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2016年2月欧州市場新車販売速報【JATO Dynamics】
2016年4月11日
2016年2月欧州市場新車販売速報
「SUVセグメントの好調により欧州市場は活気づく」
● 前年同月比 +13.8%の109万台という記録が示す通り、2月の欧州新車市場も非常に好調。
● 引き続きSUVセグメントが市場平均を上回る力強いパフォーマンスを見せる。
● イタリアの登録台数は前年実績+28%と際立った伸びを示す。
● トップ10ブランド中9ブランドが2ケタ増を記録。
1.国別販売台数
欧州新車市場の2月の新車登録実績は前年同月比+13.8%の109万台と、30ヶ月連続のプラス成長を記録しました。例年2月は、英国で3月に行われる登録ナンバープレート変更を目前にした買い控え(登録年が前年か当年かで下取り価格に影響が及ぶ)に引きずられるように、欧州市場全体の販売が落ち込む時期ですが、今年に関しては安定成長を維持しました。本年2月は、1月に記録した伸び率の2倍以上の前年同月比プラス成長を達成しており、また昨年2月に記録した前年同月比の成長率を+6パーセンテージポイント上回りました。この好調の要因として最も大きかったのが、イタリアにおける前年同月比+27.9%という力強いセールス、またドイツ、フランスそしてスペインの2ケタ増のプラス成長が市場全体を押し上げました。一方、マイナス成長となったのはギリシャ(-32%)、オランダ(-17%)、ポルトガル(-3%: ポルトガルのみ推計)、そしてスイス(-1%)の4ヶ国に留まりました。
SUVセグメントが2月も引き続き市場を主導しており、伝統的なセグメントがマーケットシェアを縮小するのに反比例するように占有率を高めています。2月のSUVセグメントの月間販売台数は前年同月比+31%の265,500台で、セグメント別ではヨーロッパ全体の24.4%を占めるまでにマーケットシェアを拡大しています。
2.ブランド別
Volkswagenブランドが月間登録台数約124,300台を記録し、2016年2月も欧州最量販ブランドの座を守りました。しかしながら、同ブランドの成長率は市場平均を下回り、前年同月比+4%に留まっています。これはトップ10ブランド中最も低い伸び率で、またトップ20ブランド中では3番目に低い伸び率でした。マーケットシェアは、前年同月の12.4%から1ポイントマイナスの11.4%へと縮小しています。その結果、最も大きくマーケットシェアを落としたブランドとなりました。一方で、競合するライバルブランドはいずれも2ケタの販売台数増を記録しており、中でもFord、PeugeotそしてOpel/Vauxhallはいずれも市場平均を上回っています。Fiatが6位にランクイン、前年実績+24%という顕著な成長で、ドイツのプレミアムブランド群を上回りました。Fiatのこの結果には本国イタリアでの好調 (前年同月比+36%)が寄与しており、同ブランドの欧州全体における販売台数のうち、61%をイタリアのセールスが占めております。また、最も大きくマーケットシェアを拡大したブランドもFiatで、前年同月に記録した数字から+0.46パーセンテージポイントとなる5.46%のシェアを確保しました。その他マーケットシェアを大きく伸ばしたブランドは、Mazda (+0.35パーセンテージポイント)、Mercedes (+0.28パーセンテージポイント)、Honda (+0.26パーセンテージポイント)そしてOpel/Vauxhall (+0.25パーセンテージポイント)の4ブランドでした。JATO Dynamics社のGlobal Automotive AnalystであるFelipe Munozは次のように述べています;「ほとんどの大規模マーケットで力強い成長が見られたにもかかわらず、Volkswagenは拡大する消費者の需要をライバルブランドのようにはうまく取り込めていません。その間隙をついて、逆にライバルブランドが大きくマーケットシェアを拡大しています」。
3.モデル別
