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ルネサスとCodeplayがADAS用システム開発向けにOpenCL™とSYCL™を共同開発【ルネサス エレクトロニクス】

2017年9月13日

ルネサスとCodeplayがADAS用システム開発向けにOpenCL™とSYCL™を共同開発
〜オープンスタンダードなソフトウェアフレームワークの提供により、
R-Car用の画像認識およびコグニティブ処理システムの開発が容易に〜


ルネサス エレクトロニクス㈱(本社:東京都江東区、代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)と、マルチコア向け並列コンピューティングおよびコンパイラの専業メーカであるCodeplay Software Ltd.(本社:英国スコットランド、CEO Andrew Richards、以下Codeplay)は、本日、ルネサスの車載用SoC(System on Chip)「R-Car」向けに、Codeplay独自のOpenCL™フレームワーク「ComputeAorta™」を提供することを発表します。今後、ルネサスとCodeplayは両社の協業の下、ComputeAortaを「R-Car V3M」を中心に、「R-Car H3」を含む他のR-Carにも拡充していきます。

新フレームワークは、ルネサスが長年開発に注力している、低消費電力で高い並列処理性能を実現する画像認識およびコグニティブ処理専用IP(Intellectual Property)「IMP-X5」用のソフトウェア開発をサポートします。さらにCodeplayは、OpenCLとC++を単一ソースで記述可能な言語SYCL™をサポートする「ComputeCpp™」を提供します。これらにより、ユーザはC++の特長であるオブジェクト指向プログラミングの手法を取り入れつつ、標準的なC / C ++言語の開発環境で、画像認識ソフトウェアやオープンソースのTensorFlow™ライブラリ等を使用したディープラーニングのソフトウェアを開発できます。したがって、ユーザはR-Carの高性能と低消費電力というメリットを享受しながら、自社のイノベーション開発に注力することで、先進運転支援システム(Advanced Driving Assistance System:ADAS)の開発期間を短縮できます。

Codeplayとルネサスは、2017年9月19日から21日まで、ベルギーのブリュッセルで開催されるAutoSens 2017のCodeplayブース(番号28)において、R-Car H3上でOpenCLを使った画像認識処理を動作させるデモを出展します。

ルネサスのグローバルADASセンター、Vice PresidentのJean-Francois Chouteauは、次のように述べています。「自動運転を実現する上で、コンピューティング性能は、不可欠な要素であり、ルネサス独自の画像認識およびコグニティブ処理専用IPであるIMP-X5により、R-Carは先進の機能の実現や安全性の向上に貢献します。今回のCodeplayとの協業により、R-Car用のOpenCLとSYCLを提供できるため、お客様は製品開発において優れた性能を実現しつつ、開発期間を短縮できます。これはまさにADASおよび自動運転における”Renesas autonomy™”コンセプトの具現化です。」

CodeplayのCEO、Andrew Richardsは次のように述べています。「OpenCLは、ヘテロジニアスコンピューティングを効率よくサポートするために広く採用されているオープンスタンダードなフレームワークです。画像認識およびディープラーニングの開発者が、当社のComputeAortaおよびComputeCppを導入することで、広く知られたOpenCLやSYCLを使用し、R-CarおよびIMP-X5の高機能・高性能を享受できます。」

R-Car向けComputeAortaおよびComputeCppの主な特長は以下の通りです。

(1)マルチスレッドプログラミングによる高いコンピューティング性能を最大限活用可能
ComputeAortaは、自動車のOEMメーカやTier1メーカが、R-Car、特にIMP-X5のコンピューティング性能を最大限に活用するためのOpenCL向けハードウェア抽象化レイヤです。ComputeCppは、OpenCLをC++に拡張するためのフレームワークであるSYCL実装の一つであり、ユーザはComputeCppを使用することで、ヘテロジニアス環境でのマルチスレッドプログラミングを単一のC++ソースコードで実装できます。ユーザは、これらのフレームワークを使用することで、マルチスレッドによるIMP-X5のコンピューティング性能を100%活用できます。

(2)開発工数を削減し、開発期間を短縮
ComputeAortaとComputeCppのサポートにより、ユーザは標準的なC / C ++言語の使いやすい開発環境を使用できます。また、ユーザは標準化されたOpenCLおよびSYCL言語仕様のみを学習すればよく、IMP-X5ハードウェアの詳細を理解する必要は全くありません。これにより、従来は一カ月程度の期間を必要としていたIMP-X5上のマルチスレッドプログラミングをわずか数日で完成させることができ、システム開発期間を短縮できます。

(3)オープンソースのエコシステムを活用
ユーザやメーカは、OpenCLやSYCLを使用した画像認識およびコグニティブソフトウェアを開発するオープンソースコミュニティに参加することにより、既存のソフトウェア資産やエコシステムによる成果を利用できます。

R-Car H3向けOpenCLおよびSYCLのプロトタイプ実装(proof-of-concept)を近日Codeplay社から提供予定です。また、2018年度よりR-CarV3M版を提供予定です。

※SYCL is the trademark of the Khronos Group Inc.
※OpenCL and the OpenCL logo are trademarks of Apple Inc. used by permission of the Khronos Group™.
※TensorFlow, the TensorFlow logo and any related marks are trademarks of Google Inc.
※ComputeAorta and ComputeCpp are trademarks of Codeplay Software Ltd.
※Renesas autonomyは、ルネサス エレクトロニクス㈱の商標です。
※本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ルネサス エレクトロニクス㈱について
より安全で健やかな暮らしを支える、環境に優しいスマート社会を構築するため、ルネサスは、自動車、産業、ブロードベースド分野を集中領域とし、デバイス、キット、プラットフォームという3つの半導体ソリューションを取り揃え、付加価値を高めた最適なサービスを提供していきます。
詳細については、こちらをご覧ください。www.renesas.com


Codeplay Software Ltd.について
Codeplayは、ヘテロジニアスシステムに関する知見と技術でグローバルに認められた企業です。また、OpenCL、SYCL、Vulkanと、それらを多様なアーキテクチャ上で使いこなすための各種ツールに関して、長年にわたる実績を持っています。Codeplayは、独自のOpenCL実装であるComputeAortaと、SYCL実装であるComputeCppをもとに、さまざまな画像認識や機械学習のアプリケーション開発に寄与しています。これにより同社はヘテロジニアスコンピューティングシステムのグローバルリーダーとして確固たる地位を確立しています。詳細についてはwww.codeplay.comをご覧ください。








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