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次世代リチウムイオン電池用固体電解質の高性能化に成功【東邦チタニウム】

2012年8月1日

東邦チタニウム㈱(本社:神奈川県茅ケ崎市 代表取締役社長:杉内清信)は稲熊宜之教授(学習院大学理学部:東京都豊島区)と共同で次世代リチウムイオン電池である金属リチウム空気電池用部材の高性能化に成功した。
金属リチウム空気電池は負極に金属リチウム、正極は空気中の酸素を用いたリチウムイオン電池の一種であり、蓄電容量(エネルギー密度)がリチウムイオン電池の5倍以上とされ、車に搭載すれば航続距離を1,000km以上にできることから車載用次世代型二次電池として注目されている。
このたび開発した部材は金属リチウム空気電池内部に使用される電解液を分離しリチウムイオンのみを透過(イオン伝導)させる固体電解質と呼ばれるものであり、金属リチウム空気電池には欠かせない部材である。
今回高性能化に成功した固体電解質は、リチウムランタンチタン酸化物系の原料を使用し、現在市販されている固体電解質の中で、最も高い(5×10-4S/cm以上(測定温度27℃)で従来の5倍以上)レベルのイオン伝導率を実現した。この固体電解質は吸水率、気孔率が非常に低く液体を全く通さない非透過性を有し、曲げ強さ(JISR1601に準拠)も一般に電池材料として使用されている黒鉛に比べて同等以上の強度を持つ。形状は厚み0.5〜1.5mmで一辺が30mmの板と外径φ18mm、長さ120mmの一端閉塞管の試作に成功した。またイオン伝導性の評価のために実際に金属リチウム空気電池を試作して長時間の放電のみならず充電も行い電解質としての機能も確認できた。
これまで金属リチウム空気電池の開発のネックとなっていた固体電解質に、この度開発に成功した電解質を使用する事で、電解液や容器などの周辺部材の研究・開発も更に促進され、金属リチウム空気電池の早期実用化に寄与できるものと考えている。

リチウムランタンチタン酸化物系固体電解質の写真

用語解説

金属リチウム空気電池 : 負極に金属リチウム、正極は空気中の酸素を用いたリチウムイオン電池の一種。蓄電容量(エネルギー密度)がリチウムイオン電池の5倍以上(理論値では約15倍)とされ、車に搭載すれば航続距離を1,000km以上にできることから車載用次世代型二次電池として注目されている。

固体電解質 : 液体の電解質と同様にイオンの移動で電流を流すことが出来る固体物質。液体の電解質と組み合わせて使う場合、液体を透過させずイオンのみを透過させることが必要。

イオン伝導率 : イオン伝導率は電解質の電気の伝わりやすさを示す指標。

本件に関するお問い合わせ先

東邦チタニウム  社長室  主席技師  菊地 耕二/角田 真知子  tel : 0467-82-2915


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