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2016年6月欧州市場新車販売速報【JATO Dynamics】

2016年7月29日

「欧州新車市場の2016年上半期は、2008年以来最も好調な成長を見せる」


新型モデルが従来のモデルリーダ郡の地位を揺るがす。Volkswagenのマーケットシェアは先月に引き続き下落。
最もマーケットシェアを伸ばしたセグメントは3つの SUVセグメント。
EU離脱是非を問う国民投票の影響により英国がマイナス成長。
新型SUVモデルとOpel/Vauxhall Astraがビックウィナー。

1.国別販売台数


欧州新車市場の2016年上半期の新車登録実績は、新型モデルの市場投入や消費者嗜好の変化がこのポジティブな勢いを後押ししている。上半期販売台数は、前年同期比+9.1%の809万台を数え、2008年以来最高の伸びを記録した。6月単月では、前年同月比+6.5%と先月5月の伸び+15%と比べると低成長だった。英国はEU離脱是非を問う国民投票の影響によりマイナス成長。季節調整済み年率換算では、1550万台に達する見込み。

2.ブランド別


全てのメーカーがこのポジティブ成長の恩恵を受けているとはいえず、ほとんどのメインストリームブランドではマーケットシェアを落としており、市場の平均伸び率よりも下回っている。特にVolkswagenやNissanの低成長が目立つ。
Volkswagenは排ガス問題等により、前年同期比-1ポイント近くマーケットシェアを落としており、上半期比では2010年以来最も大きくマーケットシェアを縮小したブランドとなった。
JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは次のように述べている。
「Volkswagenは排ガス問題に対処しているだけではなく、同ブランドのトップセラーであり、市場においての地位を確かなものにしたGolfに対して
ライバル達が新型車を市場に投入しており、厳しい競争下におかれている。」
対照的に、Renaultは前年同期比+15%と大きく販売を伸ばしており、トップ10ブランド中2位にランクイン。この結果は明らかにメインストリームのライバル車であるFord、Opel/VauxhallそしてPeugeotを凌いでおり、これら3ブランド全てのマーケットシェアは縮小している。
ブランド別ランキングに目を向けると、欧州市場の好調とVolkswagenの不振がRenaultの販売ランキングを押し上げた。その他メインストリームブランドであるFiatも前年同期比で大きく販売を伸ばしており、特に本国イタリアにおける好調な販売、また5年目を迎えるPandaそして小型SUVの500Xの力強い勢いが同ブランドの販売に大きく貢献している。
その他のブランドでは、Audi、Mercedes、BMWが前年同期比それぞれ2ケタ増を記録し、Fiatを上回った。Mercedesにおいては、BMWをおよそ1,600台上回った。トップ10圏外では、HyundaiそしてKiaが販売台数を伸ばした。その他ブランドで好調だったのは、Mazda、Land Rover、Honda、Jeep、Jaguar、Ssangyong、AbarthそしてInfinitiであった。
セグメント別に目を向けると、マーケットの需要はSUVへとシフトしており、小型SUVセグメントであるB-SUVセグメントが前年同期比1.1ポイントと大きくマーケットシェアを拡大している一方、B-セグメントは1.2ポイントマーケットシェアを縮小している。全体においてSUVセグメントは、前年同期比+24.7%を記録し、スポーツセグメントの+31%についで2番目の大きな成長率であった。国別SUVセグメントで最も大きくマーケットシェアを拡大した国は、キプロス、アイルランド、クロアチア、ハンガリーそして英国でした。一方わずかな伸びを記録した国は、ラトビア、フィンランドそしてスウェーデンでした。また最も好調だったSUVブランドは、Bentley、Jaguar、Mazda、SuzukiそしてHondaであった。

3.モデル別


モデル別に目を向けると、従来のマーケットリーダーモデル群が低成長だったが、新型モデル、その中でも特に新型SUVモデルが2016年上半期ビックウィナーとなった。
上半期でもVolkswagen Golfが3.3%のマーケットシェアを占め、台数では269,400台を記録し、欧州最量販モデルの地位を維持したものの、マーケットシェアでは前年同期比-2ポイントと縮小傾向にあり、Hyundai ix35、Ford Fiesta共に最も大きくマーケットシェアを落としたモデルとなった。その他のモデルで市場平均を下回ったのは、Renault Clio、Volkswagen Polo、Opel/Vauxhall CorsaそしてNissan Qashqaiであった。これらのモデルは好調な小型SUVモデル、例えばRenault Captur、Peugeot 2008、Fiat 500Xにシェアを奪われる結果となった。この好調な3つの小型SUVモデルはそれぞれ2ケタ増もしくは3ケタ成長を記録した。
セグメントの中で最も大きな動きがあったのはSUVセグメントでした。SUVが価格面と豊富なセレクションが消費者ニーズにマッチし、コンパクトSUVの人気と匹敵するにまでに成長した。2016年上半期では、SUVセグメント全体の40%がC-SUVが占め、続いてB-SUVセグメントが38.2%のシェアを占めた。大型SUVセグメントが最も急成長しており、前年同期比+30%の145,700台を数えた。欧州最量販SUVモデルは前年同期比+1%のNissan Qashqaiでしたが、新たに市場に投入されたHyundai Tuscon(マーケットシェアでは1%近く占める)、Kia SportageそしてRenault Kadjarらの好調な販売によりNissan Qashqaiの成長率が縮小した。Renault Capturがライバル車のFiat 500X、Suzuki Vitara、そしてJeep Renegadeらの人気モデルを抑えて前年同期比+10%と好調な販売を記録し、トップのNissan Qashqaiに接近している。アッパーセグメントでは、Volvoとドイツプレミアムブランドが順位を独占した。Felipe Munozは次のように結んでいる。
「この上半期の結果が示すように、好調な市場は明らかに新型SUVモデルを支持している。一方、下半期はより挑戦・困難な時期に入るであろう。英国でのEU離脱選択の影響により、英国経済の減速、そしてこの低迷が主要マーケットへと飛び火し続ける可能性があると考えられる。自動車メーカーにとって新型モデルを生み出す「イノベーション・ソリューション」の創出が今後も成功する重要な要因になってくるであろう。」



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