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大電力バッテリ・アプリケーションにおけるハイサイド(高電圧側)の有効性【日本テキサス・インスツルメンツ】

2016年3月17日


昨今、バッテリ業界は目を見張るような時代にシフトしています。ウェアラブル機器やスマホ、超小型のワイヤレス・ヘッドフォンなどのニュースを日々耳にしますが、ポータブル・スペクトルの反対側でも同じように興味深いイノベーションが起きています。配送または産業用ドローン、バッテリ・バックアップおよびエネルギー貯蔵システム、さらには電動バイクやスクーターといった大電力バッテリ・アプリケーションのことです。

これらの製品は、長寿命でロバスト性を考慮し設計され、また消費者は価格に見合った高い品質を期待しているため、市場価格にプレミアムを上乗せする必要があります。

この種のアプリケーションの電源となるバッテリ・パックの中では、実際にモニタリング・ソリューションが必要とされています。bq76940bq76925のような製品は、あらかじめプログラムされたコンパニオン・フュエル・ゲージ(bq78350-R1)を使うにしても、MSP430™マイコンを使って自分で作るにしても、特定のバッテリに重要なアナログ情報をキャプチャし、マイコンに伝達するという重要な仕事を行います。

あらゆるバッテリ・システムで、重要な検討事項は、どのように充放電を制御するかということです。タイミングがよければ、充放電どちらにも使えるほどシンプルですが、エンジニアは、一時的か永続的かに関わらず、充電か放電か、あるいは充放電を制御するのか、のいずれにも対応できるよう準備しておく必要があります。例えば、満充電のバッテリ・パックは、補充だということを認識しない、決して優れているとは言えない充電器につなげることはできます。あるいは、完全に放電しきったバッテリ・パックは、セル寿命以上に動作させ過ぎて、システム寿命が短くなるのを避けるために、電源ラインから切り離さなければなりません。

たいていの中~高電圧モニタに直接組み込まれている簡単なアプローチは、バッテリ・パックの“ロー” サイド(低圧側)のパワーFETを駆動することです。つまり、このFETはバッテリのアース側の最も近いところにあり、主にアースよりも10〜14V上の電圧を生成しているためFETのオン・オフを容易にします。基本的には二つのツェナー・ダイオードを使うことで対応できます。これについては簡略化が過ぎると異議を唱える設計者がいるかもしれませんが、問題ありません。

しかしながら、この手法にはFETがオフの時に、バッテリとシステムのアースが電気的に接続されていないという大きな欠点があります。共通アースがこのように欠けていると、バッテリのマイコンが外界と通信することは難しくなり、また分離技術も間に合わなくなるため、高価でしかも電力消費が多くなる傾向にあります。

偶然にも全ての市販ノートパソコンのバッテリ・パックで正式に標準化されようとしているこのバッテリ手法は、代わって”ハイ“サイドでこれらのパワーFETを駆動することです。ご推察のように、これはバッテリ・スタックのもう一つの端、ハイサイド(高電圧側)のセルの正電極とシステムの電源との間にFETを置くことを示唆しています。共通バッテリとシステムのアースを保つことで、充電や放電時にかかわらず、いつでも自由に通信ができます。

PチャンネルFETは、NチャネルFETを最適なオプションとして残す本質的に高いオン抵抗のため、ハイ・パワーおよび高耐圧アプリケーション向けの有効な選択肢ではありません。ここでのトレード・オフは、バッテリ・スタックよりも高い電圧、例えばローサイドの場合と同じ10〜14Vを生成する必要があることです。ノートパソコンのバッテリ向けの製品でチャージポンプを作ることはかなり難しいのです。しかしこれを24V、36V、48Vあるいは60Vのバッテリで試みるとかえって興味深い結果になるかもしれません。電動バイクのようなモータ駆動の場合、誘導型コイルのキックバックの間、電圧が倍増する高い過渡電圧スイングによって、エンジニアはさらに悩まされることになるでしょう。

この場合、TI初の高電圧アプリケーション向けハイサイド・バッテリFETドライバ、bq76200が有効です。この強力な低消費電力ICは100Vまで耐えられ、かつ独立して充電用FETと放電用FETを駆動します。また最大限の柔軟性を持たせるよう設計したので、18Vから最大60Vまでのバッテリ・パックだけでなく、小さい容量から大容量のセルにも合い、シングルFETから並列動作のマルチプルパワーFETにも使えます。bq76200は、bq76940bq76930およびbq76920などのバッテリ・モニタも完全に補完する製品で、コンパニオン・フューエル・ゲージのbq78350-R1は簡単な制御インタフェースのおかげで、外付けの様々なマイコンと一緒に使えます。

bq76200は、ハイサイドFET駆動を実現するために、複雑で信頼性に制限のあるディスクリートのチャージポンプ回路を作らなくてもすみます。真のインテリジェントなバッテリは、保護機能を維持し長寿命を確実にしながらシステムと共にいつでも動作させることができるのです。

上記の記事は下記URLより翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/fullycharged/archive/2016/02/01/why-high-side-vs-low-side-fet-switching-matters


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