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全日本選手権スーパーフォーミュラ第7戦 石浦宏明が念願のスーパーフォーミュラチャンピオン獲得!【トヨタ自動車】

2015年11月8日

スーパーフォーミュラの今季最終戦となる第7戦が鈴鹿サーキットで2レース制として行われ、レース1はアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)が独走のポール・トゥ・ウィン。第2レースでは中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM’S)が2位に入ったものの、ランキング首位の石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が4位でフィニッシュし、石浦が悲願のドライバー ズチャンピオンを獲得した。

11月7日(土)と8日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラの第7戦「第14回JAF鈴鹿グランプリ」が開催された。

全7戦で戦われている2015年シーズンのスーパーフォーミュラもいよいよ最終戦を迎えた。今季のスーパーフォーミュラは、第2戦でトップフォーミュラ初優勝を飾った石浦が、第4戦で2勝目を挙げ、表彰台4回、残る2戦は4位と、全てトップ4フィニッシュを果たす好調ぶりでランキング首位につけている。

これを追うのがディフェンディングチャンピオンの中嶋一貴。WECでの負傷により1戦欠場も、それ以外のレースでは1勝、2位3回、4位1回と安定した成績で、石浦に6ポイント差のランキング2位で逆転タイトルを狙う。

昨年は僅差で7人がタイトルの可能性を残しての最終戦となったが、今年はこの2名がやや抜け出している。最終戦はポールポジションも含めると最大で18ポイント獲得出来るため、数字の上では、石浦と14ポイント差でランキング3位、4位のロッテラーとジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)も逆転タイトルの可能性を残しているが、事実上は日本人2名による一騎打ちの様相となった。

ほぼ同時代のTDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)出身の2人。中嶋一貴に比べれば遅咲きとも言える石浦が念願の初タイトルを獲得するか、過去2度のシリーズチャンピオンに輝き、名実共に現在最も速い日本人ドライバーのひとりである中嶋一貴がこれを阻止し、2年連続、3度目のタイトルを決めるか、日本人同士でのタイトル争いに注目が集まった。

今大会は8日(日)の午前中に20周のレース1、午後に28周のレース2という2レース制で実施。レース1はピット義務無し、レース2はタイヤ交換義務づけとなる。通常よりも圧倒的に短いスプリントの2レース制ということで、両レース共に熱い戦いが繰り広げられた。


◆ 予選 ◆
11月7日(土)はどんよりとした曇り空の下、気温20度、路面温度22度というコンディションで午後1時半より、ノックアウト方式の予選が開始された。

2レース制の今大会は、予選Q1の順位でレース1のスターティンググリッドが決定。予選Q1(20分)は、全車セッション開始前からピットロードに並び、一斉にコースイン。ほとんどが中古タイヤでタイムを出した後、一旦ピットへ戻り、新品タイヤに交換して、残り6分半ほどのところで再アタックに向かった。

まず石浦がトップに立つと、朝のフリー走行でも2番手と好調なジェームス・ロシター(KONDO RACING)も石浦と1000分の1秒まで同タイムをマーク。先にタイムを出した石浦が順位では上位に。しかし、これを100分の4秒更新するタイムを叩き出したロッテラーがトップに立ち、レース1でのポールポジションを獲得。これによりロッテラーは1ポイントを追加することとなった。

石浦、ロシターが2、3番手、小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が4番手、朝のフリー走行で不調に苦しんでいた中嶋一貴は、最後の一発アタックで5番手に滑り込んだ。逆転タイトルの可能性を残すジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)は7番手。

国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が11番手、平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)、中山雄一(KCMG)が13、14番手でここまでがQ2進出。アンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL)とウィリアム・ブラー(KONDO RACING)が17、19番手でQ1敗退となった。

10分間のインターバルを経てスタートした予選Q2(7分)では、ロッテラーがQ1での自らのタイムを更新しここでもトップに。小林が2番手。中嶋一貴はチェッカー目前にタイムを出し、僅か0.006秒差でQ3進出ラインの8番手に入った。

全14台が1秒位内に入る相変わらずの僅差の争いとなったQ2で、中山と平川、ロシターは10、11、13番手となりQ3進出ならず。

予選Q3(7分)も最初の1分ほど全車待機した後、コースイン。ここまで全セッションでトップのロッテラーがトップタイムをマークし、連続ポールポジションかと思われたが、最後に僅か0.06秒上回られ、2番手に。苦しい戦いを強いられてきた中嶋一貴がその後方2列目4番手。以降小林、オリベイラが5、6番手。注目の石浦はQ2、Q3とタイヤのグリップ低下に苦しみタイムが伸びず、Q1での自身のタイムにも届かず7番手。国本が8番手で続き、レース2のスターティンググリッドが決定した。


