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e-Axle向け「絶縁被膜付き軸受」を開発【NTN】
2023年5月16日
e-Axle向け「絶縁被膜付き軸受」を開発
・外輪外径と幅面への絶縁被膜加工により耐電圧100V以上の優れた絶縁性能を実現
・電食を抑制し、車両の省燃費・省電費化を背景とするバッテリーの高電圧化に対応
NTN株式会社(以下、NTN)は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)で使用されるe-Axle向けの耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」を開発しました。軸受内部への電流通過を低減する絶縁被膜加工を軸受の外輪外径と幅面に施すことで、耐電圧100V以上の絶縁性能により電食の発生を抑制し、バッテリーの高電圧化などに対応します。
e-Axle向け耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」 |
平行軸e-Axleにおける適用例(赤丸部分) |
開発の背景
近年、脱炭素化に向けた取り組みが進む中、自動車市場においてはEVやHEVをはじめとする環境対応車の開発・普及が加速しています。
これらのモータを主動力源とする自動車には、モータとインバータ、減速機の3つが一体化したe-Axleが搭載されています。e-Axleはバッテリーの電気により稼働しますが、軸受内部に電流が通過した際にスパークが発生して金属組織が溶融するとはく離などの損傷につながることから、軸受には漏洩電流による電食への対応が必要とされています。
開発品の特長
1. 耐電食性能 | 軸受内部への電流通過を低減する絶縁被膜加工を軸受の外輪外径と幅面に施すことで耐電圧100V以上の絶縁性能を実現しました。モータ用軸受にかかる電圧はバッテリー電圧の10%以下と想定されるため、今後増加が見込まれるバッテリー電圧800Vに対応可能な耐電圧を有しています。 |
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2. 放熱性能 | 耐電食性と放熱性を両立する膜厚とすることで、被膜加工を施していない標準品と同等の放熱性能を備えています。 |
3. 耐摩耗性能 | 絶縁被膜は摩擦係数が低く耐摩耗性に優れており、被膜加工を施していない標準品と比べて外輪外径とハウジング内径の総摩耗量を88%低減することが可能です。これにより、固定されていた外輪が円周方向に回転して摩耗するクリープ現象が発生した際も、絶縁に必要な被膜を維持することが可能です。 |
<電食試験後の外輪軌道面>
標準品では電食特有の波板状の損傷が発生
標準品 |
開発品 |
なお、今回開発した絶縁被膜は世界最高水準の高速回転性能を誇る高速深溝玉軸受*を含む当社のe-Axle向け軸受商品への適用も可能です。
NTNはe-Axleの電食に対応する商品として、セラミック製の転動体を用いた軸受を提供してきました。今後、コスト面に優れた本商品を当社の電食対策商品のラインアップに加えることで、e-Axleの進化に伴って高まる耐電食のニーズに対応し、EV・HEVのさらなる普及や高機能化に貢献してまいります。
NTNは、本商品を5月24日~26日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」に出展します。
* 2022年4月28日プレスリリース:
EV・HEV用深溝玉軸受の高速回転dmn値220万を達成
https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news202200027.html
用途
EV・HEV用e-Axle(モータ、減速機)
ご参考
e-Axleによる電食
EVバッテリーは、車両の航続距離の延長やバッテリーの充電時間の短縮などを目的に高電圧化が進んでいます。将来的には電圧が約800Vのバッテリーも普及すると予想されており、高電圧化するとスパーク発生時における軸受の損傷はこれまで以上に大きくなります。また、モータ制御の効率化に向けてインバータ制御周波数の高周波化が進んでおり、スパークの発生回数が多くなることから電食の発生頻度はますます増えることが考えられます。 |
NTNのe-Axle向け商品
e-Axleは、車両の航続距離の延長に向けて、電費向上を目的とした小型・軽量化が進んでいます。小型・軽量でありながら、走行に必要なトルクを生み出すためにモータは高出力化が進み、使用される軸受には、高速回転性能が求められています。e-Axleの軽量化により軸受やハウジングが薄肉化すると、荷重により軸受外輪が円周方向に回転して摩耗するクリープ現象が発生します。クリープにより外輪が摩耗すると、軸受の芯ずれや傾きが大きくなり、装置の異音や振動、または摩耗粉による軸受の寿命低下などを引き起こすことがあります。NTNはこうした高速回転やクリープなどe-Axle特有の使用環境に対応したさまざまな商品を開発し、提供しています。 |
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