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超軽量と高剛性を両立する炭素繊維構造材料を開発【東レ】

2016年3月28日

東レ㈱(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、一般的な発泡シート材料に匹敵する低比重でありながら、繊維強化樹脂レベルの高い剛性を発現する革新的な炭素繊維構造材料「CFRF(Carbon Fiber Reinforced Foam)」を開発しました。
CFRFは、炭素繊維の短繊維が三次元的なネットワークを形成し、お互いの交点が樹脂により強固に結合された構造を持つため、ポーラス(多孔質)でありながら高い剛性を発現するものです。本材料は、新たに開発した炭素繊維シート基材を原料として、一般的なプレス成形により立体形状を成形することができ、高い曲げ剛性を、超軽量かつ高い生産性で実現します。今後、自動車・航空機を中心とした幅広い分野へ展開してまいります。

今回、新たに開発した炭素繊維シート基材は、炭素繊維の短繊維を均一分散させ、バインダー樹脂で固めて圧縮したシートです。本シートを加熱すると、バインダー樹脂が柔軟になると同時に炭素繊維の復元力で膨張して賦形性を発現し、成形した後はバインダー樹脂が炭素繊維と強く結合してCFRFを形成します。

CFRFは、一般的な発泡シート材料並みの0.2~0.6という極めて低い比重を持つと同時に、繊維強化樹脂レベルの弾性率5~12GPaを発現します。曲げ剛性を指標として軽量化効果を比較すると、CFRFは、スチールに対して約80%、一般的な炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)に対しても約40%の軽量化が期待できます。

CFRFは、炭素繊維シート基材を一般的なプレス成形装置を用いて加熱・成形して製造しますが、シートの厚み方向に膨張するため、金型に沿って立体形状の成形が可能です。従来の発泡シート材料では困難だった厚み変化を伴う形状にも対応できます。

また、CFRFは、他の熱可塑性および熱硬化性のシート材料と組み合わせて一体成形することで、さらに幅広い材料設計が可能となります。例えば、CFRFをコア材として、プリプレグなどの連続繊維を用いた基材をスキン(表面)材として一体成形したサンドイッチ構造体は、CFRPの優れた引張強度と、CFRFの超軽量・高剛性という2つの特徴を両立できます。

東レは、CFRFを、優れた軽量性と賦形性を切り口に今後ますます重要となる自動車・航空機用途をはじめ、スポーツ、一般産業など幅広い用途への展開を目指してまいります。
既にお客様への提案を開始しており、一部の用途において実用化に成功しました。複合材料の分野にCFRFという新たな領域を加えることで、設計の自由度を高め、多様化する部材の軽量化ニーズに応えてまいります。

なお、本成果の一部は、NEDOプロジェクト「革新的新構造材料等研究開発」により得られたものです。








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