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全固体電池の研究開発を支える 「高周波インピーダンス測定システム」に搭載、 温度制御しながら100MHzの高周波インピーダンス測定を可能にする プローブで特許を取得【東陽テクニカ】

2018年11月21日


 株式会社東陽テクニカ(本社︓東京都中央区、代表取締役社長︓五味 勝)は、自社開発の全固体電 池の電解質評価ソリューション「高周波インピーダンス測定システム」に搭載のプローブで特許を取得いたしました。 測定試料を挟み込む電極間の電気的な絶縁性を格段に向上させ、さらに電気絶縁性が環境温度の変化から 受ける影響を極めて小さくするプローブ技術です。
 本特許技術により「高周波インピーダンス測定システム」は、80K~473K(-193℃~200℃)の広い温度 範囲でも100MHzの高周波インピーダンス測定を正確に行うことができ、全固体電池の構成材料である固体電 解質の粒内および粒界の各反応抵抗の測定ができる世界唯一※1のシステムです。
 本システムを、2018年11月27日(火)~29日(木)にグランキューブ大阪(大阪府立国際会議場) で開催される「第59回電池討論会」(ブース番号15)に展示いたします。

【 注目される全固体電池 】
 近年、携帯電話やノートパソコンなどのモバイル機器や EV などにリチウムイオン二次電池が使用されていますが、 さらなる高性能化への期待が大きい一方で、相次ぐ発火事故で安全性が問題視されています。全固体電池はこ のリチウムイオン二次電池の電解質を可燃性のある液体から固体に変えた電池で、従来のリチウムイオン二次電 池より、高エネルギー密度・小型・軽量など優れた特性を持ち、次世代の電池として注目されています。特に、EV においては航続距離を延ばす究極の電池として期待されており、トヨタ自動車は 2020 年代前半に、世界に先 駆けて全固体電池の実用化を目指すことを発表、注目されています。

【 新技術で特許取得 】
 東陽テクニカは、全固体電池内の固体電解質のイオン伝導度を評価するソリューションとして「高周波インピー ダンス測定システム」を自社開発し、2017 年 10 月 1 日から販売しています。インピーダンスアナライザとクライオ スタット※2 機能付サンプルホルダとを組み合わせ、自社開発の専用制御ソフトウェアによって、温度可変とインピー ダンス測定を完全自動で行うシステムです。
 全固体電池の正確な評価を行うためには、高周波でのインピーダンス測定によって、固体電解質の各反応抵 抗(粒内/粒界)を分離することが必須です。しかし、従来のインピーダンスアナライザは、クライオスタットなどの 温度調節器を組み合わせて使用する場合、測定ケーブルの浮遊容量※3の影響で 1MHz 以上のインピーダンス を正確に測定することが困難です。インピーダンス測定において、浮遊容量の影響を最小限にするためには、測定 試料(ペレット、粉体)を挟み込む上下の各プローブを電気的に絶縁させる必要があります。さらに、電気的な 絶縁性は周囲の温度に応じて変化するため、室温から大きくかけ離れた環境温度においても絶縁性を保つ必要があります。
 これら難題を解決するために、東陽テクニカは、クライオスタットも含めた測定ケーブルの影響を最小限に抑える ためのプローブを開発し、特許を取得しました。最大 100MHz と、従来に比べて 2 桁高い高周波での正確なイ ンピーダンス測定を世界で初めて実現しています。本特許技術によって、固体電解質の各反応抵抗(粒内/粒 界)を分離することができるようになり、正確な伝導度評価が可能になりました。また、専用の制御ソフトウェアに よって、全自動で 80K~473K(-193℃~200℃)の温度範囲を制御し、各温度のインピーダンス測定から 活性化エネルギーを算出することもできます。
 本システムの使用により、固体電解質の材料選択や作製方法を検討する上で重要なデータを取得することが できます。温度を自動制御しながら100MHzの高周波のインピーダンス測定できる本システムは、全固体電池の効率的な研究・開発に寄与します。

【 特許概要 】
 ・日本国特許第6324648号
 ・発明の名称︓「プローブ」

【 「高周波インピーダンス測定システム」の主な特長 】
 ・100MHzの高周波数領域での正確なインピーダンス測定を実現
 ・80K~473K(-193℃~200℃)の広い温度範囲で使用可能
 ・専用制御ソフトウェアで温度可変とインピーダンス測定を全自動化
 ・密閉/加圧式のサンプルホルダにより、圧粉体の測定も可能

【 製品データ 】
 ・製品名︓ 「高周波インピーダンス測定システム」
 ・製品構成︓・インピーダンスアナライザ(20Hz~120MHz)
  ・高周波対応クライオスタット機能付サンプルホルダ
   (サンプルロッド・サンプルホルダ・温度コントローラ)
  ・EDMS制御ソフトウェア  販売価格︓1,250万円(税別)~

【 “第59回電池討論会”に展示 】
 2018年11月27日(火)~29日(木)にグランキューブ大阪で開催される“第59回電池討論会”に、 「高周波インピーダンス測定システム」を展示します。
 ■会期︓ 2018年11月27日(火)~29日(木)
 ■会場︓ グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)
 ■ブース番号︓ 15
 ■「第59回電池討論会」公式サイト︓http://www.knt-ec.net/2018/denchi59/index.html

※1 温度の自動制御をしながら100MHzの高周波測定ができるインピーダンス測定システムとして。
  2018年11月20 日時点。当社調べ。
※2 測定したい試料の物性測定や構造解析を行う目的で試料を低温に保つサンプルホルダ。
※3 ケーブルの種類、配線、取り回しなどによりケーブルに発生する容量成分で、測定誤差の原因となる。

<株式会社東陽テクニカについて>
当社は 1953年の創立以来、世界最高水準の“はかる”技術の提供をコアコンピタンスとし、最先端の測定機 器の輸入販売と自社開発製品の提供によって、官公庁、大学ならびに企業の研究開発を支援してきました。技 術分野は、情報通信、自動車計測技術、環境エネルギー、EMC(電磁波障害)試験、海洋調査、ソフトウェ ア開発支援、メディカルなど幅広く、米国や中国の現地法人などを通じて世界にも提供しています。また、2016 ~2017年にかけて新しい3組織「セキュリティ&ラボカンパニー」「技術研究所」「ワン・テクノロジーズ・カンパニー」 を設立。サイバーセキュリティサービスの提供、自動運転車の開発支援、AI(人工知能)を使ったデータ解析など、新しいソリューションの創造に取り組んでいます。
 東陽テクニカは「“はかる”技術で未来を創る」のスローガンのもと、これからも産業界の発展と安全で環境にやさしい社会づくりに貢献してまいります。
  東陽テクニカ Webサイト︓https://www.toyo.co.jp/


★ 本件に関するお問い合わせ先 ★
株式会社東陽テクニカ 理化学計測部 TEL︓03-3245-1103(直通) E-mail︓keisoku@toyo.co.jp 東陽テクニカ「高周波インピーダンス測定システム」紹介ページ︓ https://www.toyo.co.jp/material/products/detail/4990EDMS_120K


※本ニュースリリースに記載されている内容は、発表日現在の情報です。製品情報、サービス内容、お問い合わせ先など、予告なく変 更する可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
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