◆ レース1 決勝 ◆
決勝日の8日(日)は朝から雨模様。午前10時からのレース1(20周)は、通常のスタンディングスタート(グリッド上に静止する)から、セーフティカー先導によるスタートに変更された。

2周を終えたところでセーフティカーがコースを去り、水煙を上げての本格戦開始。ポールポジションのロッテラーが好スタートを切り、その後方もほぼスターティンググリッド通りの順位で追走。首位のロッテラーが独走状態で後続を引き離して行った。

その後方では、2位の石浦に3位ロシターが迫り、オーバーテイクシステムを互いに使いながらの激しいバトルを展開。5位の中嶋一貴はペースが上がらず、徐々に上位から引き離されていくことに。

逆転タイトルへは勝利しかないオリベイラは、7番手スタートから前走車を攻めたが、9周目、高速コーナー130Rの立ち上がりで接触。オリベイラの車両はフロントウィングの片側が脱落した。この2台は続くシケインでも競り合いコースアウト。オリベイラは接触のダメージにより、ヘアピンでコースオフを喫し、レースを終えることとなってしまった。

その後、上位勢は間隔を開けたまま、ロッテラー、石浦、ロシター、小林、中嶋一貴の順で周回を重ねていたが、残り5周の頃から雨脚が強まり、コースの各所で川が出来るような状況に。各車必死に車両をコース上にとどめながらの走りとなったが、16周目、2位石浦を追っていたロシターがコースオフ。表彰台圏内につけながら無念のリタイア。

ロシターのリタイアで3位に上がった小林は猛追を開始。2位の石浦に迫り、18周目のシケインで仕掛けたが、小林は止まりきれずオーバーラン。石浦が2位をキープ。

後方では、12位を走行していた中山が130Rでクラッシュ。中山は無事だったが、こちらもリタイアとなった。

首位のロッテラーは2位に6秒近い差をつけ、独走のポール・トゥ・ウィンで今季3勝目を挙げた。

石浦と小林の2位争いはファイナルラップまで続いたが、石浦が逃げ切り、2位フィニッシュ。この結果、優勝したロッテラーの逆転タイトルの可能性は消失した。

3位は小林が入り、トヨタ勢が表彰台を独占。中嶋は苦戦し大きく引き離されながらも4位でチェッカー。僅かながらレース2へ逆転タイトルの可能性を残して臨むこととなった。


◆ レース2 決勝 ◆
サポートレースなどが行われたレース1とレース2の間も雨は断続的に降り、レース2もウェットコンディション。このため、ドライでは義務付けられていたタイヤ交換は必要なくなり、レース2(28周)もノーピットのスプリントで争われることとなった。

午後3時、レース1とは異なり、レース2は通常通り、スタンディングスタートで切られることに。1周のフォーメーションラップの後、全車がグリッドにつき、スタートが切られるかと思われたが、5番手グリッドにつけていた小林の両前輪内から出火。すぐに火は消し止められたがスタートはやり直しとなり、小林は最後尾へと後退してスタートすることとなってしまった。

当初の予定より1周減算の27周で争われることとなり、午後3時15分に再度のフォーメーションラップから全車グリッドに停止し、スタートが切られた。2番手、イン側最前列のロッテラーが出遅れ、その後方4番手グリッドの中嶋一貴がこれをかわすようにさらにイン側へ。アウト側からは6番手スタートのオリベイラがポジションを上げ、水煙の中、ホンダ勢を挟んでの3ワイド状態で1コーナーへ。しかし、オリベイラは行き場を失いコースを外さざるを得なくなった。中嶋一貴が2位、オリベイラ4位、ロッテラー5位、石浦6位で序盤戦へ。10番手スタートの中山が8位へと2つポジションを上げた。

このレース、勝利でしか逆転タイトルの可能性のない中嶋一貴は好ペースで周回を重ねるも、首位の車両がさらにハイペースで逃げ、差は徐々に広がることに。

6周目、3位を争っていたオリベイラがバックストレートで前走車をパスし、3位へ浮上。

その後、上位3台の間隔が空きそれぞれ単独走となる一方で、4位以下は連なっての走行に。11周目に4位を走行していた車両がトラブルでリタイアしたため、ロッテラー、石浦以降、ひとつずつポジションアップ。

