ニュース
quattro 40年の歴史(ドイツ本国発表資料)【アウディ ジャパン】
2020年11月6日
>テクノロジーとサクセスストーリー:1980年以降、約1,100万台のquattro4輪駆動を生産
>各テクノロジーコンセプトに合わせてカスタム設計されるquattroソリューション
>Audi e-tron SおよびAudi e-tron S Sportbackに搭載される電動トルクベクタリングを備えた新しいquattro
テクノロジー
(ドイツ本国発表資料)
“quattro”は“アウディ”の代名詞であり、“アウディ”もまた、しばしば“quattro”の代名詞になってきました。40周年を迎えたquattro 4輪駆動システムは、アウディブランドを支える基盤となっています。Ur-quattro(初代クワトロ)が1980年のジュネーブモーターショーでデビューして以来、アウディはquattroドライブシステムを搭載した約1,100万台の車両を生産し、そのテクノロジーを進化させてきました。その最新バージョンは、電動トルクベクタリングを備えた電動quattroです。
quattroの40年:その軌跡とモデルラインナップ
quattroは、40年間にわたって大きな実績を積み上げてきました。2020年9月末までに、アウディは1,094万7,790台の4輪駆動車を生産してきました。2020年だけでも、生産台数は49万9,379台に上ります。現在では、アウディの約44%がquattroドライブを搭載しています。quattroは、まさにアウディブランドを支える基盤となっています。このシステムは、コンパクトモデルのAudi A1を除く、すべてのモデルシリーズに設定されています。すべての上級モデルや特にパワフルな車両バージョン、およびすべてのSおよびRSモデルは、4つのホイールを介してエンジンパワーを路面へと伝達します。
quattro 2.0:電動4輪駆動と電動トルクベクタリング
2019年に発売されたAudi e-tronとAudi e-tron Sportbackにより、アウディは持続可能なeモビリティの時代に入っただけでなく、電動4輪駆動の時代にも突入しました。これらのSUVモデルのフロントアクスルとリヤアクスルは、電気モーターによって駆動されます。サスペンションとドライブコントロールユニットは密接に連携し、駆動トルクの理想的な値を連続的に計算して、完全に可変かつ瞬時に各ホイールに配分します。
優れた効率を実現するため、この電動SUVは、ほとんどの走行条件でリヤの電気モーターのみを使用します。ドライバーがそれ以上のパワーを求めた場合、フロントのモーターも瞬時に作動します。フロント電気モーターの作動は、滑りやすい路面や高速コーナリング中にスリップが発生する前、あるいは車両がアンダーステアまたはオーバーステアの状態になる前にも予測的に行われます。その結果、非常に正確なハンドリングが可能になり、サスペンションコントロールシステムを介して、安定性重視からスポーティなキャラクターに至るまで、非常に幅広い設定が可能になっています。
2020年初頭、アウディは、Audi e-tron SおよびAudi e-tron S Sportbackに電動トルクベクタリングを搭載して、電動4輪駆動をさらなる高みへと引き上げました。このシステムは、個別のモーターを使用して、左右のホイール間で瞬時に駆動トルクを配分します。さらに、強力なトルクにも瞬時に対応し、スポーツカーのようにコーナーを駆け抜けることができます。アウディは、3基の電気モーターを搭載した車両を量産する、プレミアムセグメント初のメーカーとなります。
オールスターラインナップ:メカニカルquattroドライブのバリエーション
アウディのquattroテクノロジーは高い汎用性を特徴とし、それぞれの車両コンセプトに合わせて正確に調整されています。すべてのモデルに共通していることは、システムがホイールセレクティブトルクコントールと連携して作動する点です。これは、コーナー内側のホイールを穏やかに制動することにより、グリップの限界におけるハンドリングを改善するエレクトロニック スタビリゼーション コントロール(ESC)の機能です。
