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アウディ、未来の生産計画を提示(ドイツ本国発表資料)
2022年12月26日
アウディ、未来の生産計画を提示(ドイツ本国発表資料)
> 包括的なアプローチ、360factory:2029年までにすべての生産拠点で電気自動車を生産
> 2033年までに工場のコストを半減
> 生産およびロジスティクス担当取締役 ウォーカー:「資源を節約しつつ、持続可能なプレミアムモビリティプロバイダーへの変革を加速させる道を進んでいる」
(ドイツ本国発表資料)
2022年12月20日、インゴルシュタット:アウディはeモビリティへの移行に全面的に取り組んでいます。2026年以降、世界市場においてニューモデルは電気自動車のみを発売し、2033年までに内燃エンジン搭載モデルの生産を段階的に廃止します。アウディは現在、電動化戦略Vorsprung 2030の一環であるこの明確な決定に基づき、電気自動車の生産に対応するために、世界各地の拠点で準備を進めています。
多くの競合ブランドとは異なり、アウディはこのビジョンを達成するために、既存のグローバルな生産ネットワークを活用することを計画しています。AUDI AG生産およびロジスティクス担当取締役 ガード ウォーカーは、次のように述べています。「私たちは、すべての拠点を段階的に未来へと導きます。私たちは、新しい電気自動車用の工場を更地に建設したいとは思っていません。その代わりに、既存の工場に投資して、新しく建設される生産拠点や工場と同じくらい、効率的で柔軟な生産ができるようにします」。ウォーカーによれば、これは効率的、生態学的、社会的な観点における持続可能な取り組みです。「アウディは資源を節約し、持続可能なプレミアムモビリティプロバイダーへの変革を加速させるための道を歩んでいます」と強調しています。
彼は、生産を柔軟かつレリジエンス(回復力)のあるものにして、将来にわたって長期的に持続可能性なものにしたいと考えています。この目標を念頭に置き、アウディはさまざまな視点を考慮に入れて、包括的な戦略を策定しました。ウォーカーと彼のチームは、次の質問に焦点を当てています。「社会、お客様、ステークホルダーが私たちに期待しているものことは?そして従業員が将来的に必要になるものとは?」。これに対応して、アウディは将来のビジョン360factoryを策定しました。このアプローチは、費用対効果、持続可能性、柔軟性、企業としての魅力度に等しく重点を置いています。
eモビリティへの道のりに関する意欲的なロードマップ
2020年代の終わりまでに、アウディは世界中のすべての拠点で電気自動車を生産する予定です。「この目標を達成するためには、高度なスキルを備えた従業員が必要です。そのため、約5億ユーロの予算を確保して、2025年までに従業員が将来の生産に適合するためのトレーニングを実施します」とウォーカーは説明しています。ベーリンガーホフとブリュッセルの2つの拠点では、すでに電気自動車を生産しています。そして来年、インゴルシュタット工場から最初の電気自動車Audi Q6 e-tronがラインオフします。また、電気自動車の生産は、ネッカーズルム、サンホセチアパ、ジェールでも徐々に開始されます。このように2029年には、すべての生産拠点で少なくとも1つの電気自動車モデルが生産される予定です。地域の状況に応じて、内燃エンジン搭載モデルの生産は、2030年代の初めまでに段階的に廃止される予定です。
新しい工場は、追加の生産能力が必要な場所にのみ建設されます。たとえば、アウディとパートナーである中国第一汽車集団(FAW)は現在、長春に新しい工場を建設しており、そこではPPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)をベースにしたモデルが現地生産されます。建設は2024年末までに完了する予定で、アウディの電気自動車のみを生産する中国初の工場となります。
生産性向上を進めるための変革
しかし、工場の電動化は、将来の生産に対するアウディのビジョンへの道のりの1つの側面にすぎません。「eモビリティへの移行を通して必要な変革を行うことで、生産性と最適化を大幅に飛躍させます」とウォーカーはコメントしています。将来に向けた準備を整えることで、アウディの生産ネットワークは、効率的で、持続可能で、魅力的であるだけでなく、柔軟になることも意味しています。これは、意欲的な指標を含む、変革における4つの中心的な目標でもあります。将来の生産を効率的なものにするために、アウディは2033年までに年間の工場関連コストを半分に削減したいと考えています。これを達成するために、お客様にメリットをもたらさない複雑な車両構成を簡素化することを計画しています。そのため、新しい車両は、合理化された生産プロセスを初期段階から考慮して開発されます。アウディは、ローカルサーバーを活用したEdge Cloud 4 Productionソリューションなど、生産のデジタル化も継続して実施します。これにより、高価な産業用パソコンの置き換えが可能になり、ソフトウェアの導入やOSの変更など、IT関連の労力や費用が削減されます。将来、アウディは新たなソリューション、独立したモジュラーアセンブリも使用して、製品の優れた多様性を保ちながら、生産作業をシンプル化する予定です。バーチャルアセンブリー計画は、素材のリソースを節約するだけでなく、様々な場所で革新的かつ柔軟な協力関係の構築を可能にします。
