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FLOSFIA と三洋化成が共同開発!電動化の新時代へ マイクロ温度ヒューズによる「Fail Operation」技術でパワーユニットの開発・製品化を加速!
2023年12月7日
FLOSFIA と三洋化成が共同開発!電動化の新時代へ
マイクロ温度ヒューズによる「Fail Operation」技術で
パワーユニットの開発・製品化を加速!
株式会社 FLOSFIA(本社:京都市西京区、代表取締役社長:人羅俊実、以下、FLOSFIA)と三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、代表取締役社長:樋口章憲、以下、三洋化成)は、2022 年より進めている共同開発により、FLOSFIA の基板埋込技術と、三洋化成が独自開発したヒューズエレメントを組み合わせることで超小型・薄型のパワーモジュールにも基板埋込できるマイクロ温度ヒューズの開発に成功しました。
基板埋込モジュールには複数のチップを予め埋設して並列動作させ、過熱発生時にはヒューズを断線させて異常箇所以外を保護することで「Fail Operation(フェイルオペレーション)」の機能を実現します。これによりフェイルオペレーションの設計を簡素化することができ、製品開発期間の短縮が期待されます。両社は、本技術を電動化時代に求められる製品化サイクルスピードアップに貢献するための新しい技術として幅広い社会実装を目指してまいります。
【課題背景】
パワーモジュールは電力の変換や制御ができるパワー半導体と各種電子部品を複数組み合わせて一つのパッケージにしたもので、電気自動車、家電製品、産業機器、新エネルギー、通信基地局など各種パワーエレクトロニクス製品の電力制御に使われています。さまざまな分野で電動化や自動化が進む中、パワーエレクトロニクス製品の信頼性の確保はますます重要になっています。
熱はパワー半導体の故障原因の一つで、高い信頼性を確保するために過熱保護は重要な機能です。過熱保護機能として一般的に温度ヒューズ※1 が知られていますが、自動車など、より高い信頼性が求められる用途では、ヒューズが働いて特定のシステムが切り離されても全体の機能を維持できるよう、バックアップに切り替えるフェイルオペレーション機能も備えられています。しかし、外付けで各種機能を付与すると、システム全体の大型化、重量化につながってしまうだけでなく、接続箇所の不具合発生など他のリスクもありました。また、各分野でパワーエレクトロニクス製品の需要が拡大し、ニーズ多様化する中、必要な要素を一から設計、開発していくと開発期間が長期化してしまい、コストがかかるという課題もありました。
【課題克服の要点】
これらの課題に対し、FLOSFIA は、基板埋込モジュール技術を利用して、超小型・薄型のパワーモジュールに適切な過熱保護機能を埋設した機能性モジュールを開発コンセプトに設定しました。
しかしこれまでの温度ヒューズは、サイズが大きく基板埋込へ形成することが難しい、作動温度が低くリフローはんだ付けに耐えられない、逆に基板の耐熱温度以上で動作するなど設定温度が高すぎる、などの点でいずれも適用が困難でした。
三洋化成は、化学の視点でニーズを発現するための「機能・性能」を物理的・化学的な「物性」に翻訳し、この「物性」を発揮させることができるよう、化学組成を設計することを得意としています。この手法を活用し、極微小でも適切な作動温度で通電を遮断できる可溶体を見出しました。本ヒューズは、300 度以上の高温で作動し、リフロー実装によるはんだ付けにも対応可能です。
両社の技術の融合により実現した、マイクロ温度ヒューズを埋設したパワーモジュールは、パワーエレクトロニクス製品の小型化、薄型化、軽量化、電気抵抗低減、信号伝送の品質改善などに貢献し
す。また、複数のチップを予め埋設しておくことも可能なため、過熱時に異常部だけを回路から切り離し回路全体を保護するフェイルオペレーションにつながる機能も付与できます。
ユーザーは本パワーモジュールを組み込むだけで簡単に過熱保護機能を付与でき、省スペースのフェイルオペレーション設計ができるので、アプリケーション開発期間の短縮とコストの削減が期待で
ます。
【今後の展開】
