ニュース
Audi e-tron GTの生産を開始:ベーリンガーホフ工場におけるカーボンニュートラルな生産(ドイツ本国発表資料)【アウディジャパン】
2020年12月15日
・Audi e-tron GTは、ドイツ国内で初めて生産されるアウディの電気自動車
・2021年春から受注を開始
・アウディ生産担当取締役ペーター ケスラー:「ベーリンガーホフ工場で始まったカーボンニュートラルな生産は、
私たちが掲げるサステナビリティ目標の達成に向けた次のステップ」
(ドイツ本国発表資料)2020年12月9日 ネッカーズルム/ハイルブロン:
アウディは、電気自動車Audi e-tron GTの生産を、ベーリンガーホフ工場で開始しました。この工場の特徴は、高い情熱、優れた精度、革新技術、そして持続可能性のすべての側面を備えている点です。Audi e-tron GTは、ハイパフォーマンスと高い環境意識を組み合わせたクルマです。100%グリーン電力と再生可能なエネルギー源によって生み出される熱を使用するこの工場では、完全にカーボンニュートラルな方法で車両が製造されます。資源の節約に配慮したこの車両製造プロセスでは、紙や梱包材の使用を削減し、アルミニウムおよびプラスチックのクローズドループを活用しており、またアウディのニューモデルの生産として初めて、製造プロセス計画段階において実車プロトタイプを使用しませんでした。
アウディブランドのもっともパワフルな電気自動車であるAudi e-tron GTの生産が、ネッカーズルムのベーリンガーホフ工場で始まります。この工場で採用される製造プロセスは、クルマと同様に非常にユニークです。アウディの歴史において、市販車の生産準備がこれほど短期間で整ったことはありませんでした。プラントマネージャーであるヘルムート ステットナーは、次のようにコメントしています。「アウディの製品ポートフォリオにおいて、電気駆動方式とスポーツ性を兼ね備えたモデルであるAudi e-tron GTは、ネッカーズルムの拠点、特にベーリンガーホフのスポーツカー生産工場の特徴と完璧にマッチしていました」新型コロナウイルス感染症のパンデミック下においても予定どおりに生産が開始できたのは、これまでに蓄積してきた数多くの能力と、素晴らしいチームワークの結果です。」
ネッカーズルムの拠点では、既にプラグインハイブリッド車の生産に焦点を当てており、A6、A7、A8のプラグインおよびマイルドハイブリッド バージョンにより、アウディの生産拠点の中でも電動化モデルの割合がもっとも高くなっています。ステットナーは、次のように付け加えています。「Audi e-tron GTは、ドイツ国内で初めて生産されるアウディの電気自動車です。これによって私たちは、未来に向けて次の大きな一歩を踏み出します。」
カーボンニュートラルな方法で生産されるAudi e-tron GT
持続可能なのは、このグランツーリスモの駆動コンセプトだけではありません。ベーリンガーホフの生産プロセス全体が、完全にカーボンニュートラルなものになっています。2020年の初めに、ネッカーズルムの生産拠点全体が使用する電力は、すべてグリーン電力に切り替えられました。バイオガスを燃料とする熱電併給プラントは、ベーリンガーホフ工場が車両の生産において必要とする熱を供給します。再生可能なエネルギー源の使用に伴ってどうしても避けられないCO2の排出は、認証を受けた気候保護プロジェクトのカーボンクレジットを使用して相殺されます。
AUDI AG生産およびロジスティクス担当取締役のペーター ケスラーは、アウディが掲げる「Missio:Zero」プログラムの中心的な目標を要約して、次のように述べています。「ブリュッセルとジェール工場の先例にならい、ベーリンガーホフ工場は、ドイツ国内のアウディ生産拠点として初めて、製造工程の完全なカーボンニュートラル化に成功しました。これはネッカーズルム拠点にとって重要なマイルストーンであり、2025年までに全世界においてカーボンニュートラル化を達成するという道のりにおける重要なステップです」
「Mission:Zero」環境プログラムは、環境フットプリントを効果的かつ持続的に削減するための生産とロジスティクスにおける様々な対策から構成されています。その焦点は、脱炭素化、資源効率、生物多様性、水の使用に関する革新的ソリューションなどが含まれます。
クローズドループによる環境保護