しかし12周目、4位に上がったロッテラーのエンジンが突然停止。ロッテラーはコース脇に車両を停め、レースを終えることに。

これで石浦は4位へ浮上。その後方、5位争いを展開していたロシターは、シケインで前走車をパスしようと試みたがブロックラインを取られ追突。車両にダメージを負ってしまい、戦線離脱を余儀なくされた。

上位勢が次々にアクシデントやトラブルで脱落していく中、着実な走りを続けてきた中山はこれで5位に浮上。しかし、平川がこれに追いつき、TDP出身の同世代の若手同士による5位争いが終盤まで繰り広げられた。

後方では、最後尾スタートを強いられた小林がオーバーテイクショーを展開。序盤2台パスしてから、8周ほど前走車に阻まれたものの、17周目のシケインでインをつき、12位に浮上すると、21周目、24周目、25周目と次々に前走車をパスして行き、9位へとポジションを上げて見せた。

中嶋一貴は一時8秒近くあった差を5.7秒まで詰めたが届かず2位でフィニッシュ。オリベイラが3位。石浦は4位でチェッカーを受け、中嶋一貴に6ポイント差をつけて2015年シーズンスーパーフォーミュラのドライバーズチャンピオンに輝くこととなった。石浦は、2003年にフォーミュラ・トヨタでデビュー。F3を経て、2008年より2011年までフォーミュラ・ニッポンを戦い、2年間のブランクを経て昨年スーパーフォーミュラに復帰。トップフォーミュラ参戦6シーズン目での悲願のタイトル獲得となった。チームのセルモ・インギングにとっても初のタイトル。

若手同士の争いは、平川が制し5位。中山は6位でフィニッシュし、参戦2年目にして最終戦で初ポイントを獲得することとなった。小林は国本を激しく攻め、最後まで8位を争ったが、コンマ5秒差で国本が逃げ切り8位。小林は最後尾スタートから9位フィニッシュとなった。

スーパーフォーミュラでのもう一つのタイトルであるチームタイトルは、前戦終了時点でPETRONAS TEAM TOM’Sが決めており、トヨタエンジンは2年連続で両タイトルを制することとなった。

TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。


P.MU/CERUMO・INGING 38号車 ドライバー 石浦宏明 :
とりあえずほっとしている。やっぱりプレッシャーもあったし、眠れないほどではなかったのものの、結構緊張もしていた。チームの雰囲気が明るいので予選前の緊張も雑談などでほぐれ、笑顔で送り出してくれて、その雰囲気に助けられた。優勝してタイトルが決まっていれば、ウィニングランなどで感激したかもしれないが、今回はレース後体重を計っていた際にチーフメカの顔を見たら、涙が込み上げてきた。チーフメカも、体調を崩したことがあり、また同様にプレッシャーを感じ、さまざまなことを負担に思っているだろうなあと思っていたので、絶対トラブルを出さないという気持ちでいた。また、自分と一緒にチームを移籍したメカもいるし、その一緒に戦ってきた人たちの顔を見たら実感が湧き涙がこぼれた。今週は実力を出し切れたと思うし、無事に終われて良かった。

PETRONAS TEAM TOM’S 1号車 ドライバー 中嶋一貴 :
今朝からの流れで言えば、レース1のセーフティカースタートの時点でほぼ終わったかなと思った。レース自体のペースも良くはなかった。このレースウィークはクルマの調子も良くなく、どうしようかと考えながらのレースだった。レース2のスタートだけは狙っていたのだが、山本選手も伸びてきて、スペースがなかった。このまま行ったらぶつかるのではと思うような感じで、山本選手からの気持ちも伝わって来て、正直、どうやって走ったかわからない状況で1コーナーを通過した。レース2は、レース1に比べれば良いレースだった。レースウィークを通して調子が悪く、走っては直しの繰り返しだったが、最後のレースを表彰台で終えることが出来て良かった。

LENOVO TEAM IMPUL 19号車 ドライバー ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ :
朝からペースは良かった。レース1に関しては、あのようなコンディションでは、セーフティーカースタートではなく、スタンディングスタートで大丈夫だったと思う。あのスタートで全ての勝負が決まってしまい、残念だ。セーフティカースタートだと、スタートでの追い抜きは困難だ。レース2は、スタート直後の1コーナー進入で一番アウト側にいたのだが、行き場がなくなり、アウトへコースオフせざるを得なかった。それで4位に下がったが、その後野尻選手をパス出来、中嶋選手を追ったがそのままチェッカーを受けることになった。


全日本選手権スーパーフォーミュラ 第7戦 レース1 結果表

全日本選手権スーパーフォーミュラ 第7戦 レース2 結果表

ドライバーズポイント








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