今回開発したマイクロ温度ヒューズを埋設したパワーモジュールで、サイズや信頼性、コストの面で温度ヒューズの適用が難しかった用途などへ、本技術の可能性を探ってまいります。
また、FLOSFIA が提案する「パワーモジュールプラットフォーム」※2 では、ユーザーは、標準の仕様に希望の要件を追加するだけでニーズにあったカスタムモジュールを短期間で提案、発注できるシステムの構築を目指しており、本マイクロ温度ヒューズを含め、総合的なソリューション提案によりユーザーのアプリケーション製品開発のさらなるスピードアップに貢献していきます。
パワーモジュールは、今後もさまざまな分野で需要拡大するとみられており、中でも省スペース、高信頼性につながる本パワーモジュールは特に車載用途への適用が期待できます。今後も FLOSFIAのパワーモジュール設計技術、基板埋込などのプロセス技術と三洋化成の組成設計技術を融合することで、パワーモジュールの課題を解決するソリューションを提案してまいります。
さらに、両社は FLOSFIA が目指す酸化ガリウム(GaO®)を用いた「半導体エコロジー®」※2 の実現に向けて引き続き連携を進め、GaO®の社会実装の加速化を目指します。
※「GaO®」・「半導体エコロジー®」は FLOSFIA の登録商標です。
【FLOSFIA について】
株式会社 FLOSFIA は、半導体により引き起こされる 3 つの環境負荷(エネルギー、プロセス、マテリアル)の低減を「半導体エコロジー®」と名付け、その具体的な取り組みとして京都大学発の新しいパワー半導体「酸化ガリウム(Ga2O3)」の普及を目指しています。
・会社名:株式会社 FLOSFIA(フロスフィア)
・所在地:京都市西京区御陵大原 1 番 29 号
・代表者:代表取締役社長 人羅 俊実
・資本金:42 億 850 万円(資本準備金含む)
・設立:2011 年 3 月 31 日
・URL:https://www.flosfia.com
・事業内容:酸化ガリウムパワーデバイスの研究・製造・販売等
・本件問合せ先:コーポレートサポート部 間嶋(E-mail info@flosfia.com)
【三洋化成について】
三洋化成工業株式会社は、界面制御技術をコア技術とし、約 3,000 種類に及ぶ高機能なパフォーマン
スケミカル製品を通じて、多様な分野の顧客の課題に応えるソリューションビジネスを展開しています。社
是である「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」を体現すべく、近年では、エネルギー・エレクトロニクス、
バイオ・メディカル、アグリニュートリションなどの分野にも注力しております。
・会 社 名:三洋化成工業株式会社
・所 在 地:京都市東山区一橋野本町 11 番 1 号
・代 表 者:代表取締役社長 樋口章憲
・資本金: 13,051 百万円
・設立:1949 年 11 月 1 日
・URL:https://www.sanyo-chemical.co.jp
・事業内容:パフォーマンス・ケミカルスの製造、販売など
・本件問合せ先:経営企画本部 広報部(電話 075-541-4312)
【用語解説】
※1 温度ヒューズ:設定した温度で作動し、それ以上の過電流を止めて基板等の焼損や出火を防止、システムを保護する電子部品。
※2 パワーモジュールプラットフォーム:幅広いパートナーと連携し、少量多品種の多様なニーズにも応えるカスタマイズ性を高めたパワーモジュールの開発を行うプラットフォーム。ユーザーが要求仕様をインプットすると提案から発注まで一気通貫で行うウェブユーザーインターフェイスの構築を目指している。
※3 半導体エコロジー:FLOSFIA が掲げる GaO®パワーデバイスを通した究極のエコロジーの実現を目指す取り組みのこと。酸化ガリウムは SiC や GaN より高耐圧・低損失という特性があり、低コスト化が可能で、これまでのパワー半導体では実現が難しかった究極のエコロジー:エネルギーロスを低減する「低エネルギーロス」、製造工程のロスを低減する「低プロセスロス」、半導体・周辺回路・システム全体で有限な地球資源のロスを低減する「低マテリアルロス」の実現が期待できる。
以上
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