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ジュネーブショーで世界にお披露目: ZFの9速オートマチック・トランスミッション、初採用となるランドローバーとともに【ゼット・エフ・ジャパン】
2013年3月4日
■ ランドローバー社、世界で初めて乗用車に9速オートマチック・トランスミッションを搭載
■ ZFによるトランスミッションの技術革新が、燃料消費を大幅に削減
■ 第83回ジュネーブ国際モーターショーで世界初公開
ゼット・エフ社は、エンジンを車両前部に横置きするレイアウトの乗用車のための9速オートマチック・トランスミッション(9HP)を、世界で初めて市販車に導入します。その大きな特徴として、9段階でカバーする変速比の幅が大きく、かつ各段の変速比が接近していることによる高い燃費効率、コンパクトな設計、洗練されたモジュール化コンセプト、そして速くかつ快適なギアシフトを挙げることができます。イギリスのプレミアムカー・メーカーであるランドローバー社はこれらがもたらすものの大きさを確信。ゼット・エフ社の新しい9HPはランドローバーに搭載されて、量産の最初の一歩を踏み出すことになりました。
「フロント横置きレイアウトに対応した新しい9速オートマチック・トランスミッションという、我々にとって最新のトランスミッションの技術革新が市場に導入されることを大変うれしく思います。これはランドローバー社と我が社が長年にわたって積み重ねてきた協力関係において、新たな成功の1 章となるものです」と、ゼット・エフ・フリードリスハーフェン社の取締役員であり、パワートレイン事業部の責任者であるゲルハルト・ワグナー博士は語ります。
この9速オートマチック・トランスミッションは「9HP」と呼ばれ、ランドローバー社の最初の搭載車種の生産が2013年末に向けて立ち上がるのに合わせて、アメリカ・サウスカロライナ州グレイコートにあるゼット・エフ社の新しい拠点での量産が動き出します。その市場導入に至る予定表の次のステップは3月7~13日に開催されるジュネーブ・モーターショーでのお披露目であり、ここでランドローバー社は新しいトランスミッションを搭載したモデルを一般公開します。
熟考が生んだアドバンテージ
パワーパッケージをフロントに横置きする車両レイアウトにおいてこれまで標準的であった6速オートマチック・トランスミッションと比べて、ゼット・エフ社の9HPは、燃料消費を、すなわちCO2の排出を大幅に削減します。9HPが優れて高い燃費効率を実現する技術的な基本は、レシオ・スプレッド、すなわち最も大きく減速してエンジンの回転が高くなるギア段から、変速比が最も小さくエンジン回転が低くなるギア段までの変速比の幅がきわめて大きく、その中を9段のギアに割り振ることで、とくに中高速の巡航時に使われる変速段のギア比のステップを可能なかぎり小さくしていることにあります。これによって巡航時のエンジン回転が下がって快適になるだけでなく、走行状況とその変化に応じてエンジンの回転領域を細かく切り替え、常に燃費が最良になるところを使うことができます。
トランスミッションにおける革新コンセプト
ゼット・エフ社は、9HPにおける多段化を4 組のギアセットと6組の変速機能要素(クラッチなどの締結・開放機構)の組み合わせによって実現しました。トランスミッションを構成するこれらの技術要素において、これは特別な挑戦でした。何といっても、乗用車の車両前部にエンジンとトランスミッションを一体に横置きして前輪を駆動するという基本デザインにおいて、トランスミッションを組み込むためのスペースは非常に限られたものになります。この理由から、4組のプラネタリーギア(遊星歯車)セットをひとつの軸の上に前後に並べる通常の配列は採用されず、技術者が知恵を絞って、4組のうちの2組は小さな歯車組の外側にもう1組が組み合わされるという配列を創出しました。
さらにこの設計コンセプトは、回転伝達経路の切り替えに油圧作動のドグクラッチ(円環から突き出した爪状の歯によって締結するシンプルな噛合機構)によっても補強されています。こうした技術要素の組み合わせによって、トランスミッションの長さ(車両にとっては左右の幅方向)を増大させることなく、同時に高い伝達効率を実現することができました。
この9HPに標準の「スターティング・デバイス」(発進停止のための伝達要素)としては、トルクコンバーターが使われています。ここで低速からトルクコンバーターを直結にしてその滑りをなくすために、直結状態でエンジンのトルク変動によって生ずる駆動系のねじり振動を吸収する複数段のダンパー・スプリングが組み込まれています。エンジンとトランスミッションを直結にすることで、無駄な燃料消費が削減でき、ドライバーの運転操作に対する反応が良くなる一方、快適性も向上しています。素晴らしいドライビングの感覚を生み出すために、ゼット・エフ社は全ての制御機能要素を、ギアの切り替えに要する時間と反応の速さが人間が感知できる限界よりも短くなるように設計しました。
9HPにおいては複数の変速段を「飛ばす」ギアシフトも可能で、このオートマチック・トランスミッションにスポーティな性格を与えています。こうした変速動作を制御するトランスミッション・コントロールユニットは、自動車メーカーによって様々な設定が可能ですし、エンドユーザーの走らせ方も反映されます。車速とエンジン回転などに対応して変速点をどう選ぶか、変速動作をどうするかなどについての設定自由度はきわめて大きく、燃料消費を最適化し、際立ったスポーティさを実現しつつ、快適性も調和させることができます。
柔軟性の高い「組み立てキット」方式
ゼット・エフ社はこの9速オートマチック・トランスミッションをモジュール構成のキットとして用意しており、それを組み合わせることで様々な車両形態に適用することが可能です。まず基本的には入力トルクの大きさによって2つの機種レンジがあり、エンジンの最大トルクで220~480Nmという幅広い領域に対応しています。それに加えて、スタート・ストップ機能(いわゆるアイドリング・ストップ)は、エンジンとトランスミッションの回転が止まっている状態でオイルを供給するポンプを別に追加することなく、標準状態のまま対応することができます。またトルクコンバーターを電気モーターに組み換えることで、パラレル・ハイブリッド方式(エンジンとモーターのどちらでも駆動する)の変速・駆動機構が構成されます。それだけにとどまらず、ゼット・エフ社の新しい9HPはオープンな構成の制御ソフトウェアと車両との間のインターフェイスの構築、そしてパワフルな電子制御ユニットを有しています。これは、考えうるかぎりの様々な車両コンセプトに柔軟に対応して組み込むことができることを意味します。
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