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ゼロエミッションを目指した環境に優しいドライブシステムを発表【シェフラージャパン】

2017年9月15日

シェフラー、IAA(フランクフルト国際モーターショー)2017に出展
シェフラー、ゼロエミッションを目指した環境に優しいドライブシステムを発表


シェフラーは、フランクフルト国際モーターショー(IAA)で、低エミッションおよびローカル・ゼロエミッションドライブのための生産ソリューションを披露します。これにより、自動車業界のサプライヤーであるシェフラーは、都市部の大気汚染や、道路交通輸送による温室効果ガス排出の大幅な減少に貢献でき、同時に、生産可能な技術により内燃機関の排出性能も改善します。

シェフラーは、現在量産が開始されている第2世代のサーマルマネジメントモジュールを、IAAで披露します。このモジュールは、エンジン、トランスミッション、その他の電気駆動の冷却回路を制御し、さらには必要に応じてバッテリーの冷却回路も制御します。エンジン始動時に全冷却回路を完全に停止させ、個々のシステムの加熱を加速させることができます。モジュールが回路を管理することで、車室内温度の運転状況や熱条件に応じた体系的な制御が可能になります。サーマルマネジメントモジュールに用いるアクチュエーターは、エンジンの機能性や耐用年数にも影響を与えます。そこでシェフラーは、それぞれの要件に合わせたモジュールキットを開発しました。サーマルマネジメントモジュールを活用することで、新欧州ドライビングサイクル(NEDC)試験でも3%の燃費節約を実現できることを実測されました。これは、外気温が低いコールドスタート後なら更に向上します。 シェフラーの自動車部門担当CEOであるペーター・プロイス博士は、次のように説明します。「コールドスタート後の排出量を削減することが特に重要です。エンジン始動時にエンジンオイルとトランスミッションフルードがまだ冷たい場合、ユニット内の摩擦は非常に大きくなります。その結果燃料消費量が増え、間接的に有害な排出物も増加します」

ペーター・プロイス博士は「エンジンのバルブの開閉タイミングもまた、重要な影響パラメータです」と言います。その理由は、総排出量の大部分が加速時によるものだからです。エンジンの設計者は、シリンダーに空気と還流排気ガスを送る吸気弁の開閉のタイミングを調整することで、この問題に効果的に対処しています。動的駆動モードでも素早い調整を実現するために、シェフラーは、電動バルブタイミング可変装置を開発し、量産に成功しました。プロイス博士はまた、次のように説明しています。「メカトロニクスの技術を用いることで、カムシャフトを毎秒600から800度のクランクシャフト角速度に合わせて調整することができます。この調整は、エンジンの回転方向に対して遅角方向においても可能です」。油圧方式の装置はこれまで広く利用されてきましたが、エンジン速度や温度次第で2倍から10倍に遅くなってしまいます。

更なる可変技術について、燃費が良く、排出量が少ない。これらの利点は、低荷重の運転状況で気筒を1つ以上休止させるシステムによっても実現します。休止させると、稼働したままの気筒がより効率的な負荷領域で動作します。シェフラーが開発した油圧式スイッチャブルバルブタペットにより、個別に気筒の休止が可能です。2018年には、シェフラーのこのシステムを利用した最初の3気筒エンジンが量産開始となります。遠心振り子式アブソーバー搭載デュアルマスフライホイールもシェフラーが開発した製品ですが、NVH(騒音、振動、ハーシュネス)パフォーマンスに関して、一時的に2気筒稼働になっても悪影響を受けないようになっています。

従来のパワートレインを電動化した、コスト重視のソリューションである48Vシステムからは、改善へとつながる大きな可能性が見い出せます。現在の量産車では、スタータジェネレータの代わりに、このシステムがベルトによって内燃機関のクランクシャフトに接続されています。シェフラーは、次世代の車両にも、この48V電気モーターをエンジンとトランスミッションのユニットやアクスルに統合するつもりです。必要なパワー出力を備えた電気モーターと十分な容量のバッテリーを用いることで、このようなソリューションは高速走行時でも「コースティング(慣性走行)」を可能にします。つまり車両は、エンジンを停止しても速度を保つことができるのです。さらに、燃料消費量の大幅な削減に加えて、減速時に生成されるエネルギーをより効果的に回収できます。例えば、結果として得られた電力を、電気を使って加熱できる触媒コンバーターの稼働に利用できるため、現在の法制限をはるかに下回る排出量を実現できます。

また、プラグインハイブリッドパワートレインによって、さらに大幅に燃料消費量を削減し、長距離でのローカル・ゼロエミッションドライブを実現することも可能です。10年以上にわたって、シェフラーはこのようなパワートレインの中心となる要素、つまり高電圧ハイブリッドモジュールに取り組んできました。2010年の時点ですでに、シェフラーはこの推進システムの主要なコンポーネントを納入していましたが、今では、800Nmまでの極めて高いトルクを伝達できるハイブリッドモジュールが間もなく発売開始となります。特許取得済みのモジュール内におけるパワーフローの分岐により、このような高トルクの伝達が可能になります。さらに、ハイブリッドモジュールはオートマチックトランスミッション内のトルクコンバーターと組み合わさることで、北米市場でよく使われているトレーラー牽引車両といった非常に大型の車両でも、一時停止後も快適に発進できます。

特にバッテリー電気自動車に適切なのは、アクスルやタイヤにも組み込まれているトラクションシステムです。電動ホイールハブモーターはまだ開発前のテーマですが、シェフラーの電動アクスルはまもなく量産に入ります。現在、シェフラーのエンジニアは同時に4件の量産プロジェクトに対応しています。

シェフラーのCTO(最高技術責任者)であるペーター・グッツマー博士は、次のように述べています。「今の時点では、電気自動車が市場で広く受け入れられるようになるのがいつかは、誰にもわかりません。それでも、自動車業界全体がゼロエミッションモビリティへの道を歩んでいることに間違いはありません。私たちは、すでに生産準備の整った技術を使って、このトレンドを支援していくつもりです」

都市部の大気質を継続的に改善するために、世界中の政府がより厳重な排出量の制限規制を進めています。例えばEUは、2017年9月1日から単なるテストベンチではなく、実際の路上を走行した場合の排出量を測定する実路走行排気(RDE)試験を要求しています。一方中国では、ローカル・ゼロエミッションの電気自動車に対して一定の販売台数を規定する計画があります。最高技術責任者のグッツマーは、次のように述べています。「こういった要件を満たすために必要な技術は、すでに利用可能な状態にあります。私たちの非常に小型でパワフルな電気駆動システムは、早くも何件かの製造を受注しています」また、グッツマーは同時に、今以上に効率性に優れ、排出量の少ない未来の内燃機関を設計することの必要性を指摘しています。

シェフラーは、車両用の電動化パワートレインは今後数年間も継続して増加し続けると予測しています。最近発表されたシナリオによると、2030年までに生産される自動車全体のうち30%は、完全電気式のトラクションシステムを利用したものになる可能性があるようです。この場合、内燃機関のみを搭載する自動車はわずか30%となり、残りの40%にはハイブリッドパワートレインが採用されることになります。グッツマーはさらにこう続けます。「この極端なシナリオの中でさえ、新規車両の3分の2には、依然として内燃機関が搭載されることになっています。つまり、私たちは引き続き内燃機関の排出量削減を目指し、できることはすべて行わなければならないのです」そこでシェフラーは、この問題を解決すべく、これらのソリューションを開発しました。

*本リリースは、2017年9月12日にドイツ・フランクフルト・アム・マイン/ヘルツォーゲンアウラッハで発表されたプレスリリースの抄訳です。








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