耐圧600Vの車載用ゲート駆動ICをサンプル出荷開始～ 3相インバータ・モーターの駆動回路向け～【IRジャパン】

2012年5月11日

パワー・マネジメント（電源管理）技術で世界をリードするインターナショナル・レクティファイアー・ジャパン（IRジャパン）㈱（本社：東京都豊島区）は11日、耐圧600Vの車載用3相ゲート駆動IC「AUIRS2334S」のサンプル出荷を開始しました。高電圧コンプレッサ（HVAC）やファンなどの3相インバータ（*1）・モーターの駆動回路に最適です。

AUIRS2334Sは、デバイスによって処理された信号の入出力パルスの対称性を改善するために先進的な入力フィルタを備えていることが特徴です。このほか、固定のデッドタイム（標準値で290μs）保護回路、シュートスルー（貫通電流）保護回路、およびローサイド（*2）の電源電圧（VCC）とフローティング（駆動回路の基準電位がシリコン基板の電位に対して浮いた状態）構造のすべてのハイサイド駆動回路に加わる電源電圧（VBS）の両方にUVLO（低電圧ロックアウト）保護機能を内蔵しています。この新しいデバイスは、通常動作時や保護モードの間に生じることがあるスイッチング・ノードの負の過渡現象（NTSOA）に対して完全に定格化していることも特徴です。
小型のパッケージ、高度な集積化、および保護機能の包括的な組み合わせによって、AUIRS2334Sは、3つのハーフブリッジ駆動回路を使う代替ソリューションに比べて、クルマに使われる3相インバータ・モーター駆動の用途に対して、より小型で丈夫なソリューションを提供します。

AUIRS2334Sは、IR社独自の高耐圧IC（HVIC）で、ラッチ耐性を備えたCMOS技術が、耐久性の高いモノリシック構造を可能にしました。論理入力は、最小3.3VまでのCMOSまたはLSTTLの出力と互換性があります。
出力駆動回路には、駆動回路の相互導通を最小化するために設計された大きなパルス電流を扱えるバッファ段を備えています。伝播遅延時間は、高周波用途で使いやすいように整合されています。nチャネル・パワーMOSFETまたはIGBT（絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ）を駆動するために、ハイサイド駆動回路は、最高600Vのオフセット電圧を加えられるフローティング・チャネルになっています。
出力電圧の振幅の範囲は10V～20V。出力電流は吐き出し時が200mA、吸い込み時が350mA（いずれも標準値）。オン時／オフ時の伝播遅延時間はいずれも標準530ns。接合部温度は最大150℃。動作温度範囲は－40℃～125℃（周囲温度）。パッケージは20ピンSOP（SOIC20）です。
IR社の車載品質のICは、ゼロ・ディフェクトを目標とするIR社の車載品質イニシアチブの対象製品として、完全自動化されたウエハー・レベルの目視検査に加え、動特性や静特性の試験を行っています。車載部品の品質規格AEC-Q100に準拠し、部材は鉛フリーで欧州の規制RoHS（特定物質の使用規制）に準拠しています。
AUIRS2334Sの1万個購入時の単価は1.3米ドルからの予定です（米国での参考価格）。
「AUIRS2334S」のデータシートはこちらです。

用語説明

*1）インバータ：直流を交流に変換する回路です。逆変換という意味です。交流を直流に変換する回路はコンバータと言います。
*2）ローサイド：大電力スイッチング回路の出力に同極性のパワーMOSFET（通常はnチャネル）を直列に接続して（トーテムポール出力）、ハーフブリッジ回路を構成した場合、上側のMOSFETをハイサイドMOSFET、下側のMOSFETをローサイドMOSFETと呼びます。ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETが同時にオンすると大きな貫通（シュートスルー）電流が流れてMOSFETを破壊させることがあるので、これを防止するためにスイッチング時にハイサイドとローサイドのMOSFETが両方ともオフする時間（デッドタイム）を挿入して保護しなければなりません。

インターナショナル・レクティファイアー（IR^®）社について

IR社はパワー・マネジメント（電源管理）技術のリーダーです。IR社のアナログIC、アナログ/デジタル混在IC、最先端デバイス、電源のシステムや部品は、コンピュータの性能向上や、世界で最も電力消費の大きいモーターの省エネに貢献しています。コンピュータ、省エネ家電、照明器具、自動車、衛星・航空・防衛システムなどの主な製造企業は、次期製品の性能向上のためにIR社のパワー・マネジメント・ソリューションに頼っています。本社は米国のカリフォルニア州エルセグンド。

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