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太陽光、EVのインバーター評価向けにパワーアナライザを大幅強化【日置電機】

2024年1月26日

  

太陽光、EVのインバーター評価向けにパワーアナライザを大幅強化

  

HIOKI(日置電機株式会社:長野県上田市、代表取締役社長:岡澤尊宏)はパワーアナライザPW8001シリーズについて、太陽光発電やEV(電気自動車)の電力変換に使用されるインバーターの評価に向けた大幅な機能追加を行います。追加機能は、電力品質を評価するIEC(国際電気標準会議, International Electrotechnical Commission)測定規格への対応や、複数台のPW8001 を連携する光リンクインターフェイス、および電力の周波数解析を行うパワースペクトラム解析機能です。今回の機能追加でインバーターの開発支援をより強化し、再生可能エネルギーおよびe-モビリティの普及推進による温室効果ガスの排出削減に貢献します。



パワーアナライザ PW8001

  

■開発の背景

温室効果ガスの排出削減に向け、世界中で太陽光をはじめとした再生可能エネルギーの利用促進やEV の開発が行われており、この中でインバーターは重要な役割を果たしています。

自然エネルギーを利用した発電は環境負荷が小さい一方、急な天候の変化による出力変動が電力網に悪影響をおよぼすといった懸念もあります。太陽光インバーターは、太陽光パネルの直流電力を電力網に適合する交流電力に変換する装置です。急な天候変化が起きても出力が電力網に悪影響を及ぼさないよう、世界各国で規格が定められています。各国の規格ではそれぞれ太陽光インバーターに認証試験が求められ、試験項目のひとつとしてパワーアナライザを用いたIEC の測定規格に沿った評価が求められます。

また、大型の太陽光インバーター開発現場においては複数のパワーアナライザを使って多系統の電力を同時に計測するケースが珍しくなく、計測後のデータ統合は作業性、正確性の面で課題があります。

さらに、EV におけるエネルギー有効活用のひとつに航続距離の延伸があります。EV の重要なパーツであるインバーターは、バッテリーの直流電力をモーター回転に使う交流電力に変換します。このときインバーター内部では損失と呼ばれる無駄な電力が発生し、バッテリーの電力のすべてをモーターで使うことができません。少ない電力でより長い距離を走行するには、損失を減らして電力を有効活用する必要があります。EV インバーターの開発においては、損失がどこでどのように発生しているのか、原因究明と対策のための解析が求められています。

当社はこれまでインバーターやモーターの開発において、世界最高クラスの測定確度と信頼性の高い電力計測を実現するパワーアナライザPW8001 シリーズを市場に提供してきました。今回の機能追加でインバーター開発の効率化により貢献し、効率的な再生可能エネルギーの普及を促進します。

  

■新搭載機能の特長

1. インバーターの規格認証支援
太陽光インバーターには、世界各国でそれぞれの規格により認証試験が定められています。今回の機能追加では認証試験で必要とされる、IEC の測定規格に沿った高調波や中間高調波*1、フリッカー*2 といった複雑な演算に対応しました。
*1 高調波、中間高調波:交流の電圧や電流に含まれるノイズの一種。エネルギー損失の原因となり、最悪の場合機器の故障や火災につながるおそれがあるため、インバーター出力において抑制が求められる。
*2 フリッカー:交流電圧における断続的な微小変動。照明機器のちらつきを引き起こす。

2. 多系統同時計測を可能にする光リンクインターフェイス*3
太陽光インバーターの方式のひとつであるMPPT *4 では、最適な制御条件を求めるために接続されている全系統の電力を同時に計測する必要があります。光リンクインターフェイスは、2 台のPW8001を連結して最大16 チャネルの同時電力計測を可能にします。多系統を同時計測し、インバーター開発者が後から計測データを統合、解析する作業負荷を軽減します。
**3 PW8001-04、PW8001-05、PW8001-06、PW8001-14、PW8001-15、PW8001-16 のみ
*4 MPPT(Maximum Power Point Tracking):太陽光インバーターの方式のひとつ。太陽光パネルの出力特性に合わせて発電量を最大化するため、日射量に応じた制御を行う。

3. パワースペクトラム解析による電力変換損失の詳細な解析
太陽光、EV のインバーターでは直流電力を交流電力に変換する途中で、電力損失が発生します。周波数解析は、この損失がどこでどのように発生しているのかを知る有効な手掛かりとなります。PW8001の周波数解析はこれまで電圧と電流のみでしたが、当社独自の解析機能であるパワースペクトラム機能の追加により、電力の周波数解析が可能になりました。

  

■主な用途

今回の追加機能は、太陽光発電システム、e-モビリティ、インバーター市場のパワーアナライザユーザーに、以下のような用途による新しい価値を提供します。
・太陽光発電システムの規格適合試験
・MPPT 方式インバーターの効率計測
・多並列インバーターの同時計測
・パワースペクトラム機能によるインバーター損失評価と解析

  

■年間販売目標台数(国内外)

PW8001 シリーズ 1000 台/年

  

■提供開始日

2024 年 1 月31 日

  

■価格と製品一覧

PW8001 シリーズは搭載機能のちがいによって計12 機種のラインアップをご用意しています。このうち6機種 は、今回の光リンクインターフェイス機能追加により新たに発売となりました。 IEC の測定規格対応、パワースペクトラム解析は12 機種すべてに搭載されます。

詳細はこちら(PW8001製品ページ)

  

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本社カスタマーサポート
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