ニュース

「ラストワンマイル」のためのモビリティサービス、羽田から世界へ展開【WHILL】

2019年1月7日

「ラストワンマイル」のためのモビリティサービス、羽田から世界へ展開
WHILL株式会社が、有人での自動運転電動車椅子の実証実験を実施

パーソナルモビリティおよび自動運転技術を開発するWHILL株式会社(以下WHILL社、横浜市)が2019年11月2日(土)・3日(日)の二日間、羽田空港国内線第1ターミナルにおいて、日本航空株式会社(以下JAL社)および日本空港ビルデング株式会社(日本空港ビルデング)と共同で、有人で自動運転電動車椅子を走行させる実証実験を実施した。

実証実験の概要は、羽田空港第1ターミナル南ウイングの保安検査場Bを抜けたエリアに、「WHILLステーション」と呼ばれるエリアを設け、WHILL自動運転システムを設置した。長距離の歩行に不安を感じられる方(車椅子ご利用者のお客さまを含む)が希望すれば、機体を手動で操作して、希望の搭乗口付近まで運転し、目的地で乗り捨てると、機体が自動運転でWHILLステーションに無人で戻っていくというものだ。自動運転に加え、衝突回避機能も備えているため、WHILLの操作が初めての人も安心して操作ができる。今回は実証実験のため、安全面を考慮してスタッフが同伴したが、実用化フェーズでは同行者不要の運用を想定しており、車椅子を押すスタッフの負担を大きく減らすことができる。

30代から80代までの数十組が体験

実証実験では、30代から80代までの数十組が体験した。うち8割以上が、これまで空港で手押しの車椅子サービスをご利用したことがない乗客だった。「簡単に操作ができる」「旅行はしたいが長い距離を歩くのが大変なのでうれしい」などのコメントがきかれた。70代の男性は、「少し膝が痛いのでありがたい。高齢者の旅行者も増えているし、実際の導入時には利用者も増えるのでは」と答え、70代女性は「心臓に疾患があり、中長距離の移動はゆっくりでしか歩けないが、外見上は疾患があることがわからないため、空港での車椅子サービスを受けることに対して、引目を感じてしまっていた。これなら介助する人に遠慮しなくてもよいため、またぜひ利用したい」と笑顔を見せた。

目的地で乗り捨てると自動運転でWHILLステーションに無人で戻る

高まる歩行困難者のニーズ

WHILL社の杉江 理代表取締役兼CEO

WHILL社の杉江 理代表取締役兼CEOは、実証実験に先立って行われたメディア向け説明会にて、「1km圏内の室内外の移動のインフラになる」と希望を語った。日本の65歳以上の高齢者人口は、総人口の約28%を占める。加齢とともに歩行距離は少なくなり、数百メートル歩くことが困難だと感じる人の割合も増加する。人生100年時代において、人々が社会参加、労働、ボランティアなどで活躍しつづけるためには、スムーズに移動できることが前提となりるが、現状、電車やバス、タクシーなどの交通機関を降りた後、目的地までのわずかな距離を歩けない人々が、結果として外出をためらっているという。MaaS事業において、いわゆる「ラストワンマイル」のための、だれもが安全に乗れる室内外を走行できるモビリティはまだ存在しておらず、「最後の1ピース」としての役割を果たしたい考えだ。

 

 

近距離移動のプラットフォーマーに

創業者は日産自動車出身の杉江に加え、ソニー出身の内藤 淳平(取締役兼CDO)、オリンパス出身の福岡 宗明(取締役兼CTO) の3名。パナソニックの研究開発部門とユニゾン・キャピタルを経た五宝 健治がCFOを務める。中核メンバーの面々と製品の印象から、ハードウェアベンチャーとしての印象が強い同社だが、ハードウェアだけの会社になるつもりはない。ハードとソフトウェア、サービスまで自社で開発することを強みとし、「歩道・室内領域の移動のプラットフォーマーとしての存在感を強化したい(杉江)」と語る。

空港での実証実験は、羽田を皮切りに、オランダのアムステルダム・スキポール空港、アメリカのダラス・フォートワース国際空港、アラブ首長国連邦のアブダビ国際空港、カナダのウィニペグ国際空港など世界に展開していく。将来的には空港以外にも、病院、テーマパーク、ショッピングモールなどでの実用化も狙う。

「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」という一人の車椅子ユーザーの声から始まったWHILL社。近距離移動にイノベーションを起こせるか。挑戦はまだ、始まったばかりだ。








WHILL株式会社ホームページはこちら

キーワードをクリックして関連ニュースを検索

#WHILL
#パーソナルモビリティ
#自動運転
#実証実験
#2019年11月5日