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超電導線材の実用化で2012年R&D 100Awardsを受賞【古河電気工業】

2012年8月7日

当社子会社スーパーパワー社が超電導線材の実用化で2012年R&D 100Awardsを受賞
~オークリッジ国立研究所の共同開発者として、ヒューストン大学と共に受賞~

当社の子会社で米国スーパーパワー社が開発した「高磁場対応Y系超電導線材(注1)」が、科学技術雑誌/R&Dマガジン(米国)が主催する「2012年R&D 100(注2)」に選ばれました。オークリッジ国立研究所の共同開発者として、ヒューストン大学とともに受賞しました。この賞は、前年の世界市場に提供された新たな、製品、プロセス、材料、ソフトウェアから、将来性の高い研究開発成果を100選ぶ恒例の催しで、今回は50回目になります。米国エネルギー省(DOE)のウェブサイトには、祝意を添えたS. Chu 長官の受賞意義コメントが紹介されており、世界的に権威ある賞です。

今回の選定理由は、超電導層中にナノ構造の酸化物を均一に分散させてピン止め機能を高性能化し、高磁場下でもより大きな電流を運ぶことができるY系超電導線材の実用化が評価されました。電力貯蔵SMESや風力発電機、MRIや医療用加速器など、線材をコイル化し、高い磁場が発生する超電導機器の実現に欠かせない線材です。

スーパーパワー社の概要

補足

(注1)高磁場対応Y系超電導線材 :
ビスマス(Bi)系材料の超電導線材(第1世代)に対し、イットリウム(Y)系材料の超電導線材は、第2 世代高温超電導線材とよばれ、第1世代線材と比較して、機械的強度、磁場中の電流特性に優れ、また交流損失も小さく、低コストが見込まれ、現在の超電導線材研究の主流となっています。さらに、第2世代線材の中でも、高磁場対応Y 系超電導線材は、超電導層中に、磁束ピン止め(注3) 機能に優れるナノ構造のタンタル酸化物を、方向性をそろえて均一に分散させ、高磁場下でもより大きな電流を運ぶことを可能にした超電導線材です。本文に戻る

(注2)2012 年R&D100 :
米国科学技術雑誌/R&D マガジンが1963年以来、世界の新たに市場に導入された革新的な技術に対して表彰を行っているもので、50周年を迎え、イノベーションのオスカーともいわれる権威のある賞です。本文に戻る

(注3)磁束のピン止め :
超電導状態では、侵入した磁束が動くことが電気的な抵抗になります。超電導体中に常電導体ピンを入れ、侵入した磁束をピンに拘束することで、高い超電導状態を維持する効果を磁束のピン止めといいます。



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