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電気自動車向けノイズ対策用樹脂モールド面実装タイプMLCCを商品化【村田製作所】
2023年5月25日
電気自動車向けノイズ対策用樹脂モールド面実装タイプMLCCを商品化
~小型・低背でありながら沿面距離確保により高電圧への対応を実現~
株式会社村田製作所(以下、「当社」)は、電気自動車向けノイズ対策用樹脂モールド面実装タイプの積層セラミックコンデンサ「EVAシリーズ(以下、「当製品」)」を開発しました。当製品は、小型・低背(12.7×6.0×3.7mm)でありながら、高電圧負荷時に要求される沿面距離※1(10mm)を確保しており、国際規格「IEC60384-14」のY2クラス※2に対応しています。樹脂モールド面実装タイプの積層セラミックコンデンサとしては世界初※3の製品です。2023年6月から量産を開始する予定です。
※1 沿面距離:部品の端子間をつなぐパッケージ表面に沿った最短距離のこと。
※2 Y2クラス:IEC60384-14で定められた安全規格クラスのうち、感電に対する基礎的な絶縁保護の役目をする絶縁状態が確保されているクラスを指す。Y2クラスのコンデンサは、基礎絶縁コンデンサと呼ばれ、アース端子を持つセットで使用される。
※3 当社調べ。2023年5月24日時点。
近年、電気自動車(EV)市場において充電時間の短縮化により、バッテリーの高電圧化が進んでいます。従来のEVには、電圧が400V帯のバッテリーが搭載されていましたが、すでに、800V帯の車種も市場投入されています。それにともない、車載充電器(OBC)やモータ駆動用インバータなど車載パワーエレクトロニクス機器で扱う電力も高電圧化し、それらを構成する部品には高電圧負荷時に安全性の高いノイズ対策が求められています。一般的に安全性の高いノイズ対策部品には長い沿面距離が必要です。国際規格「IEC60664-1」※4では、400V帯のバッテリーに対応する際に求められる沿面距離は2.8mmでしたが、800V帯になると5.6mmにまで伸ばす必要があります。しかし、これまで高電圧負荷時の安全性を確保したまま沿面距離を延ばすことが困難であり、規格に準拠するためには、フィルムコンデンサや大型の単板コンデンサといった別タイプのコンデンサを代替部品として活用することが必要でした。
※4 国際規格「IEC60664-1」:機器の空間距離、沿面距離および個体絶縁物のための要求事項を規定した国際規格。
当製品は、これまで当社が培ってきた安全性の高い高度なMLCC技術と、小型化に適した樹脂モールド技術を活用することで、高精度かつ小型・低背なMLCCの特長を維持しつつ、これまで実現できなかった10mmと長い沿面距離を実現しました。これにより、EV搭載機器で想定される高電圧800V帯にも、十分に対応可能となります。
当社は、今後も、市場ニーズに対応したラインアップ拡充に取り組み、自動車の高性能化・高機能化に貢献していきます。
主な特長
・国際規格で要求される安全クラスに対応:沿面距離と空間距離共に10mmを確保。IEC60384-14で定められたY2クラスに対応。
・表面実装・リフローが可能:リフロープロセスの適用による製造工程での生産効率向上と低背化を実現。
・高い強度:金属端子を装備することで端子がばねとして機能するため、はんだクラックやたわみクラックに対する耐性が向上。
主な仕様
製品名 | EVAシリーズ |
---|---|
大きさ | 12.7×6.0×3.7mm(外曲げタイプ)、8.4×6.0×3.7mm(内曲げタイプ) |
沿面距離 | 10mm以上(外曲げタイプの場合)、6mm以上(内曲げタイプの場合) |
定格電圧 | AC305V / DC1500V(安全規格:UL/c-UL、ENEC(VDE)に準拠) |
耐電圧 | AC2000V(60秒)/ DC4000V(60秒) |
使用温度範囲 | -55~125℃ |
温度特性 | U2J(7U) |
耐基板曲げ性 | 5mm(60秒)(車載用受動部品の信頼性試験規格:AEC-Q200準拠(3mm要求に対応)) |
容量範囲 | 0.1~4.7nF ±10% |
絶縁抵抗(min) | 10000MΩ |
動作温度範囲 | -55~125℃ |
主な用途
車載充電器(OBC)、EVモータ駆動用インバータ、DC-DCコンバータ、ワイヤレス給電システム(WPT)、バッテリマネジメントシステム(BMS)、コンプレッサやポンプなど高電圧駆動車載機器など
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ムラタについて
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
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