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シェフラーが排出ガス削減と航続距離の延長を実現する新たな高性能玉軸受を発表
2022年5月11日
シェフラーが排出ガス削減と航続距離の延長を実現する新たな高性能玉軸受を発表
小さな軸受が生みだす大きな効果
・世界初:シェフラーは開放形・密閉形双方の利点を備えた遠心ディスク一体型玉軸受を発表
・CEOマティアス・ジンク:「当社が新規開発した玉軸受が駆動システムの更なる効率化を実現し、電動モビリティの日常化を促進」
・高効率化:CO2を削減し、電気自動車の航続距離を延長
・サステナビリティの向上:高性能化が軸受とトランスミッションの小型化、排気ガスのさらなる削減に寄与
小さな軸受が生み出す大きな効果:シェフラーが開発する遠心ディスク一体型玉軸受は、電気自動車の航続距離を延長します。 |
電気自動車、ハイブリッド車、内燃エンジン車、いずれのパワートレインも軸受が無ければ動作することはできません。まさに、軸受こそが世界を動かしていると言っても過言ではありません。シェフラーは遠心ディスクを一体化した特殊な高性能玉軸受を開発しました。遠心ディスクの採用で、内燃エンジンやハイブリッドパワートレイン搭載車のCO2排出量の削減に寄与します。電気自動車の場合は、1回の充電で走行可能な航続距離を延長することが可能です。新軸受の重さはわずか300グラム。寸法は仕様により異なりますが、直径5センチから10センチとコンパクト設計になっています。シェフラーAGオートモーティブテクノロジーズ部門最高経営責任者(CEO)のマティアス・ジンクは次のように述べています。「イノベーション力こそ、シェフラーの企業としての成功と自動車事業を拡大する原動力です」。さらに、「当社が新規開発した玉軸受が駆動システムの更なる効率化を実現し、電動モビリティの日常化を促進します。」と述べています。
この新しい玉軸受は、既に2021年から自動車OEM数社で量産ハイブリッド車やデュアルクラッチトランスミッション車に採用されています。シェフラーでは、その他OEM各社向けにも量産化に向けた開発プロジェクトが進行中です。特許出願中のこの技術を、軸受事業の新たな分野を切り開く足掛かりにするべく、電気自動車専用アプリケーションなどさまざまな可能性を模索しています。この玉軸受は「ドイツ・イノベーション・アワード2022」の大企業部門最終選考会のファイナリストにも選出されています。
長所の融合
玉軸受には両側が開いている「開放形」と、特殊ゴムでシールする「密閉形」の2種類があります。密閉形は、転動体や軌道輪への異物の侵入を防止する利点があります。異物侵入の防止は摩耗の抑制につながり、製品寿命の長期化が期待できます。一方、このタイプが抱える短所として指摘されるのが軸受内部の抵抗(シールの摺動抵抗)」の大きさです。抵抗が大きければ、エネルギー損失につながります。開放形の場合、抵抗は小さく抑えられる一方、異物が侵入しやすくなり、損傷する可能性が高くなります。どちらのソリューションを選ぶかは、まさにジレンマです。シェフラーが開発した遠心ディスク一体型高性能玉軸受は、開放形と密閉形双方の利点を生かした非常に特異な軸受です。軸受内部の抵抗によるエネルギー損失も、大幅な低減が図られています。シェフラーの軸受事業部門責任者を務めるディーター・アイライナー博士は次のように述べています。「抵抗が小さいということは、運転エネギーをより効率的に利用できるということを意味します。すなわち、車両の排気ガス量の低減や電気自動車の航続距離延長にもつながるのです。」
この新しい軸受の最大の特徴は、軸受外輪に合成ゴム製のシール板を取り付ける代わりに、軸受内輪に特殊設計した遠心ディスクを一体化させていることです。このディスクが、密閉形軸受と同様に異物の侵入を防止する働きをします。一方、このディスクはどこにも接触することなく回転しているので、抵抗は従来の密閉形軸受よりも80%低く抑えることができます。その結果、CO2排出量は車両1台あたり最大0.3グラム/キロメートルの低減が可能です。動力損失は最大で30ワットの削減を実現し、電気自動車の航続距離を最大1%延長することができます。「高効率な軸受技術が、サステナブルなモビリティで果たす役割は重要です。当社が開発した新しい軸受は、小さな変化が大きな違いを作ることを示す好例です。」とアイライナー博士は述べています。遠心ディスク一体型軸受は、大幅な長寿命化も実現しています。サービス寿命は開放形軸受の最大で10倍、従来の密閉形の2倍を達成します。寿命が延びるということは、軸受やトランスミッションアッセンブリーの小型化にもつながり、材料の使用量や重量の低減を図ることも可能です。
玉軸受がかなえる電動ドライブの高効率化
シェフラーは70年以上に渡り、針状ころ軸受の開発および製造に携わってきました。2001年にはドイツ・シュヴァインフルトのFAG Kugelfischer Georg Schäfer AG社を傘下に迎え入れ、ころ軸受のポートフォリオを大幅に拡充しています。軸受は、機械技術やトランスミッション製造と同様に自動車業界にとって不可欠な部品です。電気自動車(EV)も、軸受なしでは走行できません。EVの場合、変速機構を持たない1段のみのギアで走行は可能ですが、低速・高速などさまざまな速度域に対応するために、ギア比の固定されたいわゆる減速機を使用しています。電気モーターも最高回転速度20,000rpmの高回転タイプが増えており、トランスミッションやそこに内蔵される軸受の設計、材質、塗装などに求められる要求は高度化しています。「電動パワートレインへのシフトで、軸受のイノベーション開発は加速しています」とアイライナー博士は話しています。こうした状況に対応するため、シェフラーでは、軸受技術と電動ドライブシステムの包括的なシステムノウハウの集約化を図っています。このような知識の融合が、新たな製品も誕生させています。例えば、800Vの高電圧電気駆動システムや、パワーエレクトロニクスにSiC(炭化ケイ素)半導体を採用する車両に対しては、電食による損傷を防止する機能を備えた軸受を開発しています。
長所の融合:遠心ディスク一体型高性能玉軸受は、開放形と密閉形双方のメリットを融合させた世界初の軸受 |
遠心ディスク一体型高性能玉軸受:回転するディスクが異物の侵入を防ぎ、軸受内の余剰オイルを排出します。 |
シェフラージャパンPress ReleaseのURL:
シェフラーが排出ガス削減と航続距離の延長を実現する新たな高性能玉軸受を発表 | プレスリリース | シェフラージャパン (schaeffler.co.jp)
シェフラーグループ– We pioneer motion
シェフラーグループは自動車および産業機械分野における世界的なリーディングサプライヤーとして、75年以上にわたり、モーションとモビリティの分野において画期的な発明や開発を行ってきました。 電動モビリティ、CO₂効率に優れたドライブシステム、インダストリー4.0、デジタル化、そして再生可能エネルギーなどのための革新的なテクノロジーや製品及びサービスの提供において、当社はモーションとモビリティをより効率的でインテリジェントかつ持続可能なものにするための信頼されるパートナーです。また当社はパワートレインやシャシー用の高精度コンポーネントやシステム、多くの産業機械用の転がり軸受や滑り軸受のソリューションを開発・製造している技術会社です。シェフラーグループは2021年には約139億ユーロを売上げました。約83,000人の従業員を擁するシェフラーは世界最大級のファミリーカンパニーです。また、シェフラーは2021年には1,800件以上の特許出願を行っており、DPMA(ドイツ特許商標庁)によればドイツで3番目に革新的な企業です。
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