このシステムは、縦置きフロントエンジン搭載車に装着可能で、トランスミッションに応じて2種類のバリエーションが用意されています。トルクコンバーター式のティプトロニック オートマチックトランスミッションと協調して作動するquattroフルタイム4輪駆動システムは、純粋に機械的に作動するセルフロッキング センターディファレンシャルをベースにしています。通常の走行時には、スポーティなドライビングスタイルを実現するために、トルクの40%をフロントアクスルに、60%をリヤアクスルに配分します。必要に応じて、最大70%をフロントアクスルに、または最大85%をリヤに配分することが可能です。
その一方で、効率が最適化されたquattro with ultra technology(Sトロニックまたはマニュアルトランスミッションを備えたアウディモデルに搭載)は、デュアルクラッチ機構を採用しています。システムが前輪駆動に切り替わるときには、フロントクラッチ、すなわち、トランスミッションの出力側に設置されたマルチプレートクラッチが、プロペラシャフトを切り離す役割を果たします。同時に、リヤディファレンシャルに設けられたデカップリングクラッチが開きます。これにより、ドライブトレイン リヤセクションの引きずり損失の主な原因が排除されます。複数のセンサーを用い、そこから得られた車両のドライビングダイナミクスや道路条件、さらにドライバーの操作などのデータを常時分析することにより、この4輪駆動システムは、常に一歩先の状況を予測した、インテリジェントな制御を行います。したがって、quattro4輪駆動システムは、必要なときには、いつでも作動の準備が整っています。フルタイム4輪駆動システムと比較しても、トラクションやハンドリング特性の違いに気づくことはほとんどありません。
アウディは、横置きエンジンを搭載したコンパクトなモデルは、独自のquattroドライブトレインを採用しています。その中心的なメカニズムは、重量配分を改善するためにリヤアクスルに配置された油圧式マルチプレートクラッチです。このシステムは非常にダイナミックに制御され、クルマがコーナーに差し掛かると、瞬時に前輪から後輪にトルクを伝達することができます。エンジンをミドマウントしたハイパフォーマンス スポーツカーのAudi R8にも、マルチプレートクラッチが採用されています。この場合、マルチプレートクラッチはフロントアクスルに取り付けられています。Audi R8では、必要に応じてトルクを後輪から前輪へと伝達します。
quattroの40年:マイルストーン
Audi quattroは、1980年のジュネーブ モーターショーで初めて発表されました。これにより、軽量、コンパクト、高効率で、タイトコーナーブレーキング現象が発生しない、完全に新しい4輪駆動コンセプトが乗用車セグメントに導入されました。この特徴により、quattroコンセプトは、発売当初から高性能でスポーティなクルマであり、かつ大量生産に適していました。
147kW(200PS)を発生した初代quattroは、いくつかの技術的な変更を受けながら、1991年まで標準モデルとして製品ラインナップに名を連ねました。1984年、アウディは225kW(306PS)を発生し、ショートホイールベースを備えたエクスクルーシブなSport quattroを追加しました。1986年には、Audi 80 quattroが発表され、それまで手動でしかロックできなかったセンターディファレンシャルが、初めてセルフロッキングセンターディファレンシャルに置き換えられました。このディファレンシャルは、純粋にメカニカルな方法で作動し、フロントアクスルとリヤアクスルに50:50の比率で駆動トルクを配分しました。負荷がかかると、必要に応じて最大75%までトルク配分が増加して、トラクションが向上しました。
アウディは、その後もquattroテクノロジーの改良を続けます。1995年には、フルタイム4輪駆動システムを備えた最初のディーゼルモデル、Audi A6 2.5 TDIが発売されました。1999年には、電子制御油圧式マルチプレートクラッチを採用したquattroテクノロジーが、横置きエンジンを搭載したコンパクトセグメントに導入され、Audi A3およびAudi TTモデルシリーズに採用されました。2005年には、フロントアクスルとリヤアクスル間に、非対称となる40:60のトルクを配分するセンターディファレンシャルが登場し、次の大きなステップを踏み出しました。2007年に最初のAudi R8が発表されたとき、ビスカスカップリングがフロントアクスルに搭載され、その1年後にはリヤアクスルのスポーツディファレンシャルが装着されました。2016年には、効率を最適化したquattro with ultra technologyがラインナップに追加され、2019年には、Audi e-tronとともに電動4輪駆動が発表されました。
