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フォルクスワーゲン グループのバッテリー 戦略について【フォルクスワーゲン グループ ジャパン】
2019年5月17日
グループのバッテリー戦略は、電動化攻勢の重要な要素
フォルクスワーゲン グループは、パーソナル モビリティに対するパラダイムシフトを積極的に推進しており、その駆動を計画的に電気駆動に切り替えています。今後10年間で、約70車種の新しい電気自動車が発売される予定であり、グループ内のeプラットフォームをベースとした車両の生産は、2,200 万台の予定です。
このことは、フォルクスワーゲン グループのバッテリー需要が、ヨーロッパとアジアだけでも年間 300GWh以上に増加することを意味しますが、現在のセル生産能力では、将来予想される市場の ニーズを満たすには不十分です。現在、自動車メーカーに供給するためのバッテリー工場の殆どは、まだ設計中の段階にあるか、建設中、または生産を立ち上げたばかりです。今のところ電気自動車の需要はまだ緩やかであるため、これまでは必要量のバッテリーをアジアから輸入してきました。しかし、現在、第1弾となる複数のバッテリー工場の稼働がヨーロッパで始まっており、今後数年間に生産される車両に供給していきます。その後、フォルクスワーゲングループの電動化攻勢に弾みがつけば、 欧州域内でバッテリーを生産することが、競争力の観点から見ても重要な意味を持ちます。従って、 グループのバッテリー戦略は、電動化戦略の中で極めて重要な要素となっています。
監査役会がバッテリー工場に対する約10億ユーロの投資を承認
フォルクスワーゲン グループは、電動化攻勢の一環として、ヨーロッパのパートナー企業と協力して、 バッテリーセルの生産体制の構築を推進しています。2019年5月13日に召集された監査役会の会合において、そのために必要な約10億ユーロの投資が承認されました。バッテリーセルの生産は、経済条件が整えば、ニーダーザクセン州で行うことを計画しています。その主な条件とは、「EEG分担金」 (和訳における注記:再生可能エネルギー法 =Erneuerbare-Energien-Gesetz “EEG”が、環境に優しい電力の拡大によって増加するコストを消費者が負担することを定めている)からの免除、再生可能エネルギー源による電力供給の可能性となっています。計画および具体的な投資に関する終決定は、 年末までに行われる予定です。
専門技術を段階的に蓄積していくフォルクスワーゲン
・初の段階で、強力なバッテリーセル メーカーと戦略的パートナーシップを締結することは、
電動化攻勢の一環として投入する車両にバッテリーを供給するための基盤となります。
長期的な パートナーシップにより、今後予想される技術の進歩を実現しながら、
持続的な供給を確保して いきます。電動化攻勢における第一弾の主要なサプライヤーは、
SKI、LG 化学、CATLに決定して います。
・次の目標は、リチウムイオン バッテリーの研究開発および生産における高度なノウハウを
グルー プとして蓄積することです。グループ内すべてのバッテリーセルの開発、調達、
品質保証に関する 機能をザルツギッターにあるセンター オブ エクセレンス(CoE)が統括しています。
同拠点では、 2019年後半からグループによるバッテリーのパイロット生産が立ち上がります。
・次の段階では、「ギガファクトリー」と呼ばれる、巨額の投資を必要とするバッテリーセル工場を
パートナー企業とともに建設する予定です。現在、ドイツ国内を中心に候補地を選定中です。
・その後の段階では、リチウムイオン バッテリーと全固体電池の両方の生産施設をヨーロッパに
建設する予定です。グループのバッテリー戦略において、米国のQuantumScapeとの提携は、
とくに全固体電池用のセル生産に関して、不可欠な要素となっています。
バッテリーは、電気自動車による価値の大部分を占めます。 そのため、グループは、開発、生産、廃棄、リサイクルに至る一連のプロセスにおいて、将来的にバッテリーおよびバッテリーセルに関する知識を、フォルクスワーゲンのコアコンピテンス(中核能力)にするために精力的に取り組んでいます。 フォルクスワーゲンは、すべてのお客様にも優れている電気自動車を競争力の高い価格で提供できるように、テクノロジーおよびコスト面で、この分野におけるリーダーになることを目指しています。
成功要因となる原材料の確保 重要な成功要因の一つは、原材料の供給を確保することです。グループは、この点に関して有利なポジションに立っており、現時点では、電気自動車の生産を確実に拡大するために必要な原材料を 、全て十分に確保しています。 グループは先日、バッテリーの主な原料であるリチウムの供給に関し、Ganfeng(ガンフォン)と10年契約の覚書に署名しました。この契約だけで、リチウム需要の大部分を確保することができます。 他のプロバイダーとの追加の交渉は、現在進行中です。
その一方で、グループはバッテリーに含まれているコバルトの割合を減らすために開発に取り組んでいます。その狙いとは、バッテリー生産に必要なこの原材料を継続的に減らしていくことです。コバルトの割合は、現在の12〜14%(カソードの重量比率)から、今後3〜5年で5%に削減する予定です。フォルクスワーゲンは、コバルトを含まないバッテリーセルの開発にも取り組んでいます。
強力なパートナー企業と協力してノウハウを構築 – ヨーロピアン バッテリー ユニオン フォルクスワーゲン グループは、ヨーロッパの他のパートナー企業と協力して「ヨーロピアンバッテリーユニオン(EBU:欧州電池連合)」を設立しました。その目的は、ヨーロッパ全域でバッテリー研究を推進することです。フォルクスワーゲン グループと、スウェーデンのバッテリーメーカーであるNorthvolt (ノースボルト)の主導の下、共同研究活動は、原材料からセル技術やリサイクルに至るまで、バッテリーのバリューチェーン全体に焦点を当てています。その主な目的は、バッテリーセルの量産技術を巡る、より包括的な専門知識を得ることです。共同研究活動は、2020年初頭から開始する予定です。
立地の決定は競争力のある条件次第バッテリーセルの生産は、経済的条件が整えば、ドイツ(ニーダーザクセン州)で行うことを計画しています。立地を選ぶ際の重要な基準は、競争力のある税制上の条件と、セルを生産するのに必要な大量の電力用の魅力的な電力価格です。さらに重要なことは、承認プロセスの迅速さです。バッテリーセル工場の立ち上げには通常、少なくとも3年間かかるとされています。
ドイツにおける候補地の選定には、様々な条件、例えば「EEG分担金」の免除、投資助成金手続きやインフラ策に対するサポート、特別償却引当金の適用や税額控除、そして当該地域でのトレーニングや再トレーニングに対する政府の支援金などを考慮します。
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