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自動運転の研究でテキサス大学オースティン校と提携【日本ナショナルインスツルメンツ】

2017年4月12日

同校の交通研究センターで行う自動走行の研究/試作向けに、ミリ波対応のリアルタイムテスト技術を提供

日本ナショナルインスツルメンツ㈱(本社:東京都港区、代表取締役:マンディップ シング コラーナ、以下日本NI)は、2017年4月12日、米ナショナルインスツルメンツ(NI)が、テキサス大学オースティン校のSAVES(Situation-Aware Vehicular Engineering Systems)イニシアチブと新たに提携したことを発表します。この提携に基づき、NIは、同イニシアチブによる自動運転車/自律走行車の研究を促進するために、ミリ波に対応するリアルタイムテスト技術を提供します。その技術を利用するテストベッド(試験用のプラットフォーム)では、超低遅延、新たなレーダ波形、データ分析といったテーマに焦点を絞ってテストが実施されます。このことから、同テストベッドは先進的な自律走行の実現に向けて重要な役割を担うことになります。

NIが提供するのは、76~81GHz帯を使用し、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)や通信テストに応用可能な技術で、当社のミリ波フロントエンド技術と当社が最近リリースした第2世代のベクトル信号トランシーバ(VST)「PXIe-5840」を基盤とするものです。テキサス大学のテストベッドでは、第2世代のVSTと特定周波数帯向けのアップコンバータ/ダウンコンバータを組み合わせて使用します。両コンバータは、リアルタイム帯域幅が1GHzの76~81GHz帯レーダをテストするために設計されています。システム全体としては、システム開発プラットフォーム「NI LabVIEW」とPXI(PCI eXtensions for Instrumentation)製品をベースとして構築されています。このシステムを使い、特定の物体に対するレーダ反射波のエミュレーションやHIL(Hardware-in-the-Loop)テストを実施することにより、車載のセンサとCPUを結ぶネットワークリンクの応答性を確認することができます。これらの作業は、車載の至る所に配備されたセンサに対し、ハードウェアとソフトウェアの両面でテストを行うものであり、自律走行車の安全性と信頼性を高めるうえで不可欠です。

SAVESは、テキサス大学オースティン校のワイヤレスネットワーキング通信グループ(WNCG:Wireless Networking and Communications Group)が推進するイニシアチブです。テキサス大学オースティン校の交通研究センター(CTR:Center for Transportation Research)との密接な連携の下、自動車技術の先進的な研究を進めています。このイニシアチブでは、車両に搭載された様々なセンサから得たデータを集約し、安全性や走行制御と関連するデータを見いだすとともに、センサから得た膨大なデータを、基地局を介してクラウドベースのインフラに伝送する取り組みが検討されています。そして、ディープラーニングや各種のデータ分析手法を用いて得られたデータを処理し、ドライビングエクスペリエンスの向上を図るというものです。SAVESの立ち上げには、NI、Huawei社、トヨタIT開発センターの3社が参画しています。Huawei社は、通信と道路交通の性能評価を行うための指標をいかに結び付けるかを中心に据えた研究プロジェクトを進めています。トヨタIT開発センターは、位置情報に基づくビームアライメント(Position-aided Beam Alignment)と低周波レーダの設計/試作をターゲットとしてプロジェクトを推進しています。

SAVESイニシアチブ ディレクター兼テキサス大学オースティン校 コックレル工学部 電気/コンピュータ工学教授 Robert W. Heath Jr.氏のコメント
「SAVESは、ワイヤレス通信、センサ、自動車といった技術が交わる「交差点」で、テキサス大学オースティン校の優秀な教員/学生と企業を引き合わせる役割を果たします。テキサス大学オースティン校は、ミリ波通信に対応するNIのプロトタイプ環境や、レーダ/LiDAR(Light Detection and Ranging)/カメラ/DSRC(Dedicated Short Range Communications)無線を備える3台のテスト用車両などを保有しています。NIの新たなADAS向けテストソリューションは、それらの装置を補完するものです。」

NI グローバル自動車戦略担当バイスプレジデント Stefano Concezziのコメント
「NIの新たなADAS向けテストソリューションは、レーダの特性評価とテストに要求される、トレーサブルなRF計測とシステムシミュレーションの両方に対応できる拡張性を備えています。NIのアプローチは、オープンなプラットフォームの上で車載エレクトロニクスの検証とテストを実施するというものです。NIのプラットフォームを利用することで、レーダの活用シーンにおいて新たなシナリオ・課題が生じた際に、システムを即座に適応させることができます。また、NIのソリューションを採用することで、センサフュージョンがディープラーニングに対応したECU(電子制御ユニット)と協調するような複雑なシステムの検証にも対応できます。このように、NIのプラットフォームを利用することにより、ADAS用コンポーネントの開発/検証時間を短縮することができます。加えて、ADAS用のHILシステム/テストシステムの導入費用だけでなく、総所有コストを削減することが可能になります。」

NIの自動車向けテストソリューションについては、www.ni.com/automotiveをご覧ください。

テキサス大学オースティン校について
テキサス大学オースティン校(UT Austin)は、テキサス州内に9つの大学と6つの医療研究機関を有するテキサス大学システム(University of Texas System)を代表する大学です。米国で最も規模が大きく、最高峰の研究実績を誇る大学の1つであるとされています。学生の数は5万1000人以上、教員の数は3000人以上にも上ります。U.S. News & World Report誌は、同校は公立大学上位20校のうちの1つで、会計学、ラテンアメリカ史、石油工学の大学院課程は全米第1位だと位置づけています。また、15以上の学士課程と40以上の大学院課程が全米10位以内にあると評価しています。

日本ナショナルインスツルメンツについて
ナショナルインスツルメンツ(NI)は、1976年以来、柔軟で優れたテクノロジシステムを提供し、世界中のエンジニアの生産性向上とイノベーションを後押ししてきました。ハードウェアとソフトウェアを統合したNIのプラットフォームは、ヘルスケアや自動車、家庭用電化製品から素粒子物理学にいたるまで、あらゆる業界で活用され、社会の発展に貢献しています。日本ナショナルインスツルメンツ(japan.ni.com)は、NIの日本法人です。








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