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部分放電の発生を抑制する高PDIV性エナメル線を開発【日立電線】
2012年12月13日
このたび日立電線㈱は、モータのさらなる長寿命化、小型化、高出力化のために、部分放電の発生を抑制する高PDIV(Partial Discharge Inception Voltage)性エナメル線を開発しましたので、お知らせします。
ハイブリッド自動車や各種産業機器には、インバータ駆動モータが搭載されております。インバータ駆動モータには急峻でかつ高い電圧(インバータサージ)が加わることが知られております。このインバータサージ電圧がモータコイルに用いられるエナメル線の部分放電開始電圧を超えた場合、エナメル線間で部分放電が発生し、絶縁皮膜が侵食することにより、モータが絶縁破壊してしまうことがあります。このため、部分放電に耐えられるエナメル線、あるいは部分放電が発生しにくいエナメル線が望まれております。
当社グループでは、絶縁皮膜に有機/無機ナノコンポジット材料を採用することで課電寿命特性を飛躍的に向上させた耐インバータサージ性エナメル線を開発しており、ハイブリッド自動車の駆動モータをはじめ多くのインバータ駆動モータに採用いただいております。
こうした実績を積み重ねる中、このたび当社では、モータのさらなる長寿命化、小型化、高出力化を実現するために、部分放電の発生を抑制する高PDIV性エナメル線を開発しました。
本開発品では、低誘電率化した高耐熱材料を絶縁皮膜に採用することで、PDIVの高いエナメル線を開発することに成功しました。低誘電率絶縁皮膜にはポリエステルイミド系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系の3種類の材料を適用した高PDIV性エナメル線をラインナップしました。
特にポリイミド系の高PDIV性エナメル線の部分放電開始電圧は、当社汎用ポリアミドイミドエナメル線(AIW)の部分放電開始電圧に対し、13%向上させたことにより、エナメル線の絶縁皮膜の薄膜化が可能となりました。この結果、エナメル線の長寿命化とともに占積率向上が可能となり、モータのさらなる信頼性向上や小型化、高出力化が期待されます。
今後、当社グループでは、エナメル線の性能向上に向けた開発に注力するとともに、事業の拡大を図ってまいります。
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