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次世代航空宇宙用高性能トレカ®プリプレグについて【東レ】

2017年3月7日

東レ㈱(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、この度、次世代の航空宇宙用途向けに引張強度と耐衝撃性を従来材対比30%向上させた、世界最高性能のトレカ®プリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)を開発しました。本技術はこれまで難易度が高いとされてきたマトリックス樹脂の弾性率と靭性を両立させることで、極低温から高温までの使用環境において世界最高性能を発現し、今後、厳しい環境の中でも高品質が要求される、航空宇宙用途向けに展開を進めて参ります。

炭素繊維複合材料は、高い比強度、比弾性率および優れた疲労特性や耐環境特性に基づく高い信頼性を有することから、航空宇宙分野で用途が拡大しています。
当社においては、航空機向けに高性能プリプレグ「トレカ®プリプレグ 3900シリーズ」を提供し、航空宇宙用途の中でも特に主構造材の分野で、二十年以上にわたり実績を積んできました。
近年では、航空宇宙用途、特に主構造材の軽量化や信頼性向上を目的に、飛行中にかかる荷重を支える強度や落雹・飛石から守る耐衝撃性などの力学特性に、より一層の高度化が求められていることから、炭素繊維、マトリックス樹脂両方の高性能化が重要となってきています。

そこで今回東レは、炭素繊維の能力を最大限に活かす熱硬化マトリックス樹脂の開発を進め、炭素繊維複合材料の力学特性発現機構を分子レベルで解析し、マトリックス樹脂の分子構造を深化させることに取り組みました。
特にマトリックス樹脂を構成する分子構造設計と硬化時の反応制御により、架橋構造の自由体積(分子鎖間の空隙)を制御し緻密化することで、これまでトレードオフの関係にあり技術的難易度が高いとされてきた、弾性率と靱性を高いレベルで両立させた3940をはじめとする高性能樹脂群を開発しました。これにより航空宇宙用途で要求される厳しい環境下においても力学特性の大幅な向上を可能とします。

このマトリックス樹脂3940と世界最高強度の炭素繊維「トレカ® T1100G」からなる複合材料は、従来材から30%の引張強度と耐衝撃性を向上させ世界最高強度を達成しました。
なお今回の開発樹脂群は、引張強度、耐衝撃性に加えて、圧縮、剥離耐性といった、航空機用途での重要な力学特性を大幅に向上しており、適用部位によっては最大で20%の軽量化の効果が見込まれ、主翼、胴体、エンジン部材などのさらなる効率化や信頼性の向上が期待できます。

東レは、航空宇宙用途を最重要な成長分野の一つと捉え、優先的に経営資源を投入してきました。今後も、トレカ®プリプレグの一層の高性能化やプロセス加工性改善を通じて新製品の開発に取り組み、多様化する航空機部材のニーズに応えていく所存です。








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