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2015年10月欧州市場新車販売速報【JATO Dynamics】

2015年11月27日

2015年10月欧州市場新車販売速報
「主要マーケットの減速により、欧州市場全体も低成長に留まる」


■ 10月の欧州新車販売台数は、前年同月比+2.4%の114万台。2015年1月から10月までの累計では前年同期
  比+8.3%の1192万台。
■ ドイツ、フランス、スペインでは+2%に満たない微増に留まる。一方、イタリアは欧州全体の伸び率を上回る。
■ 英国の販売台数減少も、欧州市場全体の減速に影響。
■ Volkswagenの販売は失速しているものの、欧州最量販ブランドの地位を維持。一方、BWMは唯一、2ケタの伸び
  率を記録。

1.国別販売台数(2015年10月)


欧州新車市場は前年実績+2.4%の114万台を記録しましたが、伸び率では先月の+9.7%を大きく下回りました。月別の販売台数は、今年に入り2番目の低さでした。本年1月から10月までの累計では前年同期比+8.3%の1192万台を記録したものの、この伸び率は本年5月以来(+7.0%)の低い伸びでした。年率換算台数では1391万台で、先月とほぼ同じレベル(前月の年率換算台数との比で+0.19%)でした。欧州主要5ヶ国にもこの減速の影響が及び、第2位の市場である英国では前年同月比-1.1%の17.8万台と、3年半ぶりに前年実績を下回りました。ドイツも27.8万台と、欧州最大市場の位置にありますが、成長率では前年同月比+1.1%と、今年に入り最も低い伸びに留まりました。現在のペースで進めば、ドイツの2015年通年の新車販売台数は316.6万台に及ぶと見込まれ、本年1月以来、最も高い数字となりましたが、しかしながら9月時点での年率換算316.3万台をわずかに上回ったにすぎません。またフランスも、ドイツや英国と同様のトレンドをたどっており、小幅増の+1%という結果でした。最も急激な変化に見舞われたのはスペインで、最近数ヵ月維持していた2ケタ増の伸びから、今年に入り最も低い伸びとなる+1.9%へと急減速しています。そうした中、主要5ヶ国で最も大きな成長率を記録したのはイタリアで、前年同月比+8.4%でした。主要5ヶ国全体では、2014年10月の実績に対し+1.8%の記録となり、僅かに上回りました。その他、販売台数が伸びた国はスウェーデンとチェコ共和国で、先月に引き続き其々+10%を超えるプラスを維持しました。またベルギー(前年同月比+3.6%)、オランダ(同+7.6%)の成長率も、欧州市場全体の伸びを上回りました。一方で、前年実績を下回ったマーケットは、オーストリア(前年同月比-6.7%)、スイス(同-5.4%)でした。JATO Dynamics社のデータ部門バイスプレジデントであるブライアン・ウォルターズは次のように述べています。「10月は、域内の多くのマーケットにおいて、またインダストリーの多くのブランドで、販売台数が落ち込みました。今月は、欧州自動車市場が現在、直面している様々な困難の影響が、明確に表れた最初の月となったと言えるでしょう」。

2.ブランド別


ブランド別では、Volkswagenが最量販ブランドの地位を維持、しかし台数は14.2万台、マーケットシェアは12.4%と、横ばいに留まっています。非常に好調なPassatの販売(前年同月比+81.4%)も、Golfや、Polo、またUpの販売減により相殺されてしまったかたちです。市場の減速の影響をこうむったのはドイツブランドだけではありませんでした。Opel/Vauxhallは前年同月比-2.5%、Skodaも同-2.4%と、両ブランド共にマイナスを記録しました。一方、Ford、Renault、Peugeotは前年実績小幅増を記録しています。数少ない市場のけん引役はBMW(前年同月比+12.7%)、Mercedes(同+9.6%)、Fiat(同+8.4%)、そしてAudi(同+3.3%)でした。ただAudiも、先月の伸び率(対2014年9月比で+10.2%)からは相当な減速となっています。トップ10圏外では、Mazda(+30.5%)、Land Rover(+33.6%)、Smart(+221.5%)、それにJeep(+68.6%)が、顕著な成長を記録しました。

3.モデル別


市場成長の全般的な鈍化傾向は、モデル別でみるとより鮮明になります。10月のトップ10ランキングでは4モデルのみが対前年実績で販売を伸ばし、その内3モデルが2ケタ増を記録しました。Volkswagen Golfが今月も欧州最量販モデルの地位を維持しています。成長率の縮小幅は、トップ10ランク内で伸び率を減らした6モデルの中では最も低い前年同月比-3.8%でした。Golfに続くランキング上位モデルの減速は更に急で、Volkswagen Polo(前年同月比-8.4%)、Renault Clio(同-14.2%)、Ford Fiesta (同-13.8%)と、大きく販売を落としました。一方、新型Volkswagen Passatが前年実績+81.4%と大きく販売を伸ばし5位にランクインしました。Peugeotは208、308両モデルの販売が好調で、トップ10内に2モデルをランクさせることに成功しました。一方、トップ10圏外では、Fiat Pandaが同社の主力モデル500の販売を上回る結果を残しており、Skoda Fabiaも前年同月比+40.1%と非常に健闘しています。またRenault Kadjar、Fiat 500X、Hyundai Tuscon、Suzuki Vitaraも其々順調に販売台数を伸ばしました。10月の欧州市場の総括として、ブライアン・ウォルターズは以下のコメントを残しています。「欧州市場の低成長により、いくつかの重要モデルの販売が振るいませんでした。またトップセーラーモデルの減速は市場停滞のサインを示していますが、これはいくつかの要因に起因すると考えられます。こうした傾向が、欧州市場全体の低成長時代の始まりなのか、それとも現在、自動車市場が直面している様々な困難が引き起こした短期的な問題に過ぎないのかは、現段階ではまだ不確かであり、今後の経過を見守る必要がありそうです。」



JATO Dynamics社について
JATOは1984年に設立され、世界で最もタイムリーで正確な最新の自動車仕様装備・価格・登録販売台数・ニュース及びインセンティブに関するデータを提供しています。JATOは世界45カ国以上にリサーチ拠点を持ち、独自の市場情報を提供しています。JATOの顧客は、世界中の自動車メーカーであり、短期的な市場変動に対応するための情報と、長期的な開発計画や顧客ニーズに対応するための情報を提供しています。JATOのデータは、消費者向け自動車ポータルサイトでも利用されており、消費者が購入しようとするモデルの競合車に対する優位、不利な点を表示することが出来ます。


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