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「リニアモータを用いた工作機械の案内機構」が愛知発明表彰で愛知発明賞を受賞【ジェイテクト】
2017年6月16日
㈱ジェイテクトは「リニアモータを用いた工作機械の案内機構」で平成29年度愛知発明表彰の「愛知発明賞」を受賞しました。
自動車のエンジンに代表される内燃機関には、重要な機能部品としてカムシャフトやクランクシャフトが使用されています。これらの部品は近年の自動車産業における国際競争力の向上と低燃費化や静粛性のニーズの高まりを受け、より低コストで高精度な加工を実現する設備が求められています。
従来より定評のある当社製カムシャフト研削盤やクランクピン研削盤のといし台送り機構には、静圧案内面と送りねじで構成されていましたが、ねじ、ナット、カップリングなど動力伝達要素が介在しているため、送り誤差の要因となっていました。
本発明は、といし台送り機構にリニアモータ駆動を採用し、といし台案内面の剛性アップや追従精度を高めた機構です。また、動力伝達要素がなくなり直接駆動のため応答性が高く、指令値に対するといし台送り誤差がより少なくなり、従来(送りねじタイプ)と比べ高精度な加工を実現しています。
といし台前部には質量の大きいといし軸受ユニットが取り付けられていますが、リニアモータの電磁コイルには強力な磁気吸引力が下向きにかかり、といし台全体の姿勢変化が現れ加工精度に影響を与えます。発明した案内機構では、といし軸受ユニット直下の領域を除いた全長に電磁コイルユニットを配置し質量と吸引力が均一となるように構成しています。これにより、磁気吸引力が案内面に加わってもといし台全体の姿勢を水平に保つことができます。また、電磁コイルを静圧案内面と同じ高さに配置することなどにより案内面の剛性とといし台の追従精度も高めています。従来(送りねじタイプ)と比較して加工精度は約40%向上、サイクルタイムは約20%短縮が確認でき、加工能率と加工精度の向上につながっています。
【リニアモータ駆動といし台静圧案内機構と質量と磁気吸引力の関係】
本案内機構は現在販売しているカムシャフト研削盤やクランクピン研削盤に搭載しており、世界中の自動車メーカーや部品メーカーに使用していただいています。
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