柔軟で持続可能な生産
アウディは、お客様のニーズや生産プログラムの変化に迅速に対応するために、生産プロセスをさらに柔軟に対応できるようにします。「お客様に最適なメリットを提供するために、製品と生産の両方を再構築したいと考えています」とウォーカーは述べています。この目的のため、例えばAudi Q6 e-tronは、インゴルシュタットのAudi A4およびA5と同じラインで生産されます。その後、ライン上の内燃エンジン搭載モデルは、電気自動車に徐々に代わります。
アウディは、2019年以来、生産とロジスティクスに関連するエコロジカル フットプリントを削減するために、Mission:Zeroと呼ばれる環境プログラムを実行してきました。このプログラムの中心的な目標は、2025年までに世界中のすべてのアウディ生産拠点をネットカーボンニュートラルにすることです。そのため、ブリュッセル、ジェール、ネッカーズルムのベーリンガーホフ工場はすでに改修されています。この環境プログラムでは、生物多様性の保護と保全だけでなく、資源と水の効率的な使用にも取り組んでいます。例えば、アウディは、2035年までに生産拠点における現在の環境に配慮した水消費量を半分にすることを計画しています。2018年、アウディ メキシコは、排水を一切出さずに車両を生産する世界初のプレミアムブランドになりました。ネッカーズルム拠点では、工場と近隣の自治体の廃水処理プラントとの間に、水循環システムを構築するパイロットプロジェクトが完成しました。これによって、淡水の需要を70%以上削減することができます。
アウディは現在、360factoryへの過程で、生産に関連する極めて高い持続可能な目標を設定しており、2030年までに、一次エネルギー消費量、発電所からの排出、CO2換算値、大気汚染物質、地域の水リスク、廃水および廃棄物量を含む絶対的な環境への影響を、2018年の数値と比較して半分に削減することを目指しています。この目標を達成するための重要なステップとしては、社内で再生可能エネルギーを生成し、革新的なテクノロジーを活用して、資源をクローズドサイクルで再利用し、より循環的なバリューチェーンを構築することが含まれます。
社内と社外の両方で魅力的な企業となる
また、Audi 360factoryは、アウディが魅力的な雇用主であることを、社内だけでなく社外(特に製造業)にも示しています。アウディは現在、この取り組みの一環として、シフト制が採用されている作業領域であっても、勤務時間をより柔軟に対応するためのコンセプト策定に取り組んでいます。アウディはまた、従業員の作業環境と休憩室をより快適なものにしています。アウディの生産部門は、自らを自動車メーカーとしてだけではなく、プロセス技術の開発メーカーであるとの自覚を持って仕事に取り組んでいます。ウォーカーは、「私たちは、すでに在籍している従業員だけでなく、すべての応募者、学生、専門職にとって最高の雇用主になりたい」また、「360factoryへの変革には、エレクトロニクスやソフトウェア開発など、一般的に生産に関連しない分野であっても、高い能力が必要です」と述べています。
インゴルシュタット工場は、アウディ初の完全に包括的な360factoryとして、世界中にあるアウディの大規模生産工場変革の設計図となっており、今後、他の工場でも、段階的に変革に取り組む予定です。「変革はまだ道半ばです」とウォーカーは言います。「しかし、私たちは、目的地に到達するための明確な道筋とステップに従って行動しています」
※本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。
∗ CO2排出量「正味ゼロ」関するアウディの解釈とは、あらゆる削減対策を採用した後で、アウディの製品や活動によって排出される、もしくはアウディのサプライチェーン、製造、リサイクルにおいて現段階では排出が避けられないCO2は、世界各地で実行する自主的プロジェクトで相殺するというものです。車両の使用段階で排出されるCO2、すなわちお客様へ納車された時点から発生する CO2排出量は考慮されていません。
∗ 生態系を重視して計算した水消費量により、世界中のアウディ拠点における水の絶対需要を比較することが可能になります。その一方で、一般的な地域の水不足の要因や雨水の使用量も考慮に入れる必要があります。この方法により、特に水が不足している場所での節約を優先することができます。
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