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COMSOL Multiphysics®バージョン4.3 を販売開始【計測エンジニアリングシステム】

2012年6月4日

COMSOL Multiphysics®の最新バージョンは強力なモデリングツール、ユーザー提案を真摯に反映した膨大な数の機能拡張、および高速なシミュレーションを提供します。

上の画像は、海面下に設置され、52個のアルミ陽極で保護された石油掘削リグの構造体を解析した際のスクリーンショットです。
陽極の導入に先立ち、COMSOL Multiphysics®の新モジュール「腐食(Corrosion)」で各陽極の配置を最適化することにより、最も良好な腐食保護を得ることができます。図では、構造表面における電極の電位が可視化されています。

マサチューセッツ州バーリントン発(2012/5/17)-COMSOL, Inc.は、 物理現象を基本とするあらゆるシステムのモデリングおよびシミュレーションが可能なソフトウェア環境として業界最先端のCOMSOL Multiphysics®バージョン4.3の発売を本日発表しました。COMSOL Multiphysics®バージョン4.3は、技術者、科学者、研究者が用いることのできる強力な新モデリングツール群および高速なシミュレーションエンジンを特長としています。これらは電気、力学、流体力学、ならびに化学シミュレーション分野のイノベーションリーダーとしてのCOMSOLの地位をさらに確固たるものにしています。バージョン4.3で追加された主な機能には、3つの分野別アドオンモジュール、強力かつ高速なメッシュ生成機能、力学的接触や非線形性が高い場合のシミュレーションに用いる「ダブルドッグレッグ (Double Dogleg)」ソルバー、膨大な数のユーザー提案を反映した機能拡張などが含まれます。COMSOL Multiphysics®バージョン4.3は全世界のCOMSOL販売店・代理店でお買い求めになれます。

機能拡張および機能向上の範囲は、COMSOL 製品全体に及んでいます。「非線形構造材料モジュール(Nonlinear Structural Materials Module)」、「パイプ流れモジュール(Pipe Flow Module)」、および「腐食モジュール(Corrosion Module)」の3つの分野別アドオンモジュールの追加により、マルチフィジックス現象のシミュレーションに関するCOMSOL社の製品ラインアップは30製品に達しました。最新モジュールによる拡張で、COMSOL Multiphysics®シミュレーションプラットフォームはユーザーインターフェースが刷新され、これら各分野に固有の設計課題を正確かつ効率的に計算できます。

上の画像は、COMSOL CADインポートモジュールを用いて、肺の形状データをインポートしたものです。標準的なデュアルコアワークステーションを用いた場合、メッシュ生成アルゴリズムは30秒ほどでデフォルトのメッシュを生成できます。より粗いメッシュで、仮想形状ツールを用いて形状に必須でない角や面の影響を最小限に抑えたメッシュであれば10秒で生成可能です。
形状提供:イリノイ州立大学シカゴ校 音響振動研究所Thomas Royston教授およびYing Peng

ユーザーの提案に基づく開発

新バージョンの開発では、COMSOL のユーザーが極めて重要な役割を演じました。COMSOL Multiphysics®バージョン4.3は真の意味でコミュニティ全体の努力の成果です。最終的に実装された諸機能には、ユーザーからのリクエスト、様々なご提案、フィードバックが非常に大きく貢献しています。

「シミュレーションツールは技術者や科学者の皆さんの日常業務に大きく影響します。信頼性の高いシミュレーションツールを提供することは我々の使命です。従って、ユーザーから寄せられるご意見は弊社製品にとって重要かつ不可欠な要素です。」とCOMSOL社副社長・製品管理責任者のBjorn Sjodin氏は言います。
「COMSOLの社風としてよく知られた『イノベーションへの情熱』を追求するのと並行して、我々はユーザーベースからのフィードバックを募集しており、実際に数多くの意見が寄せられています。」

