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車車間・路車間通信(V2X)向け、5.9GHz帯、車載無線通信用SoC「R-Car W2R」を発売【ルネサス エレクトロニクス】

2015年9月29日

ルネサス エレクトロニクス㈱(代表取締役会長兼CEO:遠藤 隆雄、以下ルネサス)は、このたび車載情報システム向けSoC(System on a Chip:システムLSI)プラットフォーム「R-Car」の新シリーズとして、車車間・路車間通信(V2X:Vehicle-to-Everything)向けに車載無線通信用SoC 「R-Car W2R」を開発し、10月1日よりサンプル出荷を開始します。新製品は、欧州と北米のITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport Systems)向け通信規格IEEE 802.11pに準拠した5.9GHz(ギガヘルツ)帯域の車車間通信(V2V:Vehicle-to-Vehicle)および路車間通信(V2I:Vehicle-to-Infrastructure)向け車載無線通信用SoCです。ルネサス独自のRF(高周波:Radio Frequency)システム設計技術により、信号のノイズとなる送信帯域外雑音を、欧州の標準化団体ETSI(European Telecommunications Standards Institute)の規格で定める-65dBm(デシベルミリ)(注1)以下に、世界で初めて抑圧することに成功。世界最高レベルの特性を実現可能です。これにより、混線の少ない高い品質の信号を送信できるため、安全運転支援に向けた各種ADAS(高度運転支援システム:Advanced Driving Assistant System)システムに、V2Xが実用レベルで導入可能になります。

新製品は、1)IEEE 802.11pに準拠した5.9GHz帯の車載無線通信用SoCであり、今回、独自のRFシステム設計技術により、送信帯域外雑音を、ETSIが定める-65dBm以下に世界で初めて抑圧したことにより、世界最高レベルの特性を実現可能です。また、2)RFから物理層(注2)、データリンク層(注3)までの通信機能を1チップ化したことにより、システムの小型化に貢献します。さらに、3)既存の「R-Car」SoCプラットフォーム「R-Car E2」と組み合わせたV2Xスタータキットにより、短期間での実証試験環境を構築することができます。
新製品のサンプル価格は3,000円/個(税別)となっており、量産を2016年12月より開始し、2018年12月に月産5万個の出荷を計画しています。

V2Xは、自動車と自動車(車車間)、または自動車と信号機や道路標識などのインフラ (路車間)がクラウドを通さずに直接に相互通信することによって、自動車事故や渋滞を低減することを目的としたものです。各国でV2Xの通信規格の策定が進められており、将来は自動運転につながる重要な技術として、各社で開発が加速しています。
従来、安全運転支援のために、カメラ画像や赤外線、ミリ波(注4)を用いたレーダが用いられてきましたが、広範囲で交通状況を把握したり、見通しの悪い交差点で接近車両の情報を得ることができないことが課題でした。
そこで、見えない場所でも広範に接近車両情報を取得できるようにするため、欧州と北米では5.9GHz帯の無線通信規格IEEE 802.11pが策定されました。新製品「R-Car W2R」はこの規格に準拠し、さらに高品質な信号を送信できるため、広範囲の車両やインフラ情報を確実に取得することが可能です。さらに、「R-Car」の既存のプラットフォームと組み合わせることで、カメラ画像や電波を用いたセンサでは捉えきれない情報を、車車間および路車間の双方向通信により得ることで、精度の高い情報をリアルタイムにドライバに知らせることが可能になり、安心安全を支援するADASシステムを構築できます。

ルネサスは、本製品を車載情報システム向け「R-Car」の新シリーズとしてラインアップし、V2Xアプリケーション向けにシリーズ化してまいります。また既存製品であるコクピットやADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)システム向けの「R-Car」と組み合わせ、V2Xアプリケーションに対応したソリューションを提供していきます。

新製品「R-Car W2R」の特長は以下のとおりです。

(1)独自のRFシステム設計技術により、世界初、送信帯域外雑音を-65dBm以下に抑圧可能
新製品は独自のRFシステム設計技術にもとづいてLSIから発生する雑音を低減し、チップ外のフィルタと組み合わせて送信帯域外雑音を世界で初めて-65dBm以下に抑圧することに成功。これにより実現が困難だった欧州の標準化団体ETSI(European Telecommunications Standards Institute)の規格をクリアでき、世界最高レベルの特性を実現可能。これにより、広範囲での交通状況把握や、見通しの悪い交差点での高精度の接近車両情報を得ることが可能となり、安全性が求められる運転支援システムに導入可能。

(2)IEEE802.11p規格に準拠し、RFから物理層、データリンク層までの通信機能を1チップに集積
従来、V2X向けの通信機能はRFと物理層、データリンク層のそれぞれが別々のチップで構成されていましたが、新製品はルネサスが有するアナログ回路の小型化設計技術と、デジタル回路が発生する雑音がアナログ回路へ与える影響を高精度に解析するアナログデジタル混載設計技術によって、RFから物理層、データリンク層までの通信機能を10mm角パッケージの1チップに搭載。これにより、車載情報機器の小型化に貢献。

(3)小型モジュールリファレンスデザインおよび、V2Xスタータキットの提供により開発期間の短縮に貢献
新製品は全てのRF部品を最適化設計して集積した小型モジュールタイプのリファレンスデザインと、その設計情報を提供することで初期開発期間、コスト低減に寄与。V2Xに最適なセキュリティIPを搭載した「R-Car E2」と組み合わせV2Xユニットに必要な部品を全て実装し、ITSプロトコルパートナと検証を行ったドライバ、ファームウェアが含まれたスタータキットを提供。ユーザは、ルネサスの「V2Xスタータキット」とパートナ各社が提供するソフトウェアを組み合わせることにより、実証試験等の期間の短期間化が可能。


新製品の仕様は、別紙(86KB)をご参照ください。


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(注1)0dBmは1mWで-65dBmは約0.3nW
(注2)国際標準化機構(ISO)によって策定された、コンピュータの通信機能の階層構造における第1層で、物理コネクションを確
    立・維持・解放する電気・機械・機能・手続き的な手段を定義
(注3)国際標準化機構(ISO)によって策定された、コンピュータの通信機能の階層構造における第2層で、ネットワーク上で直結
    されている機器同士での通信方式を定義
(注4)周波数帯30GHz~300GHz


*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。



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