ニュース

1秒間に1,000万コマの超高速撮影が可能な 高速度ビデオカメラHyperVision HPV-Xを発売【島津製作所】

2012年9月3日

高速度ビデオカメラHyperVision HPV-X

島津製作所は、1秒間に1,000万コマの超高速撮影が可能な、高速度ビデオカメラHyperVision HPV-Xを9月3日に発売します。HPV-Xは、当社の高速度ビデオカメラHyperVisionシリーズのフラッグシップモデルで、従来機HPV-2から撮影速度を10倍アップさせました。撮影時間優先モード(HPモード)では最高撮影速度1,000万コマ/秒という超高速撮影と最大256枚という画期的な撮影枚数の両立を実現しました。解像度優先モード(FPモード)は10万画素の高解像度で最大500万コマ/秒での撮影が可能であり、超高速現象の詳細な解析が行えます。HPV-Xは従来機と同様に、カメラヘッドをノートPCにケーブル接続するというシンプルな構成により、コンパクトで可搬性がよく、現場でのセットアップと撮影が容易に行えます。また好評であるHPVソフトウェアを継承し、直観的で分かりやすい設定画面で、簡単に超高速撮影を行うことができます。
これまで見ることができなかった対象物の変化が観察でき、最先端の理工学・医学での研究、宇宙開発、製品開発、不良原因の究明など、高速度撮影が必要とされるあらゆる分野において幅広く用いることができます。

撮影例はこちらをご覧ください

  

【開発の背景】
材料科学や燃焼、爆発、マイクロマシン技術、宇宙開発の分野において、新規材料や衝撃波、発光、放電などに伴う物理現象を解明するために、超高速の撮影装置が必要とされています。これら超高速現象を正確に捉えるためには、撮影速度の向上と共に、その速度向上に伴ってある程度の連続した記録コマ数が必要となるため、その二つを両立させる装置が求められていました。HPV-Xは、そのニーズに応えるため、東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻 須川成利教授と共同で新開発した高速CMOSイメージセンサ(※)を搭載して、超高速撮影と長時間撮影を可能にした製品です。
本製品によって、従来観察できなかった超高速現象の高時間分解観察が可能になります。たとえば、自動車、航空機のボディの軽量化のために使用され注目を集めている複合材料の試験において、材料の破断の瞬間は非常に高速で、従来の高速度ビデオカメラでは観察できませんでした。しかし撮影速度1,000万コマ/秒の本製品によって詳細な観察が可能となり、さらに高性能な複合材料の開発に役立つと期待されます。そのほかにも、タブレット型端末や大型薄型テレビ等に使われる化学強化ガラスの破壊モードの解明や材料の均質性評価、デバイスへのダメージの少ないレーザ加工、放電加工などのプラズマ応用技術の研究開発、さらにはエネルギー消費が少ないインクジェット印刷による電子回路製作技術等、さまざまな最先端の研究分野での活用が期待されます。

【新製品の特長】
(1)最高撮影速度1,000万コマ/秒の超高速動画撮影を実現

独自に新開発した高速CMOSイメージセンサ「FTCMOSセンサ」により、世界最高レベルの1,000万コマ/秒の高速連続撮影が行えます。通常のイメージセンサとは異なり、センサチップにメモリを内蔵させ、撮影中はチップ内部に映像信号を記録し撮影後に外部に読み出す方法をとることにより、外部回路による制約を受けない超高速の動画撮影を可能にしました。

(2)記録枚数のアップにより長時間撮影を実現
記録枚数はHPV-2に比べ20%アップし、128枚の撮影が可能になりました。また、HPモード(5万画素)ではダブルメモリ方式により256枚の長時間撮影が可能になりますので、ユーザーは撮影条件によって「解像度優先」と「撮影時間優先」を選択して撮影することができます。

(3)超高速と高解像度を同時に実現
通常の高速度ビデオカメラでは、撮影速度が上がるにしたがって解像度が低下しますが、HPV-Xは500万コマ/秒までは10万画素の解像度、1,000万コマ/秒では5万画素と、高解像度の維持を実現しています。したがって、通常の高速度ビデオカメラでは観察できない超高速現象の詳細な解析が可能になります。これは、HyperVisionシリーズに共通した当社ならではの特長です。

(※) 本センサの開発は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の次の事業・課題として推進されたものです。

事業名 : 研究成果最適展開支援事業(A-STEP)
              本格研究開発ステージ    シーズ育成タイプ

課題名 : 「超高速光イメージング技術の実用性検証」
              (平成21年12月~平成23年3月)

名称 高速度ビデオカメラHyperVision HPV-X
価格 2,900万円(本体のみ、税別)
販売計画 年10台
撮像素子 FTCMOSイメージセンサ
撮影速度
(フレームレート)
HPモード : 10Mfps、5Mfps(固定)
FPモード : 5Mfps(固定)
モード共通 : 2Mfps以下は撮影速度可変
解像度 HPモード : 5万画素(千鳥格子画素配列)
FPモード : 10万画素(400×250)
バッテリー最高出力 100kW
連続撮影枚数 1HPモード : 最大256枚
FPモード : 最大128枚

  

詳しい製品説明についてはこちら

  

株式会社島津製作所ホームページはこちら

キーワードをクリックして関連ニュースを検索

#島津製作所
#ハイスピードカメラ