを追加し、ボデー後部にスムーズに空気を流すことで、空気抵抗係数(Cd値)の低減が認められたため、新たなアイテムとして導入しました。
冷却性能の改善に向けては、前述のサンバイザーによって整流された走行風を、リアボデー前端上部に位置するインタークーラーやオイルクーラーへ効率的に集約するために、エアスクープを追加しました。
操縦安定性と衝撃吸収性の向上としては、今回から初めてテーパーリーフスプリングのテストを開始します。従来、板バネを複数枚重ねたマルチリーフスプリングを採用していましたが、レーシングトラックのハイスピード化に伴い、しなやかなタイヤストロークの実現に有利な方式のスプリングを採用しました。この方式では、2~3枚の板バネで構成されるため減衰性のセッティングが非常に難しいので、まずはラリーモンゴリアで後輪に装着し、挙動をテストします。
これらに加えて、エンジンの出力が向上したことにより、走行抵抗は大きいながらも土などの硬い路面でグリップ力が高く、コーナリングやブレーキ性能の高いタイヤに変更しトライします。
このレーシングトラックは、7月13日に日野自動車の羽村テストコースで走行テストを実施し、同月17日にモンゴルへ向けて出発します。
ラリーモンゴリア公式ウェブサイト(日・英)
▶http://www.sser.org/rallymongolia/
走行テスト(7月13日)を終えた選手のコメント
●ドライバー 菅原照仁氏:
前回から変更しているディスクブレーキと今回変更したタイヤの相性がとてもよく、ブレーキ制動力とコーナリング性能があがっていることが確認できました。タイヤのグリップ力があがった分、走行抵抗もあがっているのですが、現在日野で実験中の新しいエンジンコンピュータに交換して、どのくらい速く走れるものか、とても楽しみです。また、前回のダカールラリーで問題になった水温上昇は全く問題なく、ラリーモンゴリアでは万全の状態でテストができそうです。
●ナビゲーター 杉浦博之氏:
いろいろな改良を施したのですが、無事に走行テストを終えてまずはほっとしています。高速ステージの多いラリーモンゴリアなので、風洞実験で効果の得られたパーツが力を発揮してくれて、4輪クラスと同等のタイムで走れるようがんばりたいと思います。ナビゲーションが難しいといわれるラリーモンゴリアですが、ダカールラリー本戦を見据えて、状況判断のスピードと的確さをしっかりとトレーニングしてきます。
日野レンジャー 2号車のスペック
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