ニュース

自動運転 : 制限のないステアリング【シェフラージャパン】

2016年2月15日

自動車の都市部での操縦性を高めるOmniSteerプロジェクトが予算340万ユーロで開始
自動運転 : 制限のないステアリング


自動車は利用者のモビリティを高めますが、その操縦性は、都市部の過密によって限界に達しています。配送サービス、移動介護サービスの提供者など、頻繁に駐車する必要がある人たちは、駐車スペースを探し、車を止めるのに、多くの時間を費やしています。車輪をそれぞれ独立して操作可能な、新しいタイプの電気駆動車は、操縦性を高め、特に車の流れが順調な都市部での効率性を高めることが可能です。ドイツ連邦教育研究省から助成金を受けるOmniSteerプロジェクトは、2018年まで、適切なコンセプトとプロトタイプを研究することを目指しており、予算は340万ユーロです。

プロジェクトマネージャーを務めるシェフラーのマルセル・マイヤー博士とカールスルーエ工科大学(KIT)のミヒャエル・フライ博士は、「自動車の電化と自動化が進めば、利用者に画期的な走行機能を提供することが可能になります。電気駆動装置はそれぞれの車輪に直接組み込むことが可能なため、その付加価値は、内燃機関に比べて非常に大きいものです」と述べています。

前後軸で幅広いステアリング運動が可能な画期的なホイールサスペンションとともに、最適な距離・車線誘導システム(高度に統合された側方・横断誘導システム)も開発中で、操作性を大幅に高めることになります。シェフラーの自動運転ワーキンググループの責任者で、共同研究プロジェクトSHARE(Eモビリティにおける自動車研究のためのシェフラーハブ)の一環として、KITで研究を行っているマイヤーは、「状況に応じて、ステアリング方式を前輪、後輪、全輪の間でシームレスに切り替えることが可能です」と述べています。OmniSteerにより、角を曲がったり、渋滞時に車線を変更したり、道路工事現場に近づいたときなど、限られたスペースでの操縦が、時間とエネルギーの両面で効率化され、車線の利用方法を改善できるようになります。また、配送サービスも多大な恩恵を受けられます。常に通行方向に対して直角に駐車できるようになり、その結果、最小スペースでの駐車が可能になり、車の流れもスムーズになります。KITの車両システム技術研究所に所属するフライ博士は、「これらの走行機能は直接的に、安全、快適性、エネルギー効率を高めるだけでなく、長期的には、スペース効率、都市内の交通の流れを改善します」と述べています。

OmniSteerプロジェクトの一環として、直交、多方向、非線形駆動、ステアリング制御が可能な側方・横断誘導システムを搭載した縮小デモ車両を開発中です。これら3つの特性により、画期的な走行機能が実現され、電気自動車の自動化の潜在力をフル活用できるようになります。車両は、センサーを使用して周囲を認識し、最善の走行経路を計算し、複雑な操作を自動で実行します。運転者は、専用に開発された表示・操縦装置を使用して、走行機能を選択、監視し、必要に応じて介入します。FZI情報技術研究センターが、操縦および軌道計画プロセスでプロジェクトに貢献し、状況に応じて最善のシャーシ構成を選択します。

OmniSteerプロジェクトの期間は3年間です。接頭語の「Omni」(ラテン語で「すべて」または「全体」)は、ステアリングに対する総合的なアプローチを表しています。また、Omniは、Orthogonal(直交、走行方向に対して直角に操縦)、Multi-directional(多方向、さまざまな走行経路が可能)、Non-linear(非線形、ハンドルの位置がステアリング角から切り離される)の頭字語でもあります。プロジェクトのパートナーには、シェフラー、Paravan、Hellaを始め、KITや同大学の情報技術研究センターの研究者が名を連ねています。また、この協同プロジェクトは、DEKRA、Custom Interactions、「Eモビリティにおける研究クラスタ(ESW)」といったアソシエイトパートナーからの支援も受けており、バーデン・ヴュルテンベルク州のイノベーション機関であるe-mobil BWが調整役を担っています。予算総額340万ユーロのうち、約190万ユーロは、連邦教育研究省により、同省の「e-MOBILIZE – Intelligent and Efficient Electric Mobility for the Future(未来のインテリジェントで効率的な電動モビリティ)」の一環として、提供されます。

カールスルーエ工科大学(KIT)は、ヘルムホルツ協会の研究大学で、研究・高等教育・技術革新という3つの主要テーマを使命としています。9,400名の職員と25,000名の学生が所属するKITは、ヨーロッパにおいて自然科学・工学の分野で研究・高等教育を実践している大規模研究機関の1つです。KITモビリティシステムセンターは、地上交通の分野で豊富な能力とリソースを有し、特に乗客、貨物輸送において、未来のモビリティのための集学的なソリューションを開発しています。センターでは、技術開発はもちろん、人・車・インフラの相互作用にも注力しています。KITモビリティシステムセンターの活動は、駆動システム、エネルギー貯蔵システム、シャーシ・車体、ビルドアップ・操作システム、車両誘導・交通経路設定・ロジスティクス、インフラ・社会の6つの領域に分類されます。