本バージョンはCOMSOLの社内開発者とユーザーの才能の融合によりメジャーリリースになりましたが、それに留まらず、ユーザーからのリクエストがあった機能拡張の多くがきっかけとなって、さらに大きな枠のCAEコミュニティとCOMSOL Multiphysics®との統合が進みました。たとえば、バージョン4.3ではコアモデリング機能が更新され、大幅に拡張されています。メッシュ生成機能がさらに高速かつ強力になりました。特に仮想形状の作業を行う際、自動メッシュ作成エンジンによって不必要に細かい情報が取り込まれることを防ぐことができるようになりました。インポートしたメッシュで作業を行う場合、既存のメッシュ要素を新しいドメインまたは境界としてグルーピングすることができます。これによって、境界条件や物性を割り当てる際の作業が楽になります。

上の画像は、メッシュとしてインポートされたリチウムイオン電池のマイクロ構造のナノトモグラフィーを示します。COMSOL 4.3で追加された「メッシュ選択(Mesh Selection)」機能を用いて、新たな形状境界として要素をグルーピングすることにより、構造の片面に境界条件を設定することができます。過去にメッシュ生成した構造(旧形式のメッシュを含む)をこの技法でインポートし、あらゆるCOMSOL Multiphysics®シミュレーションに用いることができます。
メッシュモデル提供:インディアナ・パーデュー大学インディアナポリス校Likun Zho教授の研究グループ

ユーザーは1 つ、2つまたはそれ以上のパラメーターを簡単に指定して、マルチパラメータのスイープを実行できるようになりました。すなわち、全パラメーターまたは一部のパラメーターに限定してスイープを実行させることができます。これらパラメータスイープの計算結果は、簡単に可視化することができます。複数パラメータの複合スイープを1 つの画面に表示することができます。新インターフェース「クラスタースイープ (Cluster Sweep)」および「バッチスイープ(Batch Sweep)」により、並行性、独立性の極めて高いパラメトリックスイープを定義できるようになりました。

バージョン4.3では、電気、力学、流体力学、および化学シミュレーション向けのすべてのモジュールが更新され、エキサイティングな各種新機能が追加されています。ユーザーから寄せられた複数の要望にお応えして、AC/DCモジュールに3D回転機械のモデリング用ユーザーインターフェースが実装されました。この新機能は、発電機、ブラシレスモーター、ブラシ付きモーターの半径方向、軸方向の流束メカニクスを取り扱う場合に役立ちます。

AC/DCモジュールに回転機械の3Dモデリング機能が追加されました。上の画像では、3D回転機械ユーザーインターフェースでブラシ付きDCモーターのシミュレーションを行っています。図では磁場、コイル電流、軸トルク、および回転角が可視化されています。

構造力学モジュールおよびMEMSモジュールのユーザーには、力学的接触を含む場合や非線形性の高い場合のシミュレーションに、新ソルバー「ダブルドッグレッグ」が追加されました。新ツールの追加で負荷ケースをタグ付けできるようになり、詳細な構造力学シミュレーションの設定を簡単に行えるようになりました。「CFDモジュール (CFD Module)」に使い易いインターフェースが追加され、乱流による混合を考慮した質量輸送のシミュレーションが可能になりました。また、「粒子トレーシングモジュール (Particle Tracing Module)」は非常に多くの機能がサポートされていますが、新たに粒子-粒子の相互作用およびブラウン力が追加されました。

非線形構造材料モジュール (Nonlinear Structural Materials Module)

新機能「非線形構造材料モジュール」により、構造力学モジュールおよびMEMSモジュールに非線形材料モデルが追加され、力学面の機能が向上しました。構造内の応力が大きくなると、一部の物性値に顕著な非線形性が生じるため、線形の材料モデルを用いることができなくなります。高温など一部動作環境によっても同様の状況が生じます。新モジュールでは弾塑性、粘弾性、クリープ、および超弾性の各モデルが追加されました。これらは新たな拡張された基本物理法則の枠組みに基づいて構築されていますが、ユーザーは個別ニーズに応じて簡単にこれらを拡張することが可能です。

