ニュース

デジタル電源制御に最適な機能を1チップに内蔵した車載向けマイコン新発売【富士通セミコンダクター】

2013年5月21日

富士通セミコンダクター㈱(注1)は、ハイブリッド車(以下、HEV)などの電気駆動車両に搭載されるバッテリーと電力伝達経路に装備される電源制御に最適な車載向け32ビットマイコン「MB91F552」を開発し、5月31日よりサンプル提供を開始します。
「MB91F552」は、「200メガヘルツ(以下、MHz)動作デジタルPWM(注2)モジュール」などのデジタル電源制御に最適な機能を汎用1チップマイコンに内蔵するとともに、「ピーク電流モード制御(注3)」にも対応し、安定した電源供給とシステムのコスト低減に大きく貢献します。


近年、普及が進んでいるHEV等の電気駆動車両では、走行時に発生した電力をバッテリーに蓄え、その電力をモーターやオーディオ、ライトなどの車内電装品への電力供給、補助バッテリーの充電に使います。現在、このようにして蓄えられた電力をモーターや車内電装品に供給するためには、DC/DCコンバーターやDC/ACインバーターなどの電源変換回路を制御する「電源制御システム」が必要で、バッテリー電圧や電力供給先の負荷の変動に対応し、安定的に電圧を供給するための「電源制御用IC」が求められています。

デジタル電源制御を汎用1チップマイコンで実現

「MB91F552」は、CAN、マルチファンクションシリアルなどネットワーク制御機能を搭載した汎用1チップマイコンに、「200MHz動作 デジタルPWMモジュール」ほか、デジタル電源制御に必要な各種機能を内蔵しました。アナログ信号のフィードバックをデジタル化し、演算処理を行い、PWM波形生成に反映させるといったデジタル制御を容易に行うことができます。また従来、電源システムの制御は個別部品の組み合わせにより構築していたため、その仕様を変更することは容易ではありませんでしたが、本製品ではソフトウェアでの変更が可能になりました。動作周波数やPWM波形出力タイミングなどを用途に応じて変更できるようになり、電源システムの開発期間削減、システムコストの最適化、およびシステム標準化に貢献します。

デジタル電源制御とピーク電流モード制御の併用が可能

加えて本製品は、デジタル電源制御の他に、電流フィードバックによる「ピーク電流モード制御」にも対応し、より安定した電源制御が可能になっています。従来、外部部品により実装されていた「スロープ補償回路(注4)」をマイコンに内蔵することで、安定した電源供給と同時に部品点数の削減が可能になり、システムのコストも低減します。



「MB91F552」は以上のように、電源制御システムの性能向上とコスト低減により、今後さらに普及拡大が期待されているHEVなど電気駆動車両の環境性能の改善に貢献します。

サンプル価格および出荷時期

販売目標

200万個 (2016年度)

本製品の特長

1. デジタル電源制御に必要な各種回路を汎用1チップマイコンに内蔵
「MB91F552」は、CAN、マルチファンクションシリアルなどネットワーク制御機能を搭載した汎用1チップマイコンに、「4チャネル同時サンプリング可能12ビットA/Dコンバーター」、「浮動小数点演算ユニット(FPU)」「200MHz動作 デジタルPWMモジュール」など、デジタル電源制御に最適な各種機能を搭載しました。出力電圧などアナログ信号のフィードバックをデジタル化し、演算処理を行った上でPWM波形生成に反映させる、といったデジタル電源制御を容易に行うことができます。

2. デジタル電源制御とピーク電流モード制御の併用で、電源制御システムの安定性向上に貢献
本製品に搭載されている「コンパレーター(信号比較回路)」と「スロープ補償回路」は、デジタル電源制御に加え、DC/DCコンバーターなどのスイッチング電源制御方式である「ピーク電流モード制御」にも対応します。通常動作時はデジタル電源制御による出力電圧フィードバックを行い、電流変化の大きい場合には電流フィードバックによる「ピーク電流モード制御機能」で対応します。
また、コンパレーターを2チャネル使用することで、電流フィードバックによる過電流保護制御も同時に行うので、電源制御システムの安定性に貢献します。

3. スロープ補償回路内蔵により、システム全体での調整容易性向上
従来、個別部品で構成されていた「スロープ補償回路」を汎用マイコンに内蔵したため、動作マージンの設定が容易になり、安定した電源供給を実現できます。システム全体での調整が容易となるとともに、外部部品の点数を削減でき、低コストで品質の高い電源システム開発が可能になります。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

添付資料

「MB91F552」の主な仕様(163KB)

注釈

注1  富士通セミコンダクター㈱ :
本社 神奈川県横浜市、代表取締役社長 岡田 晴基。

注2  PWM :
Pulse Width Modulation
パルス幅変調。パルス信号のオン期間を変動させ、DC/DCコンバーターなどのスイッチング電源を制御する方式。

注3  ピーク電流モード制御 :
DC/DCコンバーターなどのスイッチング電源制御方式において出力電圧と同時に、ピーク電流も制御する方式。

注4  スロープ補償回路 :
電流制御モードにおいて、安定動作性を確保する回路。

関連リンク

富士通セミコンダクター
自動車マイコン
EV/HV 電源制御

お客様お問い合わせ先

富士通セミコンダクター㈱
マイコンソリューション事業本部
自動車事業部 マーケティング部
電話 : 045-755-7043(直通)

お問い合わせフォーム




富士通セミコンダクター株式会社ホームページはこちら

キーワードをクリックして関連ニュースを検索

#富士通セミコンダクター
#マイコン