quattroの40年:モータースポーツにおける覇権
アウディは、1981年に世界ラリー選手権(WRC)に初参戦し、わずか1年後には、圧倒的な強さでラリー界を席巻しました。アウディチームは、1982年にマニュファクチャラーズタイトルを獲得し、翌年の1983年にはフィンランド人ドライバーのハンヌ ミッコラがドライバーズタイトルに輝きました。1984年には、両方のタイトルを獲得し、スウェーデンのスティグ ブロンクビストがワールドチャンピオンになりました。その年、アウディはショートホイールベースを備えたSport quattroを投入し、1985年には、350kW(476PS)を発生するSport quattro S1が続きました。1987年、ヴァルター ロールは、特別な改造が施されたS1を駆って、米国のパイクスピークヒルクライムで優勝を果たしました。この優勝は、長年にわたって大きな成功を収めてきたラリー参戦の集大成となりました。
その後、アウディはツーリングカーレースへと戦いの場を移します。1988年、アウディはAudi 200で米国のTrans-Amシリーズに初参戦し、ドライバーズタイトルとマニュファクチャラーズタイトルの両方を獲得し、その翌年には、IMSA GTOシリーズで大きな成功を収めました。1990~1991年、アウディはドイツツーリングカー選手権(DTM)に強力なV8 quattroで参戦し、2年連続でドライバーズタイトルを獲得しました。1996年には、A4 quattro Supertouringで7つの国内選手権に参戦し、すべてのシリーズでタイトルを獲得しました。2年後、ヨーロッパの競技団体は、ツーリングカーレースにおける4輪駆動の使用をほぼ全面的に禁止しました。
2012年、アウディは、ハイブリッドドライブを搭載したアウディの4輪駆動レースカー、Audi R18 e-tron quattroでサーキットに復帰します。このレースカーは、V6-TDIエンジンで後輪を駆動し、フライホイールアキュムレーターが、フロントアクスルに搭載された2基の電気モーターに回生エネルギーを供給しました。加速時には、一時的にquattroドライブシステムを使用することができました。このマシンは、ル・マン24時間レースで3回の総合優勝を果たし、世界耐久選手権(WEC)で2回のドライバーおよびマニュファクチャラーズタイトルを獲得して、圧倒的な戦歴を残しています。
quattroの40年 – “Vorsprung durch Technik”の40年
quattroはテクノロジーにおけるアイコンです。“quattro”という名称は、高い安全性とスポーツ性、高度な専門技術、モータースポーツにおける圧倒的なパフォーマンスを示し、アウディのスローガンである“Vorsprung durch Technik(技術による先進)”を体現しています。一連の伝説的なテレビCMや広告キャンペーンに加え、モータースポーツにおけるquattroモデルの活躍や好調なセールスによって、quattroは確固たる地位を築き上げました。1986年、プロのラリードライバーであるハラルド デムートが、フィンランドのカイポラ スキージャンプ台の急斜面を、Audi 100 CS quattroで登って見せました。2005年、アウディはAudi S6を使用して、同じスキージャンプ台で、この快挙を再現してみせました。サーキットとラリークロスのチャンピオンであるマティアス エクストローム(スウェーデン)は、2019年に同様の偉業を成し遂げました。彼は、オーストリアのスキー場、キッツビューエルの難コース“シュトライフ”の85%の急斜面を、3基の電気モーターを搭載したAudi e-tron quattroで見事に登ってみせました。
(上記、要約版まで)
※全文はリリースをご覧ください。
■詳細資料リンク
本国資料、そのほか画像、ムービーなどはこちらから
https://www.audi-mediacenter.com/en/presskits/40-years-of-quattro-13088
アウディ ジャパン株式会社ホームページはこちら