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自動運転のソフトウェア開発向け統合開発環境を提供開始【ルネサス エレクトロニクス】

2017年10月19日

自動運転のソフトウェア開発向け統合開発環境を提供開始
~ツールチェーン、シミュレータ、ライブラリを一体化した
R-Car向け統合開発環境「e² studio」が、複雑な自動運転ソフトウェアの開発を加速~


ルネサス エレクトロニクス㈱(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)はこのたび、ソフトウェア統合開発環境「e² studio」を車載情報・ADAS(Advanced Driver Assistance Systems:先進運転支援システム)用SoC「R-Car V3M」に拡充し、2018年第1四半期より提供を開始することにいたしました。e² studioは、オープンソースのソフトウェア統合開発環境Eclipse CDT(C/C++ Development Tooling)をベースとする、RZファミリ、Renesas SynergyTMなどのルネサス製デバイスに対応した統合開発環境です。今回、e² studioは車載情報・ADAS用SoCのソフトウェア開発に向けた第一弾として「R-Car V3M」をサポートします。このR-Car向けに拡充されたe² studioを使用することで、自動運転に向けたソフトウェアを効率よく開発できるようになります。R-Car V3M向けe² studioは、車載情報・ADAS用SoCのソフトウェア開発環境の中核を担うツールであり、本年4月に発表した「Renesas autonomy™」コンセプトに基づく一連のソリューションのひとつです。

ルネサスの車載向け低消費電力・高性能SoCは、ホストCPU、アクセラレータなどの多様なIP (Intellectual Property)を組み合わせたヘテロジニアスアーキテクチャを採用しています。これらのIPはそれぞれが独自のプログラム言語、ツールチェーン、トレースインタフェース、デバッグプロトコルを使用することで、開発者はIPの機能、性能を最大限に引き出し、自動運転を実現するための多様なソフトウェア、アプリケーションを開発できます。
このような状況のもと、ルネサスは、R-Car V3Mに内蔵される画像認識エンジン「IMP-X5」をはじめとする各IPの演算性能と低消費電力性能を余すところなく活かすため、既存のe² studioにR-Car向けの各種新機能を追加することにしました。R-Car V3M向けe² studioを使用することで、開発者はR-Car V3Mに搭載された多様なIP向けのソフトウェアを包括的かつ統一感のあるGUI(Graphical User Interface)で開発することが可能になり、ひいてはADAS・自動運転向けのソフトウェア開発を加速できます。

R-Car V3M向けe² studioの主な特長は以下の通りです。

(1)各種新機能の搭載によりADAS向けソフトウェア開発を強力にサポート
マルチスレッドプログラミング環境:Eclipseが提供する統一されたGUIのもと、 IMP-X5に内蔵される64スレッド並列プロセッサのプログラミングをサポート。R-Car V3M向けe² studioには、新規開発したIMP-X5専用Cコンパイラ「ccimp」が組み込まれているため、C言語で統一された開発が可能。また、従来はメモリ上に出力される演算結果のみで確認していたスレッドの動作を、GUI上でステップごとに確認できる機能も装備しているため、プログラムの開発工数を1/10程度に削減することができる。
イメージビューア:IMP-X5が生成する画像をGUIから直接確認できる。これにより、従来必要とされていた画像確認のためのストレージが不要となるため、手軽に画像を確認可能。
IPトレーサ:IMP-X5内のサブコンポーネント間の連係動作を可視化することで、これまでは原因究明が難しかったIP連係に関するソフトウェア不具合を早期に解決できるため、ソフトウェア開発期間の短縮が可能。
バストラフィックモニタ:SoC内に張り巡らされたバスを流れるデータの転送量をモニタする。従来、解析に時間を要していたデータ転送におけるボトルネックを瞬時に特定できるため、ソフトウェアチューニングにかかる時間が半減。

(2)R-Car V3M向けソフトウェアを開発するための完全なワンストップソリューション
ツールチェーン、シミュレータ、IMP-X5用の画像認識ライブラリをワンストップで提供します。これにより、開発者は煩わしい個々の開発環境のセットアップや更新作業から解放され、付加価値を高める開発に注力できます。さらに、開発者全員が同一のツールチェーン、シミュレータ、ライブラリを利用できるため、そのアウトプットであるソフトウェアの品質確保に寄与します。

(3)Eclipseコミュニティの成果を活用することで多様な開発環境を構築可能
オープンソースの統合開発環境として大きなシェアをもつEclipseのコミュニティが提供する各種プラグインをe² studioに容易に組み込むことができます。これにより統合開発環境の基本機能であるソースコード作成、ビルド、デバッグを、開発者自身が目的に応じて機能追加、最適化できます。また、今回R-Car V3M向けに開発したe² studioの新機能は、同じEclipseを得意とする当社パートナのツールベンダも活用できるため、開発者は開発環境の選択肢をより広げることができます。

今回の発表に伴い、ブロードベースドソリューション事業本部ソフトウェア開発統括部長 福井 昭也は次のように述べています。「このたび、ルネサスはオープンな開発環境である e² studioを、ADAS・自動運転用SoCに初めて対応させます。R-Car V3M向けe² studioは、車載用SoCの性能を100%引き出すADAS・自動運転向け各種新機能を有しています。この新しいe² studioの提供を通じ、ルネサスはお客様の車載用ソフトウェアの開発効率向上と期間短縮に貢献します。またルネサスは、今後、さらに多くのデバイスをサポートするe² studioを開発してまいります。」

ルネサスは、R-Car V3MおよびIMP-X5に対応したe² studioを10月24日からドイツのルートヴィヒスブルクで開催されるEclipseCon Europe 2017(https://www.eclipsecon.org/europe2017/)のルネサスブースにて展示します。


e² studioについて
e2 studioは、オープンソースの統合開発環境”Eclipse”と、C/C++言語開発を可能とするCDTプラグインをベース とし、ルネサス製デバイスに対応した統合開発環境です。RZファミリ、Renesas Synergy™マイクロコントローラにも対応しています。ルネサス製ツールの他、GNUツールやパートナーツールを含めた、複数のコンパイラ、デバッグツールを選択できます。 Eclipse CDT標準の強力なエディタ、プロジェクト管理ツールに加え、ルネサスツールとしてのさまざまな拡張機能を備えています。

*Renesas Synergy およびRenesas autonomyは、ルネサス エレクトロニクス㈱の商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。









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