「Arruda-Boyceの超弾性モデルおよび異方性Hill塑性の実装をCOMSOL社にお願いしました。これら2つの材料モデルは、広範なエラストマーおよび金属の挙動をそれぞれ正確に表現しています。」Veryst Engineering社の上級技術者で、経験豊富なCOMSOLユーザーでもあるNagi Elabbasi 氏はこう言います。「バージョン4.3でこれらが追加されたので、大いに期待しています。」

上の画像のようなオーソドックスなベンチマークでは、円柱形の棒が一方向の張力テストにかけられており、結果として大変形を生じています。円柱中程に大規模なネックが生じ、断面の中心付近で塑性変形を起こしているのがわかります。このシミュレーションは、非線形構造材料モジュールの大変形塑性オプションと、非常に強力な新機能ダブルドッグレッグソルバーによって実現されています。

パイプ流れモジュール (Pipe Flow Module)

新しい「パイプ流れモジュール」はタービン、建物の換気システム、化学物質および材料の製造工程、石油ガス工業等で、パイプ網や流路網の設計および最適化を行う技術者が関心を持つでしょう。このモジュールでは、1次元の流れ、熱および質量の輸送、過渡的現象、および音響学を取り扱うことができます。パイプ流れモジュールのシミュレーション結果をネットワークコンポーネントの2Dおよび3Dモデルに統合して、ネットワーク内部の速度、圧力変化、パイプや流路に沿った温度を計算することが可能です。

上の画像は、車両用ハンドルの射出成形金型の冷却シミュレーションを示します。新たに追加されたパイプ流れモジュールでは、温度変化を伴う1 次元パイプの流れを用いて、冷却流路のシミュレーションを効率的に行うことができます。得られた計算結果は、CAD形状としてインポートされた金型およびポリウレタン部品の熱伝達シミュレーションと、完全に連成させることが可能です。

腐食モジュール (Corrosion Module)

腐食はあらゆる場面で遭遇する現象で、オフショア構造体、船舶、潜水艦、航空宇宙工学、自動車部品などの分野での大きな関心事です。世界腐食機構(WCO:World Corrosion Organization)の事務総長George F Hays氏によれば毎年、世界のGDPの3%が腐食により失われていると予測されています。
(詳細はレポート “Now is the Time”  http://www.corrosion.org/images_index/nowisthetime.pdf を参照)

COMSOLの新しい「腐食モジュール」は、腐食を生じさせる電気化学反応に特化したユーザーインターフェースを提供します。特定の条件下でどのような過程をたどって構造の腐食が進展するか、また、いかにして構造を腐食から保護するか、腐食反応の影響を軽減させたい技術者に、腐食モジュールは強力な洞察力を与えてくれます。腐食モジュールには、電解腐食、腐食によるピットや裂け目のモデリング、ならびに陰極および陽極の保護に関するシミュレーションに必要な物理現象が含まれています。

上の画像は、食塩水溶液に浸されている、軟鋼と接続されたマグネシウム合金(AE44)の電解腐食を示します。電極材料の除去は移動メッシュ(この種のシミュレーションを行う際に考慮すべき重要な変数)によって表現されています。

今年5月、腐食モジュールの最初のユーザーとなるべく、腐食分野の専門家がマサチューセッツ州バーリントンのCOMSOL本社に集まりました。「これまでCOMSOL Multiphysics®を使ったことはなかったのですが、腐食モジュールの発表でユーザーになる決断をしました。」コネチカット州ハートフォードのUTRCでスタッフリサーチエンジニアを勤めるLei Chen氏は言います。「腐食のモデリングを知る上で、今回のトレーニングセッションは素晴らしい機会になりました。私は具体的に、局所的な腐食工程の研究に本モジュールを使おうと思っています。腐食モジュールにより、材料の保護やメッキなど主要産業におけるシミュレーションのニーズをCOMSOL社製品でカバーできるでしょう。」

