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バーチャルコンパニオンが走行中のトラックの安全性を向上【ボッシュ】

2020年9月30日

バーチャルコンパニオンが走行中のトラックの安全性を向上
自動運転のためのアテンション アンド アクティビティ アシスタントの開発に向けた研究プロジェクト

▶ 運転の単調さを解消し、注意力を維持して事故を回避
▶ 自動運転時のトラックとドライバー間の完璧な相互作用を実現
▶ トラックドライバーによる自動化技術の受け入れ拡大
▶ ボッシュは公的資金が投入されたプロジェクトのコンソーシアムリーダーとして、フォルクスワーゲン、
  MAN Truck & Bus、シュトゥットガルト大学、Hochschule der Medien、Spiegel Institut、
  CanControlsと連携

シュトゥットガルト(ドイツ) – トラックは物流管理の頼みの綱です。ドイツでは全物資の4分の3が陸上で輸送されています。遅延が許されないプレッシャー、長時間労働、単調な車列の光景は、トラックドライバーの日々の業務につきものであると言えます。ドライバーの注意散漫や過労、反応の遅さは、そのまま大事故に直結します。自動運転機能は事故や危険な状況を回避するための鍵となります。ドライバーに注意を喚起し、危機的な状況でドライバーを支援するだけでなく、単調で疲れるタスクを自動運転機能が肩代わりするようになります。一方で、今後自動化が相当なレベルまで進んだとしても、人間が不要になることはありません。必要に応じて人間の制御が不可欠だからです。では、車両とドライバーの相互作用をうまく調整するには、どうすればよいでしょうか?これこそ、過去3年半にわたってTANGOプロジェクトが焦点を当てて取り組んできたポイントです。TANGOとは、ドイツ語の「Technologie für automatisiertes Fahren, die nutzergerecht optimiert wird」の略称であり、日本語にすると「ユーザー向けに最適化された自動運転技術」となります。

このプロジェクトでは、部分的自動運転と条件付き自動運転(SAEレベル2および3)に焦点を当てた研究が行われ、「アテンション アンド アクティビティ アシスタント」のプロトタイプが生まれました。これは、ドライバーが注意力を保ち、疲労を軽減し、運転を可能な限り快適なものにするバーチャルコンパニオンです。このプロジェクトでボッシュは、コンソーシアムリーダーとして関わり、その他にフォルクスワーゲン、MAN Truck & Bus、シュトゥットガルト大学、Hochschule der Medien、Spiegel Institut、CanControlsなどが参加しました。TANGOは、ドイツ経済エネルギー省(BMWi)から約500万ユーロの資金供給を受けています。

アシスタンスレベル、運転状況、ドライバーの状態を常に把握
「将来的には、マニュアル運転と自動運転が交互に行われるようになるでしょう。リレーのように、ハンドル操作の責任が、車両からドライバーに移り、また車両に戻るといった具合です」と、ボッシュのプロジェクトマネージャーであるMichael Schulzは述べています。「SAEレベル2の部分的自動運転では、ドライバーはいつでも運転に介入できるよう備えている必要があります。SAEレベル3の条件付き自動運転では、介入は必要な場合だけになります。これは、ドライバーに課せられる要求を最適なレベルに維持し、ドライバーが常に車両を制御できる状態を保つことを目的としています」

このような場面で、アテンション アンド アクティビティ アシスタントが活躍します。このシステムは、アシスタンスレベルやドライバーの状態に応じて、実際の運転状況が許す範囲で、ドライバーにさまざまな補助アクティビティを提供します。例えば、音楽やオーディオブックの再生、Eメールの読み上げ、テキストメッセージの作成、映画の視聴、その日のアポイントスケジュールの管理、ルート計画、フィットネスエクササイズの実践などが挙げられます。そのためには、特定の運転状況を確実に判断できるだけでなく、あらゆる瞬間でドライバーの状態(疲労や注意散漫など)を検知し、適切に解釈する必要があります。

この研究プロジェクトではさらに、車内をモニターするためのセンサーを設置し、AIを活用する手法と組み合わせました。複数のカメラが、ドライバーの目が閉じているか、頻繁にまばたきをしているか、道路を見失っているのか、あるいは疲労により頭が傾いていないかさえも検知します。インテリジェントなアルゴリズムが画像を診断して解釈し、対策を実行します。対策としては、警告、補助アクティビティの実行提案、またはブレーキなどの積極的な介入などが考えられます。

ユーザーのニーズを重視した開発
疲労と注意散漫の根本的な原因を理解し、アテンション アンド アクティビティ アシスタントの要件を正確に判断するために、研究者はトラックドライバーに同行してルートを回り、彼らの経験について聞き取りを行いました。また、オンラインの日々の業務記録を調べ、被験者を対象として中間開発段階の比較検討を何度も繰り返すことで、改定を重ねていきました。このプロセスでは、ドライビングシミュレーターやテスト車両での運転が行われ、さらには小さな仕掛けも施しました。右ハンドルのトラックの助手席側にも、ステアリングホイール、ブレーキ、アクセルなど、すべての必要なコントロールとディスプレイ部品を搭載し、プライバシースクリーンで半分に区切ったのです。「オズの魔法使い」と命名されたこの仕掛けにより、研究者は自動化機能をシミュレーションし、現実的な状態でユーザーの行動を観察できるようになりました。

「私たちは意図的にユーザーとユーザーの要求事項に焦点を当てて研究を進めました」とSchulzは語ります。研究者は、トラックドライバーは自動運転技術により責任が奪われ、自身の仕事がはく奪されるとの心配から、自動運転に対して慎重になる傾向があるという前提からスタートしました。結果として、彼らは現行のアシスタンスシステムでさえも利用しない場合があり、ときには意図的にシステムをすべてオフにすることもあります。このプロジェクトでは、自動化を推進するための最も強力な根拠は安全性の向上であると定義し、さらに快適性や、よりリラックスして運転し、目的地まで到着できることも重要な役割を果たすとしています。

得られた知見を将来の(車両を含む)開発に適用
こうした状況を背景に、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)が特に重視されています。「今後、車両はドライバーと相互作用し、パートナーとしての役割を担う必要があります」とSchulzは述べています。「車両とドライバーの間で完璧な相互作用を実現するには、操作をシンプルで直感的に、そして魅力的なものにする必要があります」。プロトタイプには、複数のディスプレイで構成されたコントロールパネルが搭載されています。それは視覚、音響、触覚的要素を組み合わせて、アテンションアンドアクティビティアシスタントをアバターとして描出します。 今回の研究プロジェクトから得られた知見は、車内モニタリング、自動運転、エンターテインメントシステムなどの分野における更なる開発にも投じられます。こうした知見はトラックだけでなく車両にも適用でき、同じく道路交通における安全性の向上にも役立ちます。









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