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2MHz動作で業界最高降圧比、60V入力2.5V出力の電源IC「BD9V100MUF-C」を開発【ローム】
2017年7月27日
2MHz動作で業界最高降圧比※、
60V入力2.5V出力の電源IC「BD9V100MUF-C」を開発
ロームのNano Pulse Control®技術が48V系車載電源システムのさらなる進化に貢献
※2017年7月27日現在 ローム調べ
<要旨>
ローム㈱(本社:京都市)は、マイルドハイブリッド自動車など48V系電源で駆動する車載システム向けに、車載に求められる2MHz動作(スイッチング)で業界最高降圧比を達成したMOSFET内蔵降圧DC/DCコンバータ*1)「BD9V100MUF-C」を開発しました。
「BD9V100MUF-C」は、ロームの「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つの先端アナログ技術を結集して誕生した超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」を搭載し、2MHz動作時に最大60Vの高電圧入力に対して2.5Vまでの低電圧出力(業界最高降圧比24対1)を可能にしました。これにより、周辺部品を小型化すると同時に、従来2つ以上の電源ICでしか構成できなかった高電圧から低電圧への電圧変換を”1つの電源IC”で構成できるようになるため、アプリケーションの小型化、システムの簡略化を一気に実現することが可能です。
なお、本製品は、2017年7月よりサンプル出荷(サンプル価格 1000円/個:税抜)を開始しており、2017年12月から当面月産10万個の体制で量産を開始する予定です。生産拠点は、前工程がローム浜松㈱(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.になります。
今後ロームは、本年中に「Nano Pulse Control®」を搭載した産業機器向け電源ICを開発し、産業機器の小型化、システム簡略化にも貢献していきます。
<背景>
近年、省エネや環境性能がますます求められる自動車分野において、従来の12V電源システムに比べて燃費改善効果が高く、フルハイブリット自動車に比べてコストパフォーマンスの良い、48V電源システムを搭載したマイルドハイブリッド自動車に注目が集まっています。
ところが、車載システムに必須の2MHz動作を常時行いつつ、ECU(Electronic Control Unit)を駆動させるために必要な3.3Vや5Vに、48Vから直接降圧できる電源ICは存在せず、12Vなどに中間電圧をつくり2段階で降圧する必要がありました。
ロームは、アナログ設計技術やパワー系プロセスなど、垂直統合型の生産体制を活かし、新市場の電源ICへのニーズに応えるため、超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」を開発し、”電源システムの1chip化”を実現しました。
<特長>
新製品「BD9V100MUF-C」には、超高速パルス制御回路や高耐圧BiCDMOSプロセスなどを駆使して誕生した超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」を搭載しており、電源ICにおける世界最小※スイッチングオン時間9ns(スイッチングオン時間は電源ICの制御パルス幅、nは10のマイナス9乗)を達成したことで、業界最高降圧比を実現しています。
※2017年7月27日現在 ローム調べ
このようにして、AMラジオ帯域(1.84MHz Max.)に影響を与えない常時2MHz動作を行いながら、最大で60Vの高電圧入力に対して、ECUが駆動する5V や3.3V(最小で2.5V)の低電圧出力を実現します。 マイルドハイブリット自動車の48V電源システムなど、高電圧から低電圧への電圧変換を”1つの電源IC”で構成できるようになるため、部品点数を半分にすることでアプリケーションの小型化、システムの簡略化を実現すると同時に、高周波動作による外付け部品(コイル)の小型化まで実現します。
<Nano Pulse Control®について>
Nano Pulse Control®は、ロームの垂直統合型生産体制において、「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つの先端アナログ技術を融合することで実現する超高速パルス制御技術を指します。マイルドハイブリッド自動車や産業用ロボット、基地局のサブ電源など、48V系電源システムで駆動するアプリケーションの小型化、システムの簡略化の軽減に大きく貢献します。
<用語説明>
*1)DC/DCコンバータ
電源ICの一種で直流(DC)から直流へ電圧を変換する。一般的に電圧を下げる降圧、電圧を上げる昇圧が存在する。
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