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カー・アクセス・システムの進化を切り拓くPEPS技術【日本テキサス・インスツルメンツ】

2019年8月5日

他の用途で幅広く使用されている技術を設計エンジニアが活用することにより、カー・アクセスはさらに利便性の高いものとなっています。自動車業界は、車両のロックを解除する機械的なカギを提供するところから、ボタンで車両のロックを解除できるキー・フォブを提供するまでに進化してきました。現在、最も普及しているカー・アクセスの形態は、パッシブ・エントリー/パッシブ・スタート(PEPS)システムを中心とするものです。このシステムでは、カギを物理的に使用することなく、自動車に乗り込み、さらにエンジンを始動することもできます。

PEPSシステムの仕組み
PEPSシステムは、自動車とキー・フォブの間の無線周波数(RF)通信を利用し、ドライバーの意図の理解とドライバーの認証の両方を実行します。低周波数(一般に125kHzまたは134kHz)と超高周波数(UHF)(一般にSub-1GHz)の信号が、キー・フォブと車両の間で固有のキー・アクセス・コードを伝送します。自動車は、伝送されたコードが期待される値に一致し、キー・フォブと車両の距離が一定の閾値内にある場合にのみ機能へのアクセスを許可します。キー・フォブと車両の間の測定では、位置と距離の両方が検出され、キーが車内にあるか車外にあるか判断されます。キーが近い場所でもまだ車外にある場合、パッシブ・エントリー機能は有効化されますが、パッシブ・スタート機能は許可されません。

PEPSシステムには、トリガー・システムとポーリング・システムの2種類が考えられます。トリガー・システムでは、ドライバーがドア・ハンドルなど車のどこかに触れることでカー・アクセスのプロセスを開始します。一方、ポーリング・システムでは、カー・アクセス・システムは車の付近を継続的にスキャンしてキーの存在を探します。

トリガー・システムとポーリング・システムのそれぞれのエントリー・シーケンスを図1と図2に示します。

図1:ドアのロック解除を行うトリガーPEPSエントリー・シーケンス

図2:ドアのロック解除を行うポーリングPEPSエントリー・シーケンス

Bluetooth® Low Energyを利用して、電話をキーとして使用
今日の設計者は、電話をキーとして使用するPEPSシステムを実現することで、これらの進歩をさらに前進させます(図3)。

図3:電話をキーとして使用するシステムにおけるPEPSの有効化

電話をキーとして使用するシステムの導入に向けた動きには、UHFからBluetooth Low Energy技術への移行の取り組みも含まれます。そのような取り組みにはたくさんの理由があります。Bluetooth Low Energy規格は、UHFよりもはるかに広く利用されており、通信がより標準化され、セキュリティも高いほか、BluetoothシステムはUHFと比べて消費電力も少なくて済みます。Bluetooth Low Energyはすでにスマートフォンに搭載されているので、Bluetooth Low Energyベースのカー・アクセス・システムの開発により、PEPSシステムにスマートフォンを利用できるようになります。電話をキーとして使用するシステムでは、ドライバーがポケットや財布の中に車のキーを入れたままにしておけるだけでなく、車のキーを家に置きっ放しにすることもできるようになり、外出時の持ち物を1つ減らすことができます。

参考情報
+技術記事(英語)“benefits of Bluetooth Low Energy for car access systems”
+リファレンス・デザイン「車載、Bluetooth Low Energy、カー・アクセス向けサテライト・ノードのリファレンス・デザイン

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。

※上記の記事はこちらの技術記事(2019年7月23日)より翻訳転載されました。
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