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業界初※、負荷容量で一切発振しない高速オペアンプ「BD77501G」を開発【ローム】
2020年5月21日
業界初※、負荷容量で一切発振しない高速オペアンプ「BD77501G」を開発
圧倒的ノイズ耐量の「 EM ARMOUR™」オペアンプシリーズに、
異常検知に最適なCMOS高速タイプが登場
※2017年9月12日現在 ローム調べ
<要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)は、計測機器や制御機器で使われる異常検知システム、微小信号を扱う各種センサなど、高速のセンシングを必要とする産業機器・民生機器に向けて、高速タイプのグランドセンスCMOSオペアンプ「BD77501G」を開発しました。
「BD77501G」は、異常検知システムなどで求められる高速増幅(高スルーレート10V/µs)に対応しながら、配線などの負荷容量で一切発振しない業界初のオペアンプです。従来の高速オペアンプは負荷容量で発振し不安定になることがありますが、本製品は発振せずに安定した動作が可能です。また、全ノイズ周波数帯域での出力電圧が、一般品は±200mV以上変動するのに対して、本製品は圧倒的なEMI耐量*1(以下、ノイズ耐量)で±20mV以下(一般品比10分の1)を実現しています。これらにより、センサなどの後段に設置した際、負荷容量と外部ノイズの影響を受けずに高速の信号増幅を可能にすることで、アプリケーションの設計工数削減と高信頼化に大きく貢献します。
本製品は、2020年3月よりサンプル出荷(サンプル価格 500円/個:税抜)を開始しており、2020年10月から当面月産100万個の体制で量産を開始する予定です。
今後ロームは、本製品をラインアップ化し、車載向けにも展開することで、幅広いアプリケーションの設計工数削減と高信頼化に貢献していきます。
<背景>
近年、IoTの広がりとともに、自動車や産業機器などあらゆるアプリケーションにおいて、高度な制御を行うために多くの電子部品が搭載されています。その中で、安全のための各種異常検知システムでは、センサなどの微小な信号を高速に増幅できるオペアンプが必要とされていますが、高速タイプのオペアンプは、配線などの負荷容量が原因となり、発振しやすく扱いにくいため基板設計時の負荷が大きいという課題があります。また、アプリケーションの電子化・高密度化が進んだことで、ノイズ環境はますます悪化しており、微小な信号を扱うデバイスのノイズ設計も大きな課題です。
ロームが開発するEMARMOUR™シリーズのオペアンプ・コンパレータ*2は、圧倒的なノイズ耐量でノイズ設計の負荷を軽減できるため、車載・産業機器市場で高い評価をいただいています。今回、そのオペアンプシリーズに異常検知に最適な高速タイプを加える形で、全ての負荷容量領域で発振しない新製品を開発しました。
<EMARMOUR™とは?>
「EMARMOUR」は、ロームの「回路設計技術」「レイアウト技術」「プロセス技術」を融合することで開発され、ISO 11452-2による国際的ノイズ評価試験において、全ノイズ周波数帯域での出力電圧変動が±300mV以下というノイズ耐量を実現した製品にのみ与えられるブランド名です。圧倒的なノイズ耐量により、システム開発におけるノイズ課題を解決することで、設計工数削減や高信頼化に貢献します。
<新製品の特長>
1. 業界初、発振しない高速オペアンプが、負荷容量起因の設計工数を削減
「BD77501G」は、ローム独自の電源IC技術「Nano Cap™」を搭載したことで超安定制御を実現しており、異常検知システムなどで求められる高速増幅(高スルーレート10V/µs)に対応しながら、配線などの負荷容量で一切発振しない業界初のオペアンプとなっています。従来の高速オペアンプが配線などの負荷容量で不安定になり、配線や周辺部品の制約により非常に扱いにくいのに対して、本製品は一切発振せずに安定した動作ができるため、アプリケーションの設計工数削減に貢献します。
2. 圧倒的なノイズ耐量で、ノイズ設計工数削減に貢献
(EMARMOUR™の特長)
新製品は、EMARMOURのオペアンプシリーズとして、全ノイズ周波数帯域での出力電圧が、一般品は±200mV以上変動するのに対して、±20mV以下という圧倒的なノイズ耐量を実現しています。各周波数のノイズに対する対策(フィルタ回路の構築)を不要にし、システムで重要な役割を果たすセンサなどのノイズ設計負荷を軽減できるため、アプリケーションの設計工数削減や高信頼化に貢献します。
3. ノイズ対策用部品を10点削減 (EMARMOUR™の特長)
新製品は、圧倒的なノイズ耐量を実現したことで、一般品には欠かせない外付けのノイズ対策部品(電源、入力、出力の各CRフィルタ)を削減することができます。例えば1chのオペアンプで一般品と比較した場合、計10点のノイズ対策部品を削減可能です。
<その他電気的特性>
品名 | 回路数 | 電源 電圧範囲 |
入力 オフセット 電圧 |
同相入力電圧範囲 | スルーレート | 動作 温度範囲 |
パッケージ |
BD77501G | 1 | 7.0V~15V | ±4mV(Typ.) | VSS~VDD -2.0V | 10V/µs(Typ.) | -40℃~+ 85℃ |
SSOP5 2.9×2.8×1.25mm |
<アプリケーション例>
■異常電流検知器やガス検知器などの設備管理機器 ■高速制御(信号伝達)を必要とするモータ
■インバータ制御機器 ■トランジスタ駆動用のプリドライバ・バッファ
など、高速信号伝達を必要とする産業機器・民生機器において、負荷容量を一切気にせず高速増幅することができます。
<Nano Cap™とは?>
「Nano Cap」は、ロームの垂直統合型生産体制において、「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つの先端アナログ技術を結集することで実現する超安定制御技術を指します。安定制御により、アナログ回路のコンデンサに関する安定動作課題を払拭することで、自動車や産業機器、民生機器などを問わず、幅広いアプリケーションの設計工数削減に貢献します。
<用語説明>
*1) EMI(Electromagnetic Interference: 電磁妨害)耐量
EMI耐量は周囲で発生するノイズに対する耐性を表す指標。EMI耐量が低い場合に周囲でノイズが発生した際、デバイスやシステムが誤動作する懸念があるため、フィルタ(コンデンサ、抵抗など)やシールド(金属板)でノイズ対策を行う必要がある。逆にEMI耐量が高ければノイズの影響を気にする必要がなくなるため、対ノイズの設計工数削減に大きなメリットを持たせることができる。
*2) オペアンプ、コンパレータ
オペアンプは増幅器とも呼ばれ、入力信号を増幅することができる。センサ出力信号などの微小な信号を増幅することで、マイコンなどが認識できる電圧レベルにする。
コンパレータは比較器とも呼ばれ、入力信号のしきい値判定に使用される。センサ出力信号などに対して、しきい値判定を行いデジタル(High / Low)信号を出力することができる。
・「EMARMOUR™」「Nano Cap™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。
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