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外付け部品80%減!超小型・高効率の車載用電源ICを開発 位相補償回路内蔵で、かんたん設計を実現【ローム】
2013年5月31日
要旨
ローム㈱(本社:京都市)は、車載向けのマイコンやDDRメモリなどの電源に最適な小型・高効率の電源IC「BD905xxシリーズ」を開発しました。
新シリーズは、入力電圧2.69~5.5V、周波数2.25MHzで動作する、セカンダリ電源です。位相補償回路と帰還抵抗を内蔵することで、一般的な電源ICと比べ、外付け部品の大幅な削減を実現。車載機器の小型化や設計負荷の軽減に貢献します。
本製品は、2013年4月からサンプル出荷(サンプル価格:300円)を開始し、 2013年7月から当面月産20万個の規模で量産を開始。生産拠点は前工程をローム浜松株式会社(静岡県)、後工程をROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)で行う予定です。
背景
近年、電気自動車やハイブリッド車の普及、自動車のエレクトロニクス化の進展により、マイコンやメモリの搭載個数が増加してきています。これらの電力供給源である電源ICには一般的にLDOレギュレータが使用されてきましたが、効率が悪く、大電流化が難しいという課題がありました。そのため、高効率かつ大電流供給が可能なDC/DCコンバータの採用が進んでいますが、LDOレギュレータに比べて外付け部品が多く必要になるため、実装面積が増大するとともに、回路設計が非常に難しいという課題がありました。車載機器の高機能化とモデルサイクルの短期化が進む中、設計負荷の増大は大きな問題であり、簡単かつ使い勝手の良い高効率電源ICへの要求が高まっています。
新製品の詳細
電源ICの外付け部品が増える大きな要因の一つに、出力電圧を安定させるために必要な位相補償回路があります。従来は、外付けコンデンサや抵抗器で設定するのが一般的でしたが、今回ロームはIC内部で位相補償回路を最適化することに成功。これにより外付け部品点数を従来製品に比べ80%削減でき、車載機器の小型化に貢献します。またセットの電源設計の難しさの要因の一つであった位相補償調整も不要になるため、電源設計にかかる時間を短縮できるメリットもあります。
さらに同期整流方式を採用することで高効率を実現したほか、軽負荷モード(Light Load Mode)を搭載することで全負荷領域にわたって高効率を実現し、車載機器の低消費電力化が可能となります。
ロームは、今後も車載用電源IC分野において業界をリードする開発を進め、ラインアップを拡充し、自動車のさらなる低消費電力化に貢献していきます。
特長
1. 位相補償回路と帰還抵抗を内蔵し、外付け部品の削減と設計期間の短縮を実現
セットの誤動作を引き起こさないよう、電源ICを安定動作さるためには位相補償回路が必要になります。
新製品のBD905xxシリーズは、位相補償回路をIC内部に取り込み、最適化することで、外付け部品点数の大幅な削減を実現。また位相補償回路の設計は通常、多くの設計工数を要しますが、内蔵化することで、セットの電源設計にかかる時間を短縮できます。
2. 小型パッケージ
従来品に比べ、体積を約80%削減したHTSOP-J8パッケージ
(6.0㎜×4.9㎜ H=Max 1.0㎜)を採用
3. 発熱が小さく、低熱設計が可能
従来のLDOレギュレータに比べて損失が1/10程度(右例の場合)と少ないため、発熱を大幅に抑えられます。そのため、低熱設計が可能で、近年消費電流が増加してきている車載マイコンやDDRメモリなどの電源として最適です。
4. 同期整流方式、軽負荷モードの採用で高効率
同期整流方式を採用することで、最大で90%以上の効率を実現。
また軽負荷モードを搭載し、全負荷領域で高効率を実現しているため、車載機器の低消費電力化に貢献します。
5. ラインアップ
出力電圧はマイコンのコア向けの1.2V、DDRメモリ向けの1.5Vと1.8Vの3種類を、出力電流は2Aと3Aの2種類を用意しています。また、入力電圧2.69~5.5V、周波数2.25MHzで動作し、セカンダリ電源として最適です。
用語説明
● 帰還抵抗
オペアンプや発振回路で、特性を補正するために出力の一部を入力に戻すための抵抗のこと。
● DDR(Double Data Rate)メモリ
従来のメモリと比較し、およそ2倍のスピードでデータがやりとりできるメモリのこと。
● PWM(pulse width modulation)
制御用の信号として頻繁に用いられている変調方式のこと。
新商品速報
車載向けセカンダリ電源シリーズ BD905xxシリーズ(PDF:1820KB)
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