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三菱重工業様の国産初のジェット旅客機「MRJ」の製造・組立を、次世代ものづくりクラウドで支援【富士通】
2013年3月13日
作業の効率化、セキュリティ向上、リードタイム短縮などを目指す
当社は、三菱航空機㈱様が開発を進めている次世代のリージョナルジェット機であるMRJ(Mitsubishi Regional Jet)の主要構造部品の製造と最終組立を行う三菱重工業㈱ 名古屋航空宇宙システム製作所(所在地:名古屋市港区、以下、三菱重工名航)様に、次世代ものづくり環境「エンジニアリングクラウド」を導入いたしました。
これにより、MRJの開発にあたり、国内外の複数の拠点で進められる設計・製造業務間でのシームレスかつセキュアーな情報共有が可能となるとともに、専用ワークステーション以外の一般のPCで3次元CADの快適な操作が実現でき、作業の効率化、セキュリティ向上、リードタイム短縮、運用負荷の軽減、3次元CADの有効利用が見込まれます。
MRJの開発は、国内外の技術を結集して、日本主導で低燃費、低コストかつ信頼性の高い旅客機をタイムリーに市場に提供することで、グローバル競争を勝ち抜き、わが国産業の新たな柱を築くことを目指す一大プロジェクトであり、当社は、本プロジェクトを「ものづくり」の観点で支援してまいります。
当社は、今後ともお客様の最適なものづくり環境の実現を目指すとともに、「ICTとものづくり」を通じて、日本の産業力強化に貢献してまいります。
[関連リンク] 「エンジニアリングクラウド」紹介サイト
導入の背景
航空機の設計・製造には、国内外の複数のパートナーとの共同作業が不可欠であり、シームレスに設計情報を共有することが必要です。しかしながら、遠隔地との情報共有やセキュリティ面の考慮などから、その実現には、多くの時間とコストを要していました。
そのため、三菱重工名航様では、3次元CADシステムをプライベートクラウド化し、端末側にデータを残さないシンクライアント環境での利用を検討されていました。またその実現には、特別な専用ワークステーションや高速回線を必要としないことも重要な要件となりました。
新システムについて
上記課題を解決するものとして、三菱重工名航様は、当社の次世代ものづくり環境「エンジニアリングクラウド」の採用を決定され、シンクライアント型のシステムを構築されました。
「エンジニアリングクラウド」は、世界最高レベルの高速シンクライアント技術「RVEC(レベック)(注1)」を採用したことにより、大量な設計データやアプリケーションなどをクラウド基盤に集約し、時間や場所、PCなどの端末環境にとらわれずにサービスを利用できるようにします。新システムは、具体的には、以下のようなイメージです。
導入効果について
新システム導入により、以下の効果を得ることで、作業の効率化、セキュリティ向上、リードタイム短縮、運用負荷の軽減、3次元CADの有効利用を目指します。
1. 設計・製造業務の各拠点から、手軽かつセキュアーに利用可能な設計環境を実現
3次元CADを、ネットワークを通してクライアントPCから操作できる環境を実現。技術者は、専用ワークステーションがなくても、3次元CADの利用ができ、持ち出しの手間や情報漏えいのリスクも軽減。
なお、各拠点からの3次元CADデータの呼び出しレスポンスが、従来の環境と比較し約30%改善。
2. 複数拠点間でのタイムリーなデザインレビューを実現
3次元CADの画面を複数の拠点からネットワークを通じて共有し操作するコラボレーション環境を実現。これにより、将来的には、これまで関係者が一堂に会して行っていたデザインレビューを、各自の自席で可能に。
3. 専用ワークステーションや3次元CADの有効利用、運用管理負荷を軽減
これまで各拠点に設置されていた3次元CADのワークステーションと3次元CADデータなどを集約することにより、これまでCADを使っていなかった部署でも3次元CADの利用が可能。運用管理負荷も軽減。
三菱重工業㈱ 名古屋航空宇宙システム製作所様のコメント
航空機の開発では、3次元CADによる設計が本格的に行われ、設計や製造の各部門で幅広く使われています。特に遠隔地などで技術情報を共有するには、レスポンスやセキュリティ面で多くの課題があり、その解決を模索していたところ、「RVEC」を紹介されました。当初は欧米のツールの利用も考えていましたが、富士通の技術改善に向けた熱心な取り組みから採用を決めました。
当社は、今後とも“国産”というキーワードをもとに、富士通とともにシステム改善につとめ、より優れた航空機を開発していきたいと考えております。
ご参考:MRJ開発プロジェクトについて
MRJは、国産初のジェット旅客機として開発が進められているもので、2013年中に試験機の初飛行を目指しています。日本での民間旅客機の量産は、YS-11以来、約半世紀ぶりであり、ジェット旅客機としては初めてとなります。
同機については、今後拡大が見込まれるリージョナルジェット機市場をターゲットとしており、国内外の技術を結集し、日本主導で、低燃費、低コストでかつ信頼性の高い旅客機をタイムリーに市場に提供することで、グローバル競争を勝ち抜き、わが国の新たな産業の柱を築くことを目指しています。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
注釈
注1 RVEC(レベック):
Remote Virtual Environment Computingの略。当社が独自に開発した高速シンクライアント技術。これにより3次元CADやCAEなどグラフィックスを多用するアプリケーションを仮想デスクトップ化し、ネットワークを介したクライアント端末から利用可能となる。
関連リンク
● 「エンジニアリングクラウド」紹介サイト
● 「RVEC(レベック)」(2012年5月15日 プレスリリース)
本件に関するお問い合わせ
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