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新しい樹脂水分散体の発売【日塗化学】
大日本塗料株式会社(本社大阪市、岩淺壽二郎社長)の100%子会社である日塗化学株式会社(本社東京都、吉岡正利社長)は、この度、日塗化学主力製品のひとつであるクマロン・インデン樹脂(商品名:ニットレジン クマロン)の水分散体の開発に成功し、現在、水性接着剤や水性塗料、水性インクといった水性樹脂の改質剤用途に、上市に向けたプレマーケティングを開始いたしました。
クマロン・インデン樹脂は古くよりクマロン樹脂として広く知られ、石炭乾留時に生成するコークス炉ガスに含まれる粗軽油から分離される重質軽油、またはコールタール蒸留で留取されるタール軽油を原料としており、弊社は国内有一のクマロン・インデン樹脂メーカーとして、また国内外でも有数のメーカーとして、高品質のクマロン・インデン樹脂を製造供給して参りました。
クマロン・インデン樹脂は石油樹脂に比べてインデン含有量が多く、クマロン成分に基づく酸素原子を持つ独自構造により、石油樹脂とは異なる優れた接着性、機械物性、電気特性を持っており、例えば、各種ゴムの物性改善効果、塗料の密着性や防食性を大幅に向上する効果、高機能エポキシ樹脂の吸水性や誘電率を低減する効果などが認められ、各種樹脂の性能を高める優れた改質剤として、各分野で使用されています。
また、最近ではその特異な特性が注目され、電子材料等の特に機能性を要求される分野での需要が増えております。
今回、当社は独自の水分散技術(特許出願済み)による水分散体(4品種)の開発に成功しました。本水分散体は、製造時に一切有機溶剤を使用せずにクマロン・インデン樹脂を水分散しており、完全無溶剤型の水分散体となっております。
これまでクマロン・インデン樹脂は、有機溶剤に溶解させた樹脂溶液、またはホットメルト形式で使用されておりましたが、本水分散体を使用することにより、直接水系樹脂に添加することが出来ます。
クマロン・インデン樹脂水分散体はイオン性がアニオンの一般品の他、イオン性がカチオンの特殊品をラインナップしており、当社は既存分野のみならず、新規分野の開拓にも繋がるものと期待しております。
現在、クマロン・インデン樹脂水分散体の生産能力は200t/年ですが、既に本水分散体生産設備の増強について検討を開始しており、2016年までに2,000t/年に引き上げる計画です。
尚、分散母体となるクマロン・インデン樹脂の生産能力についても、現有設備(6,000t/y)のボトルネック解消及び新設備増設の検討に入りました。
現在、エチレン原料の世界的なライトフィード化に伴い、国内外で石油樹脂の需給がひっ迫しておりますが、当社はこの好機に新製品を市場投入することで、各分野において当社クマロン・インデン樹脂の性能を再認識して頂き、各分野においてシェアアップを図りたいと考えております。
また、当社の親会社である大日本塗料株式会社の研究開発部門と連携し、グループのシナジー効果を最大限に活用し、クマロン・インデン樹脂の新規用途開拓に取り組んでいく考えです。
クマロン・インデン樹脂水分散体概要
上市開始時期:2011年4月(予定)
生産能力:200t/年 2016年までに2,000t/年に増強(予定)
製品名称 | WS-100G | WS-100H | WS-120V | WS-100GC |
分散母体 |
+100 | +100 | +120 | +100 |
ガラス転移温度(℃) | +55 | +65 | +70 | +55 |
固形分(%) | 50 | 50 | 50 | 50 |
平均粒径(μm) | 1.1 | 1.2 | 1.1 | 0.9 |
イオン性 | アニオン | カチオン | ||
特 徴 ————— |
標準品 ——- |
水酸基含有品 —————— |
高Tg品 ——– |
カチオン系 ————– |
※ 上記の数値は代表値です。
※ 製品名称はプレマーケティングの為の仮名称であり、今後、変わる可能性があります。
日塗化学株式会社は、石炭化学をコア技術として、多くの分野のお客様に満足していただけるよう、品質・機能面や環境対応・省資源などの社会的ニーズにお応えするケミカルカンパニーを目指しております。
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