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業界最高クラスの電力変換性能(FOM=21)を実現した耐圧40V/100AパワーMOSFETを量産【ローム】
2012年7月26日
要旨
半導体メーカーのローム㈱(本社:京都市)は、産業機器や車載分野を中心とした24V入力系DC/DCコンバータに最適な耐圧40VのパワーMOSFETを開発しました。
新シリーズは、用途別に6種類のパッケージを採用した全13製品をラインアップ。9Aから、大電流を必要とするハイパワーな機器にも対応できる100Aという幅広い電流値に対応しています。また、ローム独自の新構造を採用したことにより、従来の一般的な製品に比べて電力変換性能を約30%低減し、特に大電流を必要とするハイパワーな機器のDC/DC電源回路における低消費電力化に大きく貢献します。
生産拠点は前工程がローム㈱ 本社(京都)、後工程がROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)、ROHM Korea Corporation (韓国) となっており、2012年4月からサンプル出荷(サンプル価格30円~100円/個)を開始し、7月から月産100万個の体制で量産を予定しています。
背景
近年、各種機器のDC/DC電源回路においては、電力変換効率の改善による省電力化が進められています。中でも電力変換に大きな影響を与えるパワーMOSFETは、さらなる低損失化、高効率化が求められています。
ロームはこれまで民生機器向けにミドルパワークラスの高効率MOSFETを数多く提供してまいりましたが、24V入力の大型でハイパワーな産業機器や車載分野の拡大に伴い、耐圧40Vクラスで大電流に対応した高効率パワーMOSFETへの要求が高まっておりました。
新製品の詳細
新シリーズは、ローム独自の低容量構造や「トレンチ型フィールドプレート構造」を採用したことで、トレードオフの関係である低オン抵抗と低ゲート容量の両立に成功しました。これにより、DC/DCコンバータ用パワーMOSFETの性能指数として用いられる「FOM」をローム従来品に比べ大幅に低減し、業界最高クラスの高効率性能を達成しました。さらに高周波動作にも対応が可能で、周辺部品の小型化にも貢献します。
また、パッケージも用途別に6種類取り揃え、産業機器や車載分野で広く使われるハイパワー・パッケージ(TO-220,LPTS)では100Aという大電流に対応できる製品もラインアップに加え、機器の大幅な低消費電力化に貢献できます。
なお、本製品は、同期整流回路での性能を確保するため、UIS(L負荷アバランシェ耐量)について100%試験を実施しており、品質面でも高い信頼性を誇っています。
ロームでは、今後も独自の先端プロセス加工技術を活かし、お客さまのニーズを先取りするトランジスタ製品の開発を進めてまいります。
特長
1) 新構造の採用で、業界最高クラスの高効率性能を実現
微細化を進めるとともに、ローム独自の低容量構造や新構造となるトレンチ型フィールドプレート構造の採用により、低ゲート容量かつ低オン抵抗の素子を実現。
パワーMOSFETの性能指数を示す「FOM」の数値は、ローム従来品に比べ、大幅に低減することができました。
2) 100Aの大電流で、産業機器や車載用機器に対応
用途別に6種類のパッケージをラインアップ。
高効率化により、高周波域での使用も可能となりました。
さらに、100Aの大電流にも対応しており、産業機器や車載分野におけるさまざまなニーズにお応えすることができます。
仕様
用語説明
・ DC/DCコンバータ
直流電圧を直流電圧に変換する電源回路。例えば、サーバーやパソコンなどの機器内部で基準とする電圧の12Vを、マイクロプロセッサやメモリーなどのICを動作させるためのさまざまな電圧(5V~0.9Vなど)の電圧に変換します。
・FOM(Figure of merit)
パワーMOSFETの性能を示す指数で、R(on)×Qgdの数値で表される。少ない方が優れている。
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