生産拠点において、重要な資源は節約され、原材料も現場でリサイクルされています。その最も良い例が、「アルミニウムクローズドループ」です。その一例は、ネッカーズルムの拠点においてAudi e-tron GTのサイドウォールフレーム製造の際にプレスショップから出るアルミニウムシートの端材を再利用する、クローズドリサイクルチェーンです。このサイドウォールフレームは、絞り加工の最高点と最低点の差が35cmにも上り、それによってホイールアーチのショルダー部分に、quattroブリスターと呼ばれる特徴的で力強い造形が生み出されます。この極めて困難なプロセスを実現するため、最先端のアルミニウム加工技術が採用されています。アルミニウムクローズドループにより、切断後のアルミニウムシート端材はサプライヤーに戻され、リサイクルされてアウディが再使用します。これにより、ネッカーズルムの拠点において年間数千トンのCO2排出量が削減されています。
環境に配慮したプロセスは、アルミニウムだけに留まりません。プラスチックのリサイクルでは、「古いものを新しいものに変える」という考え方を採用しています。現在進行中のパイロットプロジェクトでは、A6およびA7の組立作業に由来するプラスチック端材は仕分けおよび裁断されて、特殊な繊維に生まれ変わります。これらのフィラメントは、生産プロセスの3Dプリンターで使用されます。ベーリンガーホフ工場における社内3Dプリンティングチームは、各従業員の要件に合わせてカスタマイズされた多様な組立作業補助具の製造を担当しています。Audi e-tron GTの製造には、そのような補助具が100以上も使われています。リサイクルプロジェクトの目的は、完璧なポリマークローズドループを創出する事です。
体系的なリソースの節約
原材料を節約するためのアプローチは、クローズドループだけではありません。Audi e-tron GTは、物理的なプロトタイプを製作することなく製造工程が計画された、最初のアウディです。現在、生産現場で実際に使用されているすべて組立手順は、社内で開発したソフトウェアおよびVRアプリを活用して仮想的にテストを受けたものです。繊細なパーツの輸送に使用する専用コンテナの一部も、新しい仮想メソッドを使用してプロトタイプなしで製作されました。これにより、金属だけでなく、部品を保護するためのパッケージも節約できます。キーワードは、廃棄物の削減と紙の節約です。ボディショップと組立ラインでは、ほとんど紙を使用することはありません。従来の書面による記録の必要性をなくしたメンテナンスアプリなどの新しいプロジェクトも、紙の節約に貢献しています。ロジスティクスの面では、デジタルラベルがテストされており、これが実現すれば、さらに紙の必要性が少なくなるでしょう。棚のパーツコンテナには、紙製のステッカーの替わりに電子ラベルが採用されるようになります。電子ラベルは、非常にエネルギー効率が高いだけでなく、変更があった場合に簡単に再プログラムすることもできます。これは、従来の使い捨てラベルに比べて重要な利点です。また、アウディのプロジェクトチームは、サプライヤーと共同で、梱包材の体系的なスリム化と廃棄物の削減につながるソリューション開発に取り組んでいます。
スマートファクトリーとクラフトマンシップの完璧な融合
高品質、高性能、そしてディテールへの情熱は、ベーリンガーホフ工場の特徴となっています。2014年以来、Audi R8はこの工場で組み立てられています。ネッカーズルム拠点の中にあるベーリンガーホフ工場は、スポーツカーを熟練工が手作業で生産する場所であり、Audi e-tron GTの生産に向け、2019年に拡張とアップグレードを受け、設備も一新されました。アウディ史上もっともパワフルで最速の2つの量産アウディモデルが、この工場で生産されています。生産責任者のウルフガング シャンツは、次のようにコメントしています。「技術的にまったく異なる2つのモデルが、1つの組立ラインで生産されるのは、グループ内でも非常に珍しい事です。EVの4ドアクーペの生産を引き受けることにより、ベーリンガーホフ工場は、高い柔軟性を備えるハイテク生産施設へと変容しましたが、熟練工による生産という特徴はそのまま保たれています」このEVグランツーリスモは、来春のワールドプレミアに引き続き、受注が開始される予定です。
アウディ ジャパン株式会社ホームページはこちら