Paravan GmbHは、重度の障がいを持つ運転者に画期的な自動車改造部品を提供している世界的な大手企業です。Paravanの創設者であるローランド・アーノルドは、1998年以来、障がい者のモビリティの分野で新しい画期的な製品を開発しています。また、約150人の従業員がそれぞれ、自動車改造部品、電動車椅子、運動トレーニングマシーン、シーティングソリューション、ランプシステム、車椅子搭載システム、ハンド装置などのカスタムアダプティブドライビング製品を開発、生産しています。Paravanの電子制御方式による運転システムは、ISO 262 ASIL Dに従って、公道走行が認められており、世界トップクラスの品質水準であるIPC-A-600 Class C標準に従って組み立てられています。Paravanは、これまで10年間に世界中で1億2,000万キロメートル以上を走行しており、その経験を活かして、Space Drive IIをさらに向上する新しい技術を開発しています。複数の安全機能を備えたアクティブ冗長ステアリング・ガス/ブレーキシステムを採用したSpace Driveは、世界中の車両に採用されています。この最新技術は、自律運転の未来の礎石となるものです。

カールスルーエ工科大学のFZI情報技術研究センターは、情報技術の応用研究と技術移転を担う非営利組織です。企業や公的機関に情報技術に関する最新の研究結果を提供し、若手科学者の学術、ビジネス分野でのキャリアや起業を後押ししています。さまざまな学部の教授がリーダーを務めるFZIの研究チームは、専門の枠を超えて、それぞれのクライアントのためにコンセプト、ソフトウェア、ハードウェア、システムソリューションを開発し、プロトタイプを製作しています。

FZI House of Living Labsは、応用研究を行うユニークな研究環境です。FZIのすべての領域はDIN EN ISO 9001:2008に従って認定を受けています。FZIの事務局はドイツ、カールスルーエにあり、支局はベルリンにあります。

Hella Aglaia Mobile Vision GmbHは、世界中で事業を営んでいる、イノベーション主導の企業です。Hella KGaA Hueck & Co.の子会社である同社は、インテリジェントな画像処理システムおよびセンサーを開発しています。また、量産可能な運転者支援システム、自動運転技術、電動モビリティも開発しています。長年の経験から得た知識を活かして、長期的な市場の成功に向けて努力しています。

アソシエイトパートナー

DEKRAは安全の分野で90年にわたって活動しています。1925年、Deutscher Kraftfahrzeug-Überwachungs-Verein e.V.という名前でベルリンに設立されたDEKRAは、世界有数のエキスパート組織です。DEKRA SEはDEKRA e.V.の子会社で、グループの営利会社を管理しています。2015年のDEKRAの売上高は約27億ユーロです。同社は現在、世界50か国以上に37,000人を超える従業員を擁しています。資格を持つエキスパートが、道路、職場、家庭の安全のためのサービスを提供しています。これらのサービスには、車検、クレームに対するエキスパート評価、工業・建物検査、安全コンサルティング、製品・システムの検査・認定、研修、派遣業務などがあります。2025年に創業100周年を迎えるDEKRAのビジョンは、安全な世界を実現するグローバルパートナーになることです。

ユーザビリティとユーザーエクスペリエンスを重視するCustom Interactionsのビジョンは、人とテクノロジーの相互作用を可能な限りシンプルなものにすることです。心理学者、ユーザーインターフェース設計者、エンジニア、ソフトウェアスペシャリストというさまざまな分野の専門家で構成されるチームを擁するCustom Interactionsは、特に自動車ユーザーインターフェースに注力して、あらゆる種類のユーザーインターフェースを開発、改良しています。開発活動の中心は常に、ユーザーとユーザーのニーズ、目標、要望であり、Custom Interactionsのエキスパートは、幅広いユーザビリティ、ユーザーエクスペリエンス手法(ユーザー調査、エキスパートレビュー、現地調査、ユーザビリティ・ユーザーエクスペリエンス試験)により、人間中心の開発プロセスの成功に必要な情報を特定しています。

Eモビリティにおける最先端の研究クラスタ。シェフラー、KIT、FZIは、カールスルーエ、マンハイム、シュトゥットガルト、ウルムの科学、経済分野の100を超える利害関係者をつなぐ、南西ドイツにおけるEモビリティの中核的研究クラスタ(ESW)のパートナーです。ESWのクラスタ戦略は、新しいアプローチと協力体制により、電動モビリティの分野での緊密な地域協力を実現することを目指しており、その結果、知識を深め、統合し、国際競争で優位性を獲得します。

*本リリースは、2016年2月5日にヘルツォーゲンアウラッハ/カールスルーエで発表されたプレスリリースの抄訳です。



OmniSteerプロジェクトの一環として開発されている、駐車時などの操縦性を大きく高める、高度に統合された側方・横断誘導システム(画像:KIT/Omnisteer)








シェフラージャパン株式会社ホームページはこちら

キーワードをクリックして関連ニュースを検索

#シェフラージャパン
#自動運転
#2016年2月15日