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ガソリンエンジン向け デュアルボリュートターボチャージャーを導入【ボルグワーナー】
2018年9月10日
本プレスリリースは、2018年9月6日にアメリカ合衆国で発表された英文リリースの抄訳版です。
ボルグワーナー(本社:アメリカ合衆国ミシガン州アーバンヒルズ、社長兼最高経営責任者:フレデリック・リサルド/Frederic Lissalde)は、この度、高い過渡応答特性が要求される乗用車用ガソリンエンジン向けに専用設計したデュアルボリュートターボチャージャーを開発しました。同社の新型ターボチャージャーは、低速から加速する場合に極めて素早いエンジンレスポンスを実現します。デュアルボリュート構造によりエンジンからの排気を2つの渦室に完全に分離できるため、従来のツインスクロールターボチャージャー構造と比べ、タービンホイール駆動に、より多くの排気脈動エネルギーを利用できるようになります。ボルグワーナーの幅広いエンジン過給製品ポートフォリオに加わるデュアルボリュートターボチャージャーは、ガソリン乗用車の性能向上のための新たなソリューションであり、OEMにおけるそれぞれの目標達成に貢献します。
タービンとコンプレッサーで構成されるターボチャージャーは、通常は廃棄されるエンジンからの高温高圧排気流に含まれているエネルギーを利用しており、このエネルギーを圧縮空気、つまり「ブースト」空気に変換してエンジンに送り込みます。タービンハウジングに導入された排気は、デュアルボリュートタービンステージの分離された2つのボリュート(渦室)を通過することでタービンの回転方向に方向付けされ、それぞれのタービンホイールに直接送り込まれます。
従来のツインスクロールターボチャージャーは、タービンハウジングに隔壁を設けて排気通路を横並びに配置させることにより、タービンホイールに送り込む排気流を分離させます。しかし、このような構造の場合、2つの渦室からの排気流は、タービンホイールに送り込まれる直前に従来の狭い排気通路を通ることになります。これにより、一部の排気流とそれに伴う脈動エネルギーが排気通路間の隔壁によって流出し、タービンホイール駆動に利用できるエネルギーが失われてしまいます。
ボルグワーナーのデュアルボリュートターボステージ技術は、この隔壁を取り除き、排気通路を完全に分離させることで、より多くの排気を取り込みます。排気脈動の間隔が長く、排気流が変化しやすい低速時に、エンジンからの脈動エネルギーを利用することにより、排気流エネルギーのみを利用した場合に比べ、タービンホイールを駆動させるエネルギーを大幅に増加させます。低速時に多くのタービンエネルギーを利用することにより、優れたターボチャージャーブーストレスポンスを提供し、今日のターボチャージャーエンジンに求められている素早いエンジンレスポンスを実現します。
デュアルボリュートターボチャージャーは、ボルグワーナーの新たなソリューションが開発されるまでは、商用車用ディーゼルエンジンに限定的に使用されていました。ボルグワーナーは、このガソリンエンジン向けの新世代デュアルボリュートターボチャージャー技術の開発を2012年に開始しました。現在はフルサイズピックアップトラック用として、乗用車市場では同社初となるデュアルボリュートターボチャージャーをOEMの1社に向けて生産中です。ボルグワーナーは、自社の包括的かつ拡大するポートフォリオからエンジン過給技術を世界中のほぼすべてのOEMに供給しています。また、内燃機関、ハイブリッド、および電気自動車向けのクリーンかつ効率的な推進ソリューションを牽引するボルグワーナーは、ますます厳しさを増すグローバルな排出ガス規制を遵守するために、自社製品の設計を行っています。
ボルグワーナー・ターボシステムズの社長兼事業本部長のロビン・ケンドリック(Robin Kendrick)は、「ボルグワーナーのエンジン過給の先進技術開発における卓越した歴史と知識は、適正なエンジン過給技術の選定によりお客様をサポートすることを実現するだけではなく、技術開発においてシステムアプローチを取ることも可能になります。ボルグワーナーのエンジニアリングチームは、デュアルボリュートターボチャージャーが優れた過渡応答性を必要とする乗用車向けにより素早いレスポンスを提供できることを認識していました。この新しいソリューションを市場に投入できることを大変うれしく思います。」と述べています。
ボルグワーナーについて
ボルグワーナー(NYSE: BWA)は、内燃機関、ハイブリッド、電気自動車向けのクリーンで高効率な技術ソリューションを提供するグローバルなリーディングカンパニーです。世界18カ国66カ所に生産・開発拠点を持ち、全世界でおよそ29,000人の従業員を擁しています。詳細については、borgwarner.comをご覧ください。
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