モデル別では、2016年2月もVolkswagen Golfが前年同月比+約1%の約36,100台と微増に終わったものの、欧州最量販モデルの地位を維持しました。Golfのこの結果の一因として、イタリア(前年同月比+37%)での販売の急増とドイツ(同+6%)での販売増で相殺はされたものの、フランス(同-19%)と英国(同-19%)において見られたセールスの大幅なマイナスを挙げることができるでしょう。この人気のドイツ製コンパクトカーは、前年同月にマークした記録から、0.43パーセンテージポイント減となる3.31%へとマーケットシェアを落としています。遡れば、Golfの2014年2月のシェアは3.88%でした。Golfの販売が伸び悩む理由のひとつは、ライバルである新型Opel/Vauxhall Astraの、特にドイツ(前年同月比+45%)、イタリア(同+27%)そしてフランスにおける167%という驚異的な数字が示す通り、需要が急拡大していることによって説明できます。その他のコンパクトモデルでマーケットシェアを伸ばしたのはPeugeot 308、Toyota AurisそしてMercedes A-Classでした。
2位、3位には其々Volkswagen Polo (+6%)、Renault Clio (+0%)がランクインしましたが、両モデルともマーケットシェアは落としました。4位のPeugeot 208は前年実績+20%と好調を維持しており、Ford Fiestaを上回る販売を記録しました。208は特にフランス、イタリアそしてスペインでの販売が好調でした。欧州新車販売ランキングトップ10モデルのうち、最も高い成長率を記録したのは7位にランクインしたFiat Pandaで、6位のOpel/Vauxhall Corsaのすぐ後ろにつけました。いつも通り、Pandaの登録台数の大半は本国イタリアにおける数字(同モデルの2月の総販売台数の78%にあたる)で占められており、同モデルの同マーケットでの伸びは、前年同月比+51%を記録しました。ヨーロッパ全体で見ますと、Pandaは前年同月比+38%の販売増となり、この伸びはSkoda Fabia(同+49%、販売ランキングの19位にランクイン)に次いでトップ20中2番目に大きい伸び率でした。トップ10ランキングに戻りますと、8位にはSkoda Octavia、9位にはNissan Qashqai、そして10位にはPeugeot 308がランクインし、この3車のうちPeugeot 308のみがマーケットシェアを伸ばしました。
トップ10圏外では、11位にOpel/Vauxhall Astra、12位にはVolkswagen Passatがランクイン。13位にはRenault Capturがランクインしました。なおCapturは、セグメント別ではSUV部門の販売ランキングで2位につけています。その後にFord Focus、Audi A3そしてToyota Yarisの3モデルが続きますが、いずれも1ケタのプラスに留まりました。一方、18位にランクインしたPeugeot 2008は前年実績+15%と大きく販売を伸ばしました。トップ20中、マイナスを記録したモデルはOpel/Vauxhall Mokka、Fiat 500の両モデルだけでした。
マーケットシェアの伸び率に注目すると、2ヶ月連続で新型Hyundai Tucsonが欧州のベストパフォーマーとなりました。この韓国製コンパクトSUVは、ヨーロッパの新車販売台数ランキングで24位につけており、コンパクトSUVセグメントに限れば、Volkswagen Tiguanや、Renault Kadjar(Tucsonに次いで、マーケットシェアの伸び率で2番目につける)を抑え、第2位に位置するモデルです。その他モデルでは、Suzuki Vitara、Fiat 500X、Mercedes GLC、そしてMazda CX-3が急速にマーケットシェアを伸ばしています。
Felipe Munozは次のように結んでいます;「トレンドは非常に明確です。メジャーな自動車メーカーもプレミアムブランドも、こぞって自社のコンパクト/ 大型SUVモデルラインナップを刷新して市場に投入しており、SUVセグメントの成長は当面、続くものと期待されます」。
JATO Dynamics社について
JATOは1984年に設立され、世界で最もタイムリーで正確な最新の自動車仕様装備・価格・登録販売台数・ニュース及びインセンティブに関するデータを提供しています。JATOは世界45カ国以上にリサーチ拠点を持ち、独自の市場情報を提供しています。JATOの顧客は、世界中の自動車メーカーであり、短期的な市場変動に対応するための情報と、長期的な開発計画や顧客ニーズに対応するための情報を提供しています。JATOのデータは、消費者向け自動車ポータルサイトでも利用されており、消費者が購入しようとするモデルの競合車に対する優位、不利な点を表示することが出来ます。
JATO社Webサイト : www.jato.com
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