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世界初CAN FD Class3対応コモンモードチョークコイルを商品化【村田製作所】
2019年7月29日
株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役会長兼社長:村田恒夫)は、世界で初めて*1 IEC62228-3*2で次世代車載ネットワークCAN FD*3用コモンモードチョークコイル(以下、CMCC)に求められるDCMR*4 Class3*5に適合した、巻線コモンモードチョークコイル「DLW32SH101XF2」(以下、本製品)を商品化しました。2019年8月から量産を開始します。
近年、自動車業界ではより安全で快適な走行を目指し、自動車の基本動作を制御する技術の高度化が急速に進んでいます。こうした動きにともない、ECU*6、センサ、モータなどをつなぐ車載ネットワークの高速化が求められ、データ伝送速度が最大1Mbps(ビット/秒)の従来のCAN*7から、より高速なCAN FDへの置き換えが進んでいます。
本製品は、当社の持つCMCCの設計・製造に関する豊富なノウハウを活用し、独自の巻線構造により小型を維持しながら、CAN FD用CMCCに求められる高性能・高信頼性を実現しています。
*1 当社調べ。2019年7月末時点。
*2 IEC62228-3:
IEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)が
策定している電気・電子技術に関する規格のひとつ。
*3 CAN FD (CAN with Flexible Data-Rate):
次世代車載ネットワーク規格。従来よりも、より高速(1Mbps以上)で、
より大量のデータ(フレームあたり最大64バイト)の送受信を可能とする
車載通信規格。
*4 DCMR (Differential to Common Mode Rejection):
ディファレンシャル成分がコモン成分に変わるモード変換量。
*5 DCMR Class3:
CANで使用するCMCCに求められるDCMR特性は3つのClassに分類されるが、
DCMR Class3はそのなかで最も厳しいDCMR特性を意味する。
*6 ECU (Electronic Control Unit):自動車の電子制御装置。
*7 CAN (Controller Area Network):
最大通信速度1Mbps以下、フレームあたり最大8バイトの送受信を可能とする
車載通信規格。
主な特長
IEC62228-3でCAN-FD用CMCCに求められるDCMR Class3を実現
使用温度範囲-40~+125℃に対応
AEC-Q200*8に準拠
業界最小サイズ(3.2mm✕2.5mm)
*8 AEC-Q200:
AEC (Automotive Electronics Council、車載電子部品評議会)が策定している規格のひとつ。
その他、技術情報
数多くのノイズ発生源がある自動車内に搭載する車載ネットワークでは、安定通信を可能にするための万全なノイズ対策が欠かせません。CANからより高速なCAN FDに移行する際には、ノイズ対策に向けた要求仕様も、より厳しくなります。
従来のCAN用CMCCのDCMRはClass1、高精度なものでもClass2でした。
本製品はCMCCを構成する2つのコイルの特性ズレを極小化し、DCMRの悪化を抑制することによって、IECが定めるCANの規格「IEC62228-3」でCAN FD用CMCCに求められるDCMR(Ssd21、Ssd12*9)Class3を実現しています。特に数百kHz以上の低周波数帯では、最高水準のDCMRを満たしています。
*9 Ssd21、Ssd12:モード変換量のパラメータ。
関連サイト
巻線コモンモードチョークコイル「DLW32SH101XF2」
製品詳細はこちらをご確認ください。
ムラタについて
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
詳細はこちらのページをご覧ください。www.murata.com/ja-jp
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