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車載用で世界初。補正データなしで、位置精度50cmを実現するGNSS受信チップ【古野電気】

2021年10月14日

  

車載用で世界初。補正データなしで、位置精度50cmを実現するGNSS受信チップ

  

自動運転の実用化を加速
アルプスアルパイン(株)と、共同評価開始

古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役社長執行役員:古野幸男、以下、当社)は、このたび、補正データなしで、位置精度50cmの高精度測位を実現する、多周波GNSS*1チップ eRideOPUS 9(イーライドオーパス 9)型式:ePV9000Bを、世界で初めて開発いたしました。 PPP*2やRTK*3のように基準局データや補正データを必要としないため、国や地域の制限なく、安定的に高精度測位を提供できます。

V2X*4では車両が走行している車線の判別が求められます。また、自動運転(レベル2~3)においても、カメラやLiDAR*5、HDマップ*6で最終的な自己位置を決定する際に、リファレンスとして活用できる絶対位置情報を提供します。 eRideOPUS 9を利用することで、一般道(幅員約3m)でも確実な車線判定が可能です。

自家用車の自動運転の実用化には、それに伴うランニングコストも考慮する必要があります。独自のExtended Carrier Aiding*7技術を活用することで、50cm DRMSE*8の高精度測位を実現するとともに、RTK基準局や補正データ使用に伴うランニングコスト、補正データの受信部も不要となり、コストパフォーマンスにも優れ、V2X*4や自動運転(レベル2~3)の実用化に大きく貢献できると考えています。

アルプスアルパイン(株)は、これが今後の市場ニーズの中心となると予測し、eRideOPUS 9を最初に採用したモジュールメーカーとして既に開発を進めています。なお、両社は、共同での評価を開始します。

本共同開発について、両社執行役員は下記のとおり述べています。

アルプスアルパイン(株)執行役員 デバイス事業担当 泉英男
ミリ波レーダー、LiDAR並びにカメラ技術によって相対的車両位置精度は日進月歩で進化しております。レーンレベルでの絶対位置精度の確保がV2Xそして真の自動運転レベル3には不可欠になっておりますが、これまではRTK技術が必要であったため、システムコストが課題となっていました。この課題を、補正情報なしで誤差50cmの高精度測位を実現する、古野電気の他社に先行したExtended Carrier Aiding技術を活用した多周波GNSSチップで解決できることは、V2X並びに高度な自動運転技術においてブレークスルーとなっていくものと考えています。

古野電気(株)執行役員 システム機器事業部長 本川勝徳
自動車業界ではAutonomous(自動運転)への進化が急速に進んでおり、測位技術の高精度化が求められています。車載市場における長年の実績、厳しい車載品質へ適合するモジュール化技術、C-V2Xシステムへの取り組みを展開されているアルプスアルパイン様と弊社が実現する測位技術の高精度化が融合することで、自動運転技術の実用化とさらなる高度化に貢献できると考えています。

  

FURUNO eRideOPUS 9特徴

独自の測位技術で、50cmDRMSEの高精度測位を実現。自動運転での車線判別を可能に。

デュアルバンド、マルチGNSS
現在運用されているすべての測位衛星(アメリカ、ロシア、欧州、中国、日本、インド)に対応しました。これまでのL1帯の信号に加え、新たにL5帯の信号が受信可能になりました。例えばL5帯の信号はL1帯の信号の10倍のチップレートで拡散されるため、マルチパスへの耐性が向上します。L5帯の信号を用いることで都市部のような構造物による電波の反射、回折が生じる環境で位置精度が改善します。またL5帯の信号は周波数幅が広く電波出力も高いためノイズの影響を受けにくく、安定して信号を受信することが可能です。

自動運転時の安全性を確保する、アンチジャミング、アンチスプーフィング搭載
車両走行中も複数端末間の高精度な時刻同期を可能にする、タイムパルス出力(1PPS*9)
RAWデータ出力
eMRAM*10搭載でフラッシュメモリ不要

販売開始

2022年12月

  

アルプスアルパイン(株)について

アルプスアルパインは1948年の創業以来、数多くのFirst 1・Number 1製品を生み出してきた電子部品および車載情報機器メーカーです。現在では、世界26の国と地域に110拠点を展開し、スイッチやセンサー、データ通信モジュール、タッチ入力パネル、アクチュエータ、パワーインダクタなどのデバイス製品から、車載向け電子シフターやリモートキーレスエントリシステムなどのユニット製品、カーナビゲーションシステムやカーオーディオ&ビジュアル機器などのコンシューマ向け製品、スマートフォンアプリやブロックチェーン技術を活用したデジタルキー、遠隔モニタリングなどのシステム/サービスなど、約40,000種類の製品・ソリューションを世界各国約2,000社のお客さまへ提供しています。

詳細はこちら https://www.alpsalpine.com

  

古野電気(株)について

古野電気は、世界で初めて魚群探知機の実用化に成功した企業です。以来、GNSSプロッタ(航法装置)や無線通信機、マリンレーダーなどの機器を次々に開発し、船舶電子機器の総合メーカーとして世界トップシェアの企業へと成長しました。海で培った測位技術や電波技術を陸上にも活かし、GNSS受信機やETC車載器などを開発。GNSS受信機では、高い測位精度や安定性、信頼性が求められる車載向け品質の製品や、モバイル基地局のような重要インフラで使われる時刻同期向けの商品を提供し、この分野で約30年間の実績とともにITS社会への貢献を目指して活動を続けております。
古野電気は、安全安心、快適、人と環境に優しい社会の実現を目指してまいります。

<用語説明>
(*1)GNSS:(Global Navigation Satellite System)全地球衛星測位システム。米国のGPSのほか、GLONASS(露)、Galileo(欧)、及びBeiDou(中)があります。ここではRNSS(Regional Navigation Satellite System)であるQZSS(日)とNavIC(印)も含みます。
(*2)PPP:(Precise Point Positioning) 精密単独測位。GNSS衛星が送信する信号の搬送波位相を用い、基準局を使わずにGNSS受信機のみで高精度な位置を求める測位技術です。補正データ(GNSS衛星の精密軌道暦や衛星時計の推定値など)を与えることにより数cm~十数cmの精度が得られます。
(*3)RTK:(Real Time Kinematic) 搬送波位相を使った相対測位。基準局(既知の場所に設置されたGNSS受信機)からのデータをGNSS受信機に送り、観測に含まれる系統的誤差を除去することにより、基準局との相対的な位置を数cm~数mmの精度で求める測位技術です。
(*4)V2X:クルマとクルマ、クルマと道路設置設備、クルマと人など、クルマと何かをつなぐコネクティッド技術の総称。
(*5)LiDAR:近赤外線などのレーザー光を使い、周辺の物標までの距離を計測する測距センサー。
(*6)HD:マップ自動運転のために整備された高精度3次元地図。
(*7)Extended Carrier Aiding:ノイズの影響を極限まで抑制する技術です。搬送波位相による支援を受け、デュアルバンド化により伝搬遅延の影響を除去することで、大幅なノイズ低減に成功しました。
(*8)DRMSE:(Distance Root Mean Squared Error)二乗平均平方根誤差。
(*9)PPS:(Pulse Per Second)衛星測位システムのシステム時刻に同期したパルス信号。
(*10)eMRAM:(embedded Magneto-resistive Random Access Memory)埋め込み型磁気抵抗メモリ。

詳細(フルノ製品情報サイト):
 https://www.furuno.com/jp/products/gnss-chip/ePV9000B

  

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