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新たな物理現象を応用! 直流共鳴方式ワイヤレス電力伝送システムの開発について【村田製作所】

2013年3月28日

要旨

㈱村田製作所は、ワイヤレス電力伝送システムの新技術として「直流共鳴 (Direct Current Resonance) 」方式を開発しました。

直流共鳴方式について

直流共鳴方式は、直流の電気エネルギーを電磁界エネルギーに変換し、「電磁界共鳴フィールド (Electromagnetic Resonance Field) 」と呼ぶ新しい物理現象を用いて電力を伝送する新技術です。直流電力源より直接共鳴フィールドを形成するため、エネルギー変換効率を高めることができます。また、電力伝送システムにおける電力変換回数を削減でき、シンプル化と高い電力効率を達成します。さらに、共鳴フィールドを拡大することで、さまざまな利用シーンでの応用が期待できます。

なお、直流共鳴方式は、蓄電デバイス技術、ワイヤレス通信技術、電力変換効率を高めるパワーモジュール技術、EMI技術など、当社がこれまで培ってきた技術を結集できます。お客様や各関係業界からのご意見もいただきながら、さまざまな利用シーンや用途に応じてソリューションの提案や価値ある製品開発を進め、エレクトロニクスにおける新しい価値創造を目指します。

開発の背景

当社では、1994年に国際学会で発表した「磁界共鳴」方式の先行研究をベースに、2009年より同志社大学との産学連携で研究活動を開始し、このたび、新しい物理現象とする「電磁界共鳴フィールド」を用いた直流共鳴方式ワイヤレス電力伝送システムを開発しました。今後、事業化、実用化に向けて本格的な開発を進めてまいります。

なお、研究成果は、電子情報通信学会総合大会 (2013年3月19日から3月22日) でのシンポジウムセッション「無線電力伝送の高効率化の実現に向けたアンテナ・伝搬、デバイス、システム技術」において発表し、電気学会マグネティックス研究会 (3月28日、3月29日) 、自動車技術会春季大会 (基調講演) (5月22日から5月24日) などでも発表する予定です。

特徴

1. 主な特長 (現行の磁界共鳴方式との比較)

1. 直流電力源からのワイヤレス電力伝送システムである
私たちが使う電力のほとんどは直流です。商用交流も直流に変換して利用し、ほとんどの電子機器は直流電圧で動作しています。そのため、直流電力源よりエネルギー変換を行うことで、高効率化が可能です。
2. 電気エネルギーと電磁界エネルギーを直接的に変換する
これまではワイヤレスで電力伝送するにあたり、4~6回ほど電力変換が必要であったのに対し、ダイレクトに1回での変換を目標としています。圧倒的な省エネと小型軽量が大きな優位点です。
3. 共鳴フィールドを拡大して電力を伝送する
送受電デバイス、共鳴デバイスの工夫により共鳴フィールドを拡大し、複数負荷への給電などが可能です。様々な利用シーンでの技術応用、製品展開が期待できます。

2. 現行方式との比較

・ 磁界共鳴方式と比べ、構成がシンプル、小型軽量となり、システムの電力効率を高められる
・ 電磁誘導方式と比べ、送電、受電の配置自由度が高く、重い磁性体 (鉄) や巻線 (銅) は不要
・ 電界結合方式と比べ、伝送距離を大きくしたいときに優位。物理的接触はなくてもよい
・ 無線電波方式と比べ、伝送電力が大きい。送電装置、送受電デバイスを小型にできる

用途

「ワイヤレス」であることの価値が高い分野での活用を目指しています。スマートフォンやタブレットなどの移動体機器に限定することなく、電池で動作する小型電子機器や通信カードへの給電なども視野に入れ、比較的電力の小さい用途を主体として展開してまいります。一方、電気自動車の充電など、比較的電力の大きい用途については、オープン・イノベーション等を活用し、技術支援やライセンス提供を行うことも検討しています。研究開発活動の推進および成果の普及を促進して、ワイヤレス電力伝送システムにおける科学技術と産業の発展に貢献してまいります。当社が注力する「エネルギー」分野においても、新たな市場の創出と製品展開を図りたいと考えています。

特許関係

・ 基本特許を含め、特許12件を出願済
・ 特許20件を出願準備中

コンソーシアム活動について

特定非営利活動法人 新共創産業技術支援機構 ITAC (アイタック)が4月に発足を予定している「ワイヤレスパワーマネジメントコンソーシアム (WPMC) 」に参加します。当社は、主に技術アドバイザーとして活動に参画し、成果の普及と産業の発展に貢献してまいります。

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TEL:075-955-6786/FAX:075-955-6526


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