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3Dグラフィックス・クラスタに特化した車載用SoC「R-Car D1」を発売【ルネサス エレクトロニクス】

2016年2月16日

3Dグラフィックス・クラスタに特化した車載用SoC「R-Car D1」を発売
~クラスタ向け32ビットマイコン「RH850/D1x」の上位モデルとして3Dグラフィックスを実現~


ルネサスの3Dグラフィックス・クラスタ用SoC「R-Car D1」


ルネサス エレクトロニクス㈱(代表取締役社長兼CEO:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、世界シェアNo1(注1)のインスツルメント・クラスタ分野において、今後普及が見込まれる3Dグラフィックス・インスツルメント・クラスタ・システムをターゲットとした新たなソリューションとして、R-Carのクラスタ向けSoC(System On Chip:システムLSI)の第1弾「R-Car D1」を製品化し、本日よりサンプル出荷を開始します。

ルネサスは従来、ハイエンドなコクピットシステム向けに高性能なHMI(Human Machine Interface)を実現する「R-Carファミリ」を展開しており、ミッドレンジクラス、エントリクラス向けには、ゲージ制御も可能な「RH850/D1x」を提供しています。新製品「R-Car D1」は、3Dグラフィックス・クラスタ・システムに特化しており、3Dクラスタ・システムで必要となる(1)3D表示機能、(2)高速起動、(3)機能安全・セキュリティ、(4)様々な通信・ネットワーク対応を実現し、さらに、(5)「RH850/D1M」の2Dグラフィックスの設計資産も活用できます。

新製品のサンプル価格は5,000円(税別)となっております。新製品の量産は、2017年3月から開始し、2018年3月には月産10万個を計画しています。

近年、インスツルメント・クラスタ・システムへのカラー液晶パネルの普及に伴い、小型車・中級車の多くの車輌にも、ゲージ制御とグラフィックス表示が併用されるようになりました。すでに高級車では、視認性・快適性を追求してゲージレス化が進み、大型・高解像度パネルに3Dグラフィックスを活用した、美しく見やすい表現が車の個性のひとつとなっています。今後は、普及車においても、グラフィックス表示の大型化、高解像度化が進展し、高級車と同様の3Dグラフィックスを使用したクラスタ・システムが増えていくことが予想されます。
ただし、このシステムが普及するためには、3Dグラフィックスを駆使したリッチでリアリティのある画像表示を実現できること、アクセサリの起動と同時に高速にクラスタの画面表示ができること、計器類の正確な情報をドライバへ伝え続けるため外部からシステムへの不正アクセスを防止できる高信頼性を実現できること、様々な車載電子機器と通信性能を充実させることが課題となります。新製品は、こうした課題を解決する機能と性能を有しており、さらに、ユーザは170社を超えるR-Carコンソーシアムのエコシステムを活用できるので、3Dグラフィックス・クラスタ・システムを、短期間に開発可能です。ルネサスは、本システムの実現により、3Dグラフィックス・システムの普及を促進させます。

本製品の特長は以下のとおりです。

(1)パートナとの連携により、3Dグラフィックス・クラスタ・システムを容易に開発可能
フルグラフィックスのクラスタ・システムでは、視認性・快適性向上のため、わかりやすく見やすいクオリティの高いデザインが重要となる一方、3Dグラフィックス開発の経験が少ないユーザにとっては、開発に時間がかかるという障壁がある。ルネサスは、HMIソリューションの豊富な経験と実績に基づき、クラスタ・システムの開発に長けたパートナ企業とともに、グラフィックスデザイナの描いた画像を容易にクラスタ・システムとして表現可能なソリューションを提供可能。これにより、短期間で容易に3Dクラスタ・システムの開発が可能。

(2)インスツルメント・クラスタ・システムに実用可能な、高速起動を実現
インスツルメント・クラスタ・システムは、ドライバが運転席のドアを開ける、もしくは車のアクセサリの起動と同時に、瞬時に画面を表示したり、音声を出力したりと、高速で起動することが求められる。ルネサスは、R-Carコンソーシアムに参加しているパートナ企業とともに、高速にシステムを起動し、メータ画面の高速表示や、音声出力に対応するソリューションを提供可能。

(3)機能安全・セキュリティ・ソリューションの提供により、ドライバの安全を守り、車のハッキングを防止可能
インスツルメント・クラスタ・システムは、誤動作により重大な事故を引き起こす危険があることから、正確な情報をドライバへ伝えるために、正しい情報が常に出力されていることを監視し、万が一システムが誤動作した場合でも瞬時に検出することが求められる。「R-Car D1」は、高信頼のシステムを実現させるために、自動車用機能安全規格ISO26262に対応。機能安全システムを実現するために、「機能安全サポートプログラム」を提供する。
また、安心・安全なシステムを実現するために外部からのハッキングなども防ぐ必要があることから「R-Car D1」とハードウェアセキュリティ機能を搭載している32ビットマイコン「RH850」を組み合わせることにより、データの堅牢性を確保しハッキングを防ぐシステムを構築可能。

(4)多様な通信・ネットワークをサポートしているため、システムの柔軟性に優れ、設計も容易
「R-Car D1」は、インスツルメント・クラスタ・システムに必要となる様々な通信インタフェースを搭載。ナビゲーションシステムとつなぐEthernet AVB、スマートフォンと連携するUSBや、車両情報機器をつなぐCAN-FDなどの多数の通信に対応しているため、システムの柔軟性に優れ、設計も容易。

(5)2Dグラフィックスクラスタ向け「RH850/D1x」の開発資産の活用が可能
「RH850/D1M」は、ゲージ制御と2Dグラフィックス表示を1チップで実現可能であり、すでに幅広い車種に採用されている。「R-Car D1」は、「RH850/D1M」と同じ2Dグラフィックス・システムを搭載しているため、ユーザはこの2Dグラフィックスの開発資産を活かし、「R-Car D1」用の3Dグラフィックス・システムを開発可能。また、ゲージ制御が必要な場合は、「R-Car D1」と「RH850/D1L」を組み合わせてシステムを実現することも可能。

新製品の主な仕様は別紙(108KB)をご参照ください。


*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する登録商標または商標です。


(注1)当社調べ


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