高速化と新モデリングツールでCOMSOL ユーザーを支援します

COMSOL Multiphysics®バージョン4.3はメジャーリリースです。バージョン4.3は、COMSOL社の開発チームと全世界に広がるモデリングおよびシミュレーションの熟練ユーザーの「知識と経験の集大成」として構築されています。COMSOL Multiphysics®は使い易く強力、かつ「ユーザーが考えた通りに機能する」マルチフィジックスシミュレーションプラットフォームで、本バージョンで追加された3つの拡張モデルにより、主要産業分野のユーザーに潜在的なイノベーションの可能性を初めて提供しています。COMSOL Multiphysics®バージョン4.3は、ユーザーの作業効率を飛躍的に高めるシミュレーション製品です。

COMSOL Multiphysics®バージョン4.3の特徴

非線形構造材料モジュール
パイプ流れモジュール
腐食モジュール
メッシュおよび形状
・ インポートされたメッシュに対し、新たな境界やドメインを作成
・ 高速メッシュ生成(適用対象:インポートされたCADファイルおよびCAD用LiveLink 製品)
・ 形状、メッシュ、および変形後メッシュのSTLファイル形式でのエクスポート
・ 3Dの面を直接に用いた押出しおよび回転
スタディーおよびソルバー
・ 新ユーザーインターフェースによる複数パラメーターのパラメトリックスイープ
・ 新機能クラスタースイープおよびバッチスイープ
・ 力学的接触その他、非線形性の高いシミュレーションを可能にする新ソルバー「ダブルドッグレッグ」
計算結果と可視化
・ レポートジェネレータにMicrosoft Wordファイル形式のオプションを追加
・ RFおよび音響アプリケーションにおける遠距離場の3Dおよび2D高速プロット
・ 粒子トレーシングにおけるコメットテール(彗星の尾状)プロット
デスクトップの機能性
・ メモリ上に置く計算結果およびプロセッサコア数は、プレファレンスウィンドウから直接に制御可能
・ 物理設定は、次元の数で並べ替え可能
AC/DCモジュール
・ 3D回転メカニクス
・ 3Dコイルの自動励起
多孔質における電磁気学の取り扱い(AC/DCモジュールおよびRFモジュール)
乱流混合(CFDモジュール)
太陽放射の自動計算(伝熱モジュール)
粒子-粒子相互作用(粒子トレーシングモジュール)
ピエゾ抵抗材料(MEMSモジュール)
時間依存の最適化(最適化モジュール)

※COMSOL Multiphysics®バージョン4.3の詳細については、http://www.comsol.com/4.3 を参照してください。

COMSOL について

COMSOL Multiphysics®は、物理現象を基本とするシステムのモデリングとシミュレーションに使用するソフトウェア環境です。最大の特色は、マルチフィジックス現象の取り扱いが可能なことです。オプションのモジュールでは、音響、バッテリーと燃料電池、化学反応、電磁気学、流体力学、地質力学、伝熱、MEMS、粒子トレーシング、プラズマ、および構造解析のシミュレーションを目的とした分野別ツールが追加されています。組込みの機能またはアドオン製品を使用することにより、COMSOL Multiphysics®および全関連モジュールは各社のCAE製品と簡単に統合できます。これには各種CADツールで設計された形状の組込みやポストプロセス(設計の最適化、画像生成、レポート生成など)が含まれます。COMSOL社は1986年に創業されました。米国では、マサチューセッツ州バーリントン、カリフォルニア州ロサンゼルス、カリフォルニア州パロアルトを拠点とします。同社の海外での活動は、ベネルクス諸国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、ノルウェー、スウェーデン、スイス、英国と、成長を遂げてきました。COMSOL Multiphysics®は、日本、イスラエル、エジプト、
オーストラリア、ギリシャ、韓国、スペイン、台湾、チェコ共和国、中国、トルコ、ハンガリー、ポーランド、マレーシア、南アフリカの各国に販売代理店が置かれています。
その他の会社情報については、http://www.comsol.com を参照してください。


COMSOL およびCOMSOL Multiphysics は、COMSOL AB社の登録商標です。
Capture the Concept およびCOMSOL Desktopは、COMSOL AB社の商標または登録商標です。
その他の製品名またはブランド名は、各社・各団体の商標または登録商標です。


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