ニュース
EV用モータステータコイルの接合に最適な溶接システムを開発【ダイヘン】
2022年7月6日
EV用モータステータコイルの接合に最適な溶接システム
「PLASMA JET TIG」を開発
■要旨
株式会社ダイヘンは、EVなどの次世代自動車に使用されるモータの主要構成部品「モータステータコイル」の接合に最適な溶接システム「PLASMA JET TIG」(以下、PJ-TIG)を新たに開発、2022年9月より販売開始いたします。
■開発の背景
脱炭素社会の実現に向け、世界中でEVシフトが加速しています。日本政府は国内販売車の電動化について「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」という目標を表明しており、今後の更なるEV化の進展に対応するため、自動車産業における生産性向上は喫緊の課題となっています。
中でも、EVに使用されるモータの需要はさらに拡大していくことが確実視されており、そのモータの主要構成部品の一つである「モータステータコイル」の製造においては、電磁鋼板積層コアや平角銅線などに精密な接合を必要とします。接合には、通常TIG溶接が使われますが、溶接点数の多い平角銅線は熱伝導性が高く、アークの熱が急速に母材に拡散してしまうことから、溶融までにかかる時間が課題となっています。時間短縮を図るため、よりエネルギー密度の高いレーザ接合の採用が進みつつありますが、この手法も集中した熱源による入熱範囲の狭さに起因した溶け残りや高額な導入コストなど、品質・コスト面で課題があります。
そこで当社は、このたび生産性向上と品質・コスト面の課題を一度に解決する高密度プラズマアーク溶接システム「PJ-TIG」を開発しました。本製品は、狙いズレ裕度やギャップ裕度が広く、溶け残りの無い高品質な接合を実現します。また、当社製品「Welbee-TIGシリーズ」に制御装置と PJ-TIG専用のトーチを組み合わせたシンプルな構成で、レーザ接合システムより導入コストを 60%削減可能になるとともに、レーザ接合と同等のタクトタイムも実現いたします。
■特長
1.高能率・高品質な接合
・独自のトーチ構造により作り出す高速気流が、TIG溶接よりエネルギー密度の高いアークを実現
・銅など熱伝導性の高い材料でも、短い溶接時間で高い溶接品質を実現
・レーザ接合より入熱範囲を広げることで平角銅線の接合部に生じる段違いやギャップなどに対する接合裕度が拡大し、溶け残りの無い安定した接合を実現
2.導入・ランニングコストの低減
・平角銅線のレーザ接合システムに必要な、狙い位置補正に用いるセンサや画像処理システムが不要となり、同システムと比較し導入コストを約60%削減可能
・レーザ接合比でランニングコストを約 80%削減(年間2.7億円)、CO2排出量を最大85%削減
・従来のTIG溶接で必要だった電極の研磨/交換を自動化し、タクトタイム短縮に貢献
3.さまざまな材質に対応
・亜鉛めっき鋼板・鉄・ステンレス・アルミ合金・マグネシウム合金・チタンなど、銅以外のさまざまな材質にも対応
販売開始 | 2022年9月 |
---|---|
販売予定数 | 1,500セット/年 |
メーカ希望価格 | 2,200千円/セット(税抜き) |
■本製品に関するお問い合わせ先
株式会社ダイヘン 溶接・接合事業部 企画部
TEL:078-275-2005
株式会社ダイヘン ホームページはこちら