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自動車OEMを支援するSABICの高機能樹脂技術、 2011年度SPE自動車部門イノベーションアワードを受賞【SABIC】
2011年11月29日
SABICイノベーティブプラスチックスは、米国プラスチック技術者協会(SPE®)による2011年度自動車部門イノベーションアワードにおいて、同社の熱可塑性樹脂を用いた2つの自動車用途が最高の栄誉である殿堂賞(Hall of Fame Award)および最優秀賞(Grand Award)を獲得したことを明らかにした。また、この他に5つの用途が他部門の最終選考に選ばれた。
このたび選考対象となった世界初のオール樹脂製ドアモジュール、環境に優しい樹脂から作られた下肢プロテクター/アンダートレイ、軽量インストルメントパネルといった革新的なコンポーネントは、SABICの熱可塑性樹脂ポートフォリオの広範性と多様性を実証している。またこれらの用途は、SABICの樹脂製品が業界の主要動向に対応し、軽量化およびコスト削減、自由なデザインやさらなる安全性の確保という顧客の目標達成に対していかに貢献するかを示している。
これらの各賞は、11月9日にミシガン州リボニアで催された第41回SPE年次自動車技術イノベーションアワードの祝賀会で授与された。
「自動車部品の革新的な生産方法は、自動車業界においてOEMが強い競争力を維持し、また国際的なトレンドや課題に効果的に対処する重要な課題です。当社は、変化する顧客のニーズを満たす差別化された素材ソリューションを提供することに対して、継続的な取り組みを行っております。私たちは、自動車用途デザインの水準を引き上げている多くの業界リーダーの皆様と協力できることを誇りに感じています。また当社の素材が顧客に付加価値を提供し、業界の革新と躍進に貢献できていることを嬉しく思います。」と、イノベーティブプラスチックスの自動車部門バイスプレジデントであるグレッグ・アダムスはコメントする。
受賞した用途は、SABICポートフォリオの多用途性を実証
殿堂賞を受賞した用途は、Inteva Products, LLC社(旧Delphi Interior & Lighting Systems)が開発したSuperPlug®と呼ばれる世界初のオール樹脂製ドアモジュールである。このドアモジュールは、SABICのXenoy*樹脂[30%ガラス強化ポリカーボネート/ポリブレチンテレフタレート(PC/PBT)]をガスアシスト射出成形機によって成形したもので、モジュール単体で40点の金属部品を置き換えている。
「名誉ある殿堂賞は、国際的な自動車業界に対してXenoy樹脂が大きく貢献した結果であると認識しています。樹脂製ドアモジュールのコンセプトはXenoy樹脂が発端となり、この用途に最適な素材として広く業界で採用されるようになりました。SABICは高度な素材ソリューションのグローバルトップサプライヤーとして、変化する自動車顧客のニーズを満たすためにリソースや専門知識を引き続き向上させていきます。」とイノベーティブプラスチックスのV.ウママヘスワラン自動車部門製品マーケティング担当ディレクターはコメントする。
SuperPlugドアモジュールはコストを10%低減すると共に、重量を1つのドアにつき3.3ポンド、車1台につき13.2ポンド低減し、さらに組み立てライン上のドア内にモジュールを取り付けることができるため組み立てが容易になる。このドアモジュールプログラムは、業界全体にドアのモジュール化の道を切り拓いた。
そして最優秀賞と併せて処理/組立/実現技術部門賞を受賞した用途は、Ford Escape/Ford Kuga用インストルメントパネルである。同コンポーネントはSABIC® STAMAX®20%長繊維グラスファイバー(LGF)をコンパウンドしたポリプロピレン(PP)とTrexel社のMuCell®フォーム射出成形技術を用いてFaurecia社が製品化したものである。この用途は従来の射出成形プロセスで成形されたインストルメントパネルと比較して、重量を1ポンド軽減、サイクル時間を15%短縮、そしてコストを車1台あたり約3ドル低減できる。またMuCellプロセスは従来の射出成形法と比べ、使用する樹脂量と消費エネルギーを低減できるため、環境に優しいインストルメントパネルの生産が可能となる。
最終選考に残った用途は、歩行者の安全、低燃費と環境性能を向上
最終選考に残った5つの用途は、高い安全性や低燃費、そしてハイブリッド車で実現可能なSABICの材料ソリューションのメリットを示している。
1. Ford C-MAXの下肢プロテクター/アンダートレイ構造:安全性部門
この製品はユニークなデザインと高い復元性を持つアンダートレイを特徴としており、歩行者の膝や損傷を軽減できる。このアンダートレイは、SABICのXenoy iQ* PC/PBT樹脂を用いてFaurecia社が成形している。同樹脂は使用済みのプラスチック廃棄物をアップサイクルしたPBT樹脂を最大60%まで配合でき、車両の環境性能を高めることができる。またこの技術では、追加の金属製スポイラーによるサポートを必要とすることなく剛性を確保できるため軽量化が可能である。
2. Range Rover Evoque SUV車の上部ロードパスエネルギー吸収体:安全性部門
この用途は歩行者安全機能を備えた一体型プラスチック製バンパーを補強するものであり、バンパー位置が高い車両での下肢衝突保護に対応するようにデザインされている。環境に優しいXenoy iQ樹脂を用いてMagna International社が成形したこの部品は、エアインテーク、ヘッドランプサポート、バンパーグリル接続部品等の5つの機能を統合している。
3. Volkswagen Touaregハイブリッド車用バッテリーモジュール:パワートレイン部門
この用途は、三洋電機が非ハロゲンの難燃性を備え、UL® 94垂直燃焼テストに準拠するSABICのNoryl*(PPE)樹脂を用いて成形し大幅な軽量化を図っている。この丈夫な樹脂は化学薬品(特に電解液)および高電圧に耐性がある。この用途においてNoryl樹脂はダイカスト製アルミニウムを代替し重量を48%低減したほか、高い設計自由度によって空調パーツの統合を可能としており、さらにアルミニウムの打ち抜きおよび加工に関連するコストを削除している。
4. 2012 Ford Edge Aero CUVのスポイラー:車体外装部門
この世界初の構造部品の樹脂化技術(SPT:Structural Plastic technology)を利用したスポイラーは、SABICのGeloy*ポリカーボネート/アクリレート・スチレン・アクリロニトリル(PC/ASA)樹脂を用いて、ABC Group社が成形したものである。Geloy樹脂は、コーナー部をSPTおよび化学発泡剤を使用したガス逆圧成形によって発泡成形され、成形技術の限界に近い0.26インチ(6.5ミリメートル)の厚肉部品を実現すると共に、スタジオクラスAの表面品質を維持している。この2012 Ford Edge Aero CUVのスポイラーは2011モデルよりも大きいにもかかわらず、この技術を使用することによって重量を1.3ポンド軽減している。
5. コンFord Lincoln MKT Town Carの後部座席バニティミラーとドームランプの組み合わせポーネント(特許取得済):内装部門
このコンポーネントはSABICのCycoloy* PC/アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂を用いてDaimay NA Automotive, Inc社が射出成形したもので、使用するLED回路が1個であるため電力消費の低減に貢献する。また、これまで2つ必要だった部品を1つに統合できるため、車1台につき4ドルのコスト低減と2.02ポンドの軽量化を実現した。
SABICの自動車業界用製品に関する詳細はwww.sabic-ip.comまたはwww.sabicauto.comをご覧ください。
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