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「H3ロケット」に軸受を供給【NTN】

2024年2月19日

  

「H3ロケット」に軸受を供給
極低温環境下で超高速回転に対応するターボポンプ用軸受を100%供給

  

NTN株式会社(以下、NTN)は、2月17日(土)9時22分55秒、種子島宇宙センターより打ち上げられた「H3ロケット」試験機2号機にエンジン向けターボポンプ用軸受を全数供給しています。

人工衛星などの搭載物とともにロケットが飛行するためには、液体水素と液体酸素を高圧で燃焼させ、大量のガスを噴射させる必要があります。ターボポンプは、内部のインペラ(羽根車)が高速回転することで、燃料の液体水素と酸化剤の液体酸素をエンジンの燃焼室に送り込む役割を果たしています。

インペラの回転を支持する軸受は、液体水素(-253℃)や液体酸素(-183℃)の極低温環境下においても、dmn値*1にして約280万というジェット機にも匹敵するロケットの超高速回転を支えています。極低温中では油やグリースなどの一般的な潤滑剤は凍りついてしまうため、NTNは、極低温中でも潤滑性能を発揮する独自の固体潤滑剤に加え、強化ガラス繊維による高強度な保持器を軸受に使用し、これらの過酷な環境に対応しています。

「H3ロケット」のエンジンは、小型から大型までさまざまな大きさの人工衛星の打ち上げに対応するため、先行機の「H-IIAロケット」よりも推力が高められています。そのため、各部品には剛性の向上が求められており、「H3ロケット」のターボポンプ用軸受も、従来よりも大径化し、大きな予圧荷重を受けられる仕様としています。また、本商品には商業用国産基幹ロケット向けの軸受として業界で初めてセラミックを材質とした転動体(ボール)を適用しました。軸受の大径化に伴い、軸受に使用されるボールの遠心力は強くなりますが、金属製よりも軽量なセラミックボールを使用することで、軸受回転時のボールの遠心力を抑え、dmn値288万の高速回転を実現しています。

NTNは1986年より打ち上げられた「H-Iロケット」をはじめ、「H-IIロケット」「H-IIAロケット」と長年にわたり、多数の国産ロケットに商品を供給し続けています。また、航空分野においてもNTNの商品は高い評価を受けており、世界の大手ジェットエンジンメーカにも軸受商品を納入しています。

NTNは、これからも宇宙空間で使用される高品質・高機能な商品の開発・提供を通じて、航空・宇宙分野の発展に貢献してまいります。

 *1)軸受の回転性能を表す指標で、軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)



ロケットエンジン ターボポンプ用軸受


「H3ロケット」 ©JAXA

  

NTNの宇宙分野の歴史

1986年 ・日本初の航空宇宙用軸受専用工場の建設(三重県 桑名製作所)
・「H-Iロケット」1号機打ち上げ成功(当社軸受が採用)
1994年 ・「H-IIロケット」1号機打ち上げ成功(当社軸受が採用)
2001年 ・「H-IIAロケット」1号機打ち上げ成功(当社軸受が採用)
2003年 ・航空宇宙産業界向け品質マネジメントシステム JIS Q 9100の認証取得(国内軸受メーカ初)
・小惑星探査衛星「はやぶさ(MUSES-C)」の打ち上げ成功(当社軸受が採用)
2006年 ・技術試験衛星「きく8号」を搭載した「H-IIAロケット」11号機の打ち上げ成功(「きく8号」、「H-IIAロケット」ともに当社軸受が採用)
2009年 ・「H-IIBロケット」1号機打ち上げ成功(当社軸受が採用)
2010年 ・小惑星探査衛星「はやぶさ(MUSES-C)」が地球に帰還、プロジェクト成功の功績を認められ文部科学大臣より感謝状授与
2014年 ・小惑星探査機「はやぶさ2(Hayabusa2)」を搭載した「H-IIAロケット」26号機の打ち上げ成功
(「はやぶさ2」、「H-IIAロケット」ともに当社軸受が採用)
2024年 ・「H3ロケット」試験機2号機打ち上げ成功(当社軸受が採用)

  

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NTN株式会社
グループ経営本部 経営戦略部 広報グループ
TEL:06-6449-3579 FAX